朝鮮戦争当時、米軍の韓国人避難民に対する銃撃を認める方針が盛り込まれた、当時のムーチョ駐韓米国大使の書簡が発見されたことに関連し、韓国政府は5月に米政府の見解を尋ねていたが、9月末になって米政府から「そのような方針が承認または執行されたことはない」との返答があったことが分かった。政府当局者が30日に明らかにした。

 AP通信が存在を確認したムーチョ書簡は、忠清北道・老斤里で韓国人避難民の中に北朝鮮兵が混じっていると疑った米軍が約300人の民間人を射殺した「老斤里事件」が発生した1950年7月26日に作成された。当時のラスク国務次官補にあてたもので、「避難民への銃撃を容認する方針が1950年7月25日の韓米合同会議で決定された」と記されている。米国が民間人への銃撃を事実上許容したのではないか、クリントン政権下で実施した韓米合同調査では同書簡を意図的に隠蔽(いんぺい)したのではないかとの疑惑が浮上した。

 米国側は返答を通じ、この書簡は韓国政府関係者や在韓米軍第8軍司令部などが参加した1950年の大邱会議で論議された政策草案に対するムーチョ大使の印象を記したもので、当時の第8軍司令官はそうした政策提案を承認しておらず、一線の兵士らに通達された事実もないと説明した。そのため合同調査の際に同書簡の内容が検討されたものの、調査報告書では言及しなかったとしている。書簡は調査報告書の結論を変えるべき根拠を提供していないとの見解だ。これに対し韓国政府は、米政府の見解は「おおむね理に適う」との姿勢を示した。

 2001年に実施された韓米合同調査の報告書で、米国は米軍が民間人を射撃し犠牲者を出したことは認めたものの、老斤里事件が米軍の方針に従い組織的に行われたものかについては結論を下していなかった。


Copyright 2006(C)YONHAPNEWS. All rights reserved.

Copyright 2006(C)YONHAPNEWS. All rights reserved. 0