【ソウル聯合ニュース】東京の靖国神社に火炎瓶を投げ込んだ中国人、劉強元受刑者について、韓国の裁判所が近く日本に身柄を引き渡すかどうかの決定を下すことになり、韓国、中国、日本の外交当局が神経をとがらせている。
 劉元受刑者は昨年12月に靖国神社に、今年1月にはソウルの日本大使館にそれぞれ火炎瓶を投げつけ韓国で逮捕され、懲役10月の判決が確定し服役した。先月6日に満期出所したが、日本が犯罪人引渡条約に基づき引き渡しを求めたため、これに関する審査が終わるまで引き続き拘束されている。
 劉元受刑者はソウル高等裁判所で行われた審査で、祖母は元慰安婦の韓国人で、祖母の体験を聞き日本に敵意を持つようになったと供述。日本への引き渡しを望まないと述べた。中国は韓国に対し、劉元受刑者を政治犯と認めて中国に送還するよう求めている。
 関連法に基づき、裁判所は来月6日までに引き渡しに関する決定を下す必要があるが、どんな決定をしても日本または中国のどちらかが反発すると予想される。
 特に、自国の希望通りの結果にならなかった場合、日本よりも中国の方が激しく反発するとの見方が強い。
 中国は、韓国政府が2000年に国内農家の保護を理由に中国産ニンニクに高関税を課すと、すぐさま韓国製携帯電話の輸入を制限するなどの報復措置を取った。韓国政府周辺では、今回も自国の要求が通らなければ中国はだまっていない、との懸念が少なくない。
 一方、日本の場合は自国の希望に反する決定が出ても直接的な報復に乗り出す可能性は低い。ただ、世宗研究所の陳昌洙(チン・チャンス)日本研究センター長は「日本の右派政治家の間で、韓国は中国の顔色ばかりを気にする信頼できない国だという認識が広がりかねない」と指摘している。
 また、韓中、韓日の関係だけでなく日中の関係が悪化することも考えられる。劉元受刑者が日中どちらに引き渡されても、もう一方の国が従来の主張を繰り返し、引き渡しを求める可能性があるためだ。
 韓国政府はこの問題に対し、「裁判所の公正な判断を待つ」と慎重な姿勢を示している。

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