米国が先月6日に脱北者6人に対する難民地位を与え米国入国を認めた後、急増することが予想された脱北者の米国への亡命申請が予想より少ないことがわかった。
 消息筋によると、現在、タイにある米国公館に10人余りの脱北者が駆け込み、米国行きに向け待機している。また、ロシア・ウラジオストクの米国総領事館でも数人が米国行きを求めているという。脱北者の米国亡命は水面下で進められるため、正確な人数は把握できないが、多く見積もっても15人前後とされる。

 脱北者が中国ではなく、東南アジアやロシアの極東地域に移動するのは、中国内にある脱北者の外国公館への駆け込みが極めて厳しくなったためだ。北京だけでなく上海など中国主要地域の外国公館周辺は中国公安の警備が厳しく、不審者が近づくと強制連行など強行措置が取られる。また、中国当局が脱北者を支援する団体のスタッフに対し徹底的な統制に踏み切ったことも、脱北者の中国離れに拍車をかけている。

 それにもかかわらず米国亡命を求める脱北者が予想より少ないのは、米国が適用する厳しい規定が足かせとの分析も出されている。米政府の脱北者政策が「前向きな受け入れ」に変わったとはいえ、実際の審査では「国家安保」を理由に亡命を拒否するケースが少なくない。何より米政府は、自国施設に対する自爆テロの脅威に神経をとがらせている。脱北者の米国公館や公館関連施設への駆け込みも違法と判断している。さらに、駆け込みがあった公館がある国との外交的な摩擦を懸念し、脱北者の受け入れが簡単ではないのが現状だ。

 このほか米国亡命に向けた手続きが複雑である上、時間がかかるのも脱北者の米国行きを妨げる要因となっている。脱北者が難民に認められるためには、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)による難民地位判定と米国行きを希望するとの意思確認が必要で、その後も米国による難民審査が行われる。特に、中国内の外国公館を通じて米国行きを希望する場合、脱北者を難民として認めない中国との外交的な調整も必要となってくる。

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