北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記(左)と正恩(ジョンウン)氏父子(試料写真)=(聯合ニュース)
北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記(左)と正恩(ジョンウン)氏父子(試料写真)=(聯合ニュース)
【ソウル30日聯合ニュース】李明博(イ・ミョンバク)大統領が29日に安保と南北対話の並行や、6カ国協議を通じた北朝鮮核問題解決の考えを示したことを受け、専門家の多くが、来年に可能性のある局面転換に備え対話の可能性を開いておく狙いがあったと分析している。ただ、統一部は北朝鮮の根本的変化に重点を置いた新年業務計画を策定しており、政府は当面、対北朝鮮強硬基調を維持すると見通した。

 東国大学北韓学研究所の金榕ヒョン教授は、韓国が強硬基調を維持すれば北朝鮮核問題をめぐる6カ国協議で疎外される可能性があることを考慮し、李大統領が柔軟対応としての対話に言及したとの見方を示した。南北の対立が続くことは韓国政府としても負担となり、北朝鮮核論議の過程でも南北関係改善に対する米国や周辺国の要求があると指摘。当分は対話の雰囲気に変わることはないだろうが、強硬一辺倒だった李大統領が対話の可能性に言及したことに意味を置くべきだと述べた。
 そのうえで、北朝鮮の変化を追求するという統一部の強い姿勢は、李大統領に負担となりかねないとし、強硬方向に推し進めようという姿勢は対北朝鮮政策において望ましくないと強調した。南北関係を主導する統一部が、中長期的な観点を考慮せず短期的強硬基調に偏っている印象を受けるとしながら、北朝鮮が統一部の業務計画内容について「南北関係改善の意志がない」と非難する可能性は高いと指摘した。
 高麗大学北朝鮮学科の柳浩烈(ユ・ホヨル)教授は、今すぐ北朝鮮と対話するという状況ではないとしても、対話の可能性を開いて置くという発言だったと分析した。李大統領が言及したように、北朝鮮の核廃棄を6カ国協議の枠内で進めることになれば、同協議の再開に向けた条件にこだわるのではなく、状況変化を考え周辺国との協議の枠から外れないようにする布石を敷いたことになると述べた。ただ、統一部は北朝鮮政権と住民の分離を含め北朝鮮の変化を強調し、また南北統一を重視しており、当面は対北朝鮮強硬基調が維持されると見通した。
 北朝鮮の統一部批判も続くだろうとしている。核問題など中核懸案をめぐる南北対話の可能性に触れた業務報告内容には北朝鮮も注目すると思われるが、住民と政権を分離するという部分では、非難の声が高まるだろうと予想した。
 北韓大学院大学の梁茂進(ヤン・ムジン)教授は、南北対話を強調すれば交流協力が後に続くものだが、李大統領は南北交流協力には触れていないとし、「今回の南北対話に関する言及は原則論にすぎない」との見方を示した。結局は圧迫と制裁を優先し、北朝鮮を屈服させようとしていると受け取ることができると指摘し、来年の南北関係悪化に懸念を示した。
 李大統領の発言は、南北対話を強調したのではなく「6カ国協議が再開されれば韓国は反対しない」という程度の消極的な態度を示したものだと分析。統一部の業務報告も、対話は原則水準にすぎず、対北朝鮮圧迫基調を継続するというものだったと説明し、こうした対北朝鮮政策は、6カ国協議における韓国の立場を「異邦人」に転落させるリスクがあると指摘した。
 特に、南北関係がこう着状態にあるなか、北朝鮮住民の意識変化を目指すとした統一部の計画は心理戦を展開するということと同じで、北朝鮮の韓国敵対心理がさらに強くなる可能性も大きいと述べた。

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