【ソウル聯合ニュース】北朝鮮が非核化問題をめぐり、先ごろ韓国との会談に応じたほか、米国とも接触中だが、その一方で、金剛山観光事業の財産権問題など南北関係の改善に対しては強硬姿勢を崩していない。
 北朝鮮は5月30日に国防委員会報道官声明を発表し、韓国政府とはこれ以上付き合わないと公言したのに続き、先月9日にも朝鮮労働党機関紙の労働新聞を通じ、南北対話を論じる余地はないとくぎを刺した。しかし2か月もたたない今月21~23日、インドネシアの東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)で、6カ国協議の南北首席代表が公式に会談し、南北外相も接触した場で笑顔を見せた。
 北朝鮮は、米国と日本に対しても態度を軟化させた。北朝鮮の核関連交渉を総括する金桂寛(キム・ゲグァン)第1外務次官が現在訪米中で、6カ国協議に楽観的な見方を示すとともに、各国の協力が必要だと強調した。また、北朝鮮高官が先ごろ中国で、民主党の中井洽元拉致問題担当相と内密に会談したと伝えられるなど、日本とも接触している。
 しかし、南北関係においては、韓国統一部が金剛山観光事業を話し合うための南北当局実務会談を提案したのに対し、北朝鮮は26日、事実上拒否の返答を送ってきた。韓国側の会談提案には一種の譲歩の意味が込められていると見ることができ、北朝鮮も拒否しにくいと予想されていただけに、北朝鮮の反応は意外だった。
 特に最近、北朝鮮が黄海で、揚陸艦や戦闘艦、戦闘機などを動員する大規模な陸海空合同訓練を準備する動きもとらえられており、韓国当局の緊張が高まっている。
 専門家らは、こうした北朝鮮の二面性を「分離対応」「強穏戦略」とみなしている。ある専門家は「北朝鮮は米朝対話の成果が南北関係につながると見ているようだ。関係改善に負担を感じている状況で、強穏戦略を用いるしかないのだろう」と話した。
 北朝鮮出身の専門家は、「北朝鮮は本質的に韓国との関係改善を望むが、李明博(イ・ミョンバク)政権に恥をかかされたと考え、大手を振って関係改善に乗り出せない立場」との見方を示した。
 米朝対話で北朝鮮が意外な成果を得て、韓国との関係改善を図ろうとする場合、前提条件として韓国海軍哨戒艦沈没事件と延坪島砲撃事件に対する謝罪を求める韓国政府としても、苦しい立場になりかねないとの懸念がある。

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