猿払村議員の小山内浩一さん=28日、ソウル(聯合ニュース)
猿払村議員の小山内浩一さん=28日、ソウル(聯合ニュース)
【ソウル28日聯合ニュース】日本の最北端、北海道宗谷郡猿払村では、2006年から地元の有志が太平洋戦争時に強制徴用された朝鮮半島出身者の遺骨回収に取り組んでいる。これまでに20柱余りの遺骨を見つけ出しているが、来年5月にも再び発掘作業を開始する。
 遺骨発掘の実行委員会で事務局長を務める猿払村議員の小山内浩一さん(46)が、このほど初めて韓国を訪れた。28日に聯合ニュースのインタビューに応じた小山内さんは、韓国の学者と政府側に来年の発掘作業参加を頼むため訪韓したと説明した。猿払村の取り組みについては、「日本政府が乗り出すのを嫌がっている良いことを、市民が代わりにしているだけ」と答えた。周りからは当初、なぜそのように負担の大きいことをするのかという非難を浴びせられたこともあったが、住民を説得し、発掘団のために宿所を提供したり、自ら経営する建設会社の重装備やトラックを発掘現場に貸した。

 発掘のきっかけを作ったのは、在日市民団体の「強制連行・強制労働犠牲者を考える北海道フォーラム」だった。フォーラムは、猿払近くに飛行場を建設するため連れてこられた朝鮮半島出身者の死亡者が打ち捨てられた共同墓地跡に埋められたという事実を政府文書から確認、2005年10月に男性の遺骨1柱を発見した。さらに発掘を進めるには地元住民の協力が必要で、村で3代にわたり建設業を営む小山内さんに話を持ち込んだのだ。小山内さんも、軍事施設建設に動員され死亡した朝鮮半島出身者が数多く埋められているという話は時折耳にしてきたが、戦後世代で韓日の歴史に無関心だったこともあり、朝鮮半島出身者の遺骨を故国に帰すという計画は最初はぴんとこなかった。

 そんな小山内さんが、同じ建設業界の事業家や地元の市民運動家ら70人余りを集め発掘の実行委員会をつくった。2006年8月には、住民を説得し、北海道フォーラム率いる韓日の学者や市民団体の活動家による発掘団約300人を招いた。人口3000人余りの閉鎖的な農村としては異例の決定だった。

 小山内さんは「われわれ子孫が韓国人に会ったとき、つらい過去がしこりとなっていてはだめだという気がした。また、あのように埋められた遺骨に顔を背ければ村の歴史的な真実がなくなってしまうのではないかという心配もあった」と語る。

 今年5月の発掘作業で合計20柱余りの遺骨を発見し近くの寺院に安置したものの、まだ難関は多い。数十年前の遺骨の詳しい身元を確認するのは容易ではなく、同じころ死亡した中国人捕虜や日本人と区別するために遺伝子検査で確認する必要もある。遺骨が故国に戻るまでには長い時間がかかりそうだ。

 それでも小山内さんがこれまでに得たものは少なくなかったという。韓日の専門家とともに犠牲者の死亡経緯や時代背景などについて研究を重ね、太平洋戦争の歴史についても知識を深めた。「過去をきちんと知ってこそ、反日、反韓感情もほどくことができる。学術資料が多く、後々に両国の若者が偏見なく人間対人間として会うことができるといい」と強調した。

 小山内さんは28日、旧日本軍従軍慰安婦の女性が共同生活を送る京畿道広州市の「ナヌムの家」や、政府の日帝強占下強制動員被害真相糾明委員会を訪ねる。帰国は翌日の予定。

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