【ソウル31日聯合ニュース】北朝鮮核問題をめぐる6カ国協議の再開問題に暗雲が立ちこめてきた。
 北朝鮮の最高権力機関の国防委員会は30日、「韓国政府を相手にしない」とする報道官声明を発表。年初から続いた対話モードから一変し、突然「強硬姿勢」に転じた。
 北朝鮮軍部のこうした反応が、韓国の予備軍射撃訓練など特定事案に対する一時的な対応なのか、それとも高度な交渉戦略なのかは予測できない。しかし、中朝首脳会談直後に発表された北朝鮮当局の公式発言であるため、注目されている。
 まずは、今後の方向性に対する北朝鮮内部の「まとまったメッセージ」である可能性が高いとの分析だ。6カ国協議の再開局面を控え、平壌の「駆け引き」が始まったと見る分析が支配的だ。
 これは南北首席代表会談と米朝会談を経て協議を再開する6カ国協議の3段階案を、北朝鮮が拒否したと見るのは無理があるとの解釈だ。北朝鮮としても中国指導部の「説得」で、南北当局間の対話からスタートするのが不可欠だと判断している可能性が高い。
 ただ、南北間の非核化会談を控え、より有利な立場を確保しようとする狙いがあるとみられる。北朝鮮に対する韓国の強硬政策基調を非難することを、一次的な戦略目標に設定したと予想される。
 ある外交消息筋は31日、「全体的な対話局面に影響はない。ただ、韓国から譲歩を得ようとする戦術的布石の意味が大きい」と話した。
 韓国政府は現在、北朝鮮による一連の武力挑発に対する謝罪を対話の前提条件としている。これに対し北朝鮮は「謀略」と非難して従来の立場を崩していない。そのため、北朝鮮は韓国が哨戒艦などの謝罪要求で、南北関係を冷え込ませていると責任を転嫁する狙いがあるとみられる。
 韓国政府は、日米とともに「圧力共助」を維持し、現行の対北強硬基調を固守しようとする可能性が大きい。北朝鮮による武力挑発に対する謝罪なしに、南北当局間の対話と6カ国協議を再開することはできないとの立場を堅持しながら、北朝鮮の姿勢変化を促すとみられる。ここで北朝鮮に譲歩すると、3年以上続いた現政権の北朝鮮政策基調が揺れることを懸念しているとの分析もある。
 問題はこうした南北間の駆け引きが続けば、北朝鮮が追加で挑発する可能性があり、そうなれば米中が再び対話再開のため「介入」する可能性が高いとの分析だ。
 こうした背景から、外交専門家たちは、韓国政府は対話のタイミングを逃さないよう、武力挑発に対する謝罪と非核化問題を「分離」し、戦略的な柔軟性を発揮すべきだと指摘している。

Copyright 2011(C)YONHAPNEWS. All rights reserved. 0