【ソウル29日聯合ニュース】社会的混乱期にデマが急速に広がるように、景気や企業と関連した流言は経済危機時に飛び交う。
 流言のなかには表に出ない企業の財政的厳しさや危機状況を伝えるものがある一方、事実無根の悪質なものも多い。問題はこれらを区別するのが容易ではないことだ。
 ことし5月、韓国の証券市場は何回も大揺れの状況となった。「日本の国家信用格付けが下方修正される」「北朝鮮が東海(日本名:日本海)にミサイルを発射した」といったうわさが証券街に広まり、総合株価指数(KOSPI)が急落したのだ。
 これらのうわさは事実無根であると判明されたが、欧州発の財政危機や北朝鮮の魚雷攻撃による韓国海軍哨戒艦「天安」沈没事件により朝鮮半島の緊張が高まるなど混乱中に飛び交ったうわさは、波及力が少なくなかった。
 日本の信用格付け下落説は、ギリシャの財政危機で国家負債がイシューとして浮上するなか、国際格付け会社が日本の信用格付けを下方修正するだろうとの内容だった。国際格付け会社が公式に否定したことで事態は収拾されたが、当日のKOSPIは44ポイント急落した。
 その1週間後には北朝鮮がミサイルを発射したとの記事が流布され、証券市場が大揺れとなったが、記事は2007年5月のものだった。2年前の古い話が市場を揺らしたことになる。
 このように、大きなうわさは真偽がすぐに把握できるため事態の収拾も容易だ。しかし、企業に関するうわさは、一夜にして特定企業を崩壊させることもあり得る。
 市中に特定企業の資金悪化説が出回ると、債権者が一斉に資金回収に乗り出し、健全な企業も一度に取り立てにまわされた手形を処理できず、不渡りに巻き込まれる。
 一般人の立場では、企業の内部事情を直接確認できないため、企業が否定したり、釈明しても疑いは晴れないケースが多い。また、企業の否定にもかかわらず、後に事実と判明されるケースもあり、デマが急速に広がる一因となっている。
 実際、大宇自動車販売のワークアウト(企業改善作業)説は、同社が数回にわたりこれを否定する公示まで発表したが、結局事実となった。韓国取引所の市場監視委員会関係者は、「悪質なデマと真実はコインの表裏と同じだ」と話した。
 大宇自動車販売のケースでみるように、どの時期を基準にするかで、悪質なデマになることも、真実になることも可能になる。同関係者は、あるうわさが悪質なうわさだと断定するのは難しいとし、80~90%はある程度事実を反映しているようだと伝えた。
 特定の時期や市場の状況を反映して出回るデマがある一方、しつこく企業を苦しめる悪質なデマもある。その代表的なケースが、焼酎メーカーの真露が日本の資本に買収されるという説。このデマが出回ったのは2005年からだが、いまだになくならず、真露はことし「悪質なデマは事実ではない」という内容の広告を大々的に行った。
 食品メーカー東西食品も2008年に特定宗教と関連があるとの映像がネット上に広がり、これを流布した宗教研究所から謝罪文を受け取ったが、うわさはなくならずにいる。
 こうしたデマが流れると、被害企業はライバル会社を疑う。実際、ライバル会社がデマの震源地だったこともある。しかし、大半のうわさがそうであるように、出所を見つけるのは容易ではない。
 悪質なデマを成功裏に抑え込んだ例もある。SKテレコムの場合、2009年に実施した広告キャンペーンと関連し、キャッチフレーズが古代ヘブライ語で「子どもを燃やせば願いが叶う」という意味だというデマが出回ったことがある。同社は直ちに「まったく根拠のない話」だとする古代ヘブライ語の専門家の見解を公式に発表し、発表内容を会社のブログにエッセイ形式で掲載した。企業側が全面に乗り出し対応する代わりに、第3者の専門家を通じ、正確な事実を説明した。結局、このデマはいつの間にかなくなった。
 資金悪化説の出回った斗山グループは、朴容ヒョン(パク・ヨンヒョン)会長が公の場で、「デマの根源を必ず探し出す」と警察に捜査を依頼する意向を明らかにし、デマから解放された。

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