事件の経緯を説明する検察関係者=29日、水原(聯合ニュース)
事件の経緯を説明する検察関係者=29日、水原(聯合ニュース)
【水原30日聯合ニュース】水原地検公安部と国家情報院は29日、17年間にわたり各種軍事機密などを北朝鮮に渡し巨額の工作金を受け取ってきた疑い(国家保安法上間諜、便宜提供・金品授受、特殊潜入・脱出など)で、京畿道在住の大学講師の男(37)を拘束起訴したと明らかにした。
 「35号室」は朝鮮労働党中央委員会所属の工作機関。1983年のビルマ(現在のミャンマー)アウンサン廟爆破テロ事件、1987年の大韓航空858便爆破事件、2006年のスパイ事件などを主導した。
 検察によると、男は1992年にインド・デリー大学に在学中、北朝鮮「35号室」の工作員リ・ジンウと知り合い、1993年と1995年に訪朝し朝鮮労働党に加入した。1997年7月からことし2月まで中国、カンボジア、シンガポール、タイなどで9回、作戦教範や軍事施設位置情報などをリ工作員に渡し、5万600ドルを受け取った容疑。
 男は2006~2007年に民主平和統一諮問会議の諮問委員として国家情報院庁舎で開かれた安保情勢説明会に出席し、ボイスレコーダーで3級秘密の説明会内容を録音。また、水原空軍飛行場、松炭米軍飛行場、海兵隊司令部など軍部隊、国会議事堂、米国大使館など国家重要施設のGPS座標34か所分を探知し、その資料も北朝鮮側に渡していた。
 2006年には国会議事堂内のある議員事務所から国家機密資料の「駐外武官名簿」を持ち出し、これを保管していた。さらに2001年には、ある陸軍師団で政訓将校として服務中、地上作戦(陸軍最上位野戦教範)や米作戦要務令(米陸軍最上位戦闘遂行教範)など軍関連資料507種5957ページ分をCDにコピーし、北朝鮮側に渡した。
 こうした活動で男は北朝鮮から功労を認められ、2003年にシンガポールで努力勲章を受けている。また、2002年から毎年1回、300~1万ドルの工作金を受け取っていた。この金でインドの大学学士課程や国内大学の修士、博士課程を終えたという。
 検察の捜査結果によると、男は京畿道内の大学の警察警護行政科講師、民主平和統一諮問会議諮問委員、統一教育院の統一教育委員、ある政党の地域党員協議会運営委員などを務めており、軍部隊安保講演なども行っていた。リ工作員の指示で政界進出も狙っていたことが明らかになっている。
 検察はこの日、男から押収した通信用の暗号表、乱数解読冊子、北朝鮮に提供した軍事資料と録音資料、北朝鮮原典など30種160点を公開した。

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