2006年は株式市場と輸出の好調、消費の増加により景気回復への期待が高まっているが、投資の不振や経済の二極化などが足かせになり大幅な回復は望めない見通しだ。
▼指標は今年より回復、問題は体感景気

キム・ジュン の最新ニュースまとめ

 来年の景気指標は今年より回復する見通しだが、回復の度合いは大きくなく、経済の二極化により体感景気は大きくは改善しない見通しだ。

 内外の経済研究機関が提示した来年の国内総生産(GDP)増加率は4%後半から5%前半で、今年の見通しの3%台後半より高い。民間消費の増加率も各機関がおおむね4%台を維持すると予想しているが、現代経済研究所は3.5%の増加にとどまるとしている。設備投資の増加率は5~6%台とされているが、比較対象となる今年の設備投資業績がよくなかった点を考えると、来年も設備投資が景気回復を主導するほどの伸びを見せることはなさそうだ。今年期待以上の好調を見せた輸出は、来年9~13%と顕著な伸びを続ける。失業率は3%台後半となる見通し。

 しかし、世界経済、原油価格、為替相場など対外条件が不安になる可能性があり、高所得層と低所得層、大企業と中小企業などの二極化が続くことから、はっきり感じられるほどの経済全体の回復は期待できないとの見方が強い。

▼消費・輸出・株式市場は肯定的な要因

 経済の回復に期待を持たせる最大の要因は、これまで韓国経済の足を引っ張ってきた消費が徐々に立ち直っている点だ。実際民間消費は第1四半期に1.4%、第2四半期に2.8%、第3四半期に4.0%と増加幅を広げており、流通業界では景気のバロメーターとなる紳士服の売り上げも増加した。これにより経済成長率もやはり第3四半期に4.4%と、前年同期の4.7%以来初めて4%台となり、第4四半期には潜在成長率が4%後半に達する見通し。最近韓国開発研究院(KDI)は、来年の商品輸出額増加率見通しを当初の11.4%から12.9%に上方修正しており、世界経済が安定した流れを見せるなど輸出の条件もいい方だ。経済の先行指標となる株式市場が過去最高価格を記録し続けていることなども追い風となる見込み。

▼設備・建設投資の不安、選挙・対外要因も変数

 来年の韓国経済の足かせは投資不振だ。設備投資の拡大は、所得増加~消費増加~生産能力の拡大、という好循環と成長潜在力拡大のためにも必須な要素だが、十分な回復を見せるどころか先行指標などはむしろ不安な兆しを示している。建設投資は、8月に発表された不動産総合対策などの影響で萎縮する可能性が高い。また来年には地方自治体の首長選挙が予定されているほか、2007年の大統領選挙を前にしていることから、政治論が経済論を支配する問題が発生する恐れがある。

 来年の海外要因のうち懸念されるのは米国の住宅価格調整と、これによる消費鈍化が世界景気を萎縮させる可能性がある点。世界景気が鈍化すれば、これまで韓国経済の強力なエンジンとなっていた輸出が力を失う可能性がある。また、米ドルの下落、人民元の切り上げ、原油価格の上昇などの可能性も、韓国経済の潜在不安要因となる。

▼専門家「回復の火種を消してはならない」

 経済専門家らは、今年息を吹き返し始めた回復の火種を消してはならず、このためには景気回復の基礎を定着させ成長潜在力を拡充する一方で、持続可能な分配システムを構築する必要があるとしている。

 LG経済研究院の李ユンホ院長は「短期的な景気活性化とともに長期的な成長潜在力を拡張すべき。企業構造調整と経済促進を通じ、資源分配の効率性を高める一方で、労働市場の柔軟化、規制緩和などを続け、投資の活性化と雇用の創出を図るべき」と話している。現代経済研究院の金重雄(キム・ジュンウン)会長は「来年も対内対外条件が非常に不安なようだ。大幅な景気回復を期待するのは難しいだろう。完全ではない回復傾向は分配問題を悪化させるため、持続可能な分配のため成長活力を回復することが急がれる」と指摘している。ポスコ経済研究所の朴基洪(パク・ギホン)所長はも「景気回復の火種を消さないことが重要で、政府はこのため財政・金融政策などに柔軟に対応すべき」と話している。


Copyright 2005(c) YONHAPNEWS. All rights reserved
 0