<W解説>日本を訪れる韓国人が急増する中、韓国の有力紙はある健康被害を注意喚起(画像提供:wowkorea)
<W解説>日本を訪れる韓国人が急増する中、韓国の有力紙はある健康被害を注意喚起(画像提供:wowkorea)
韓国の有力紙、ハンギョレ新聞は、日本に温泉旅行に出かけた韓国人がヒートショックで死亡する事例が相次いでいるとし、「特に高齢者は急激な温度変化は致命的であるため、冬季の温泉旅行を計画した旅行会社と観光客は注意が必要だ」と指摘した。ヒートショックの危険性の告知をめぐって遺族と旅行会社とで食い違いが生じ、対立する事態にもなっている。

2019年に韓国で始まった日本製品の不買運動の鎮静化と、新型コロナウイルスの水際対策の大幅な緩和に伴い、今、日本を訪れる韓国人観光客が急増している。韓国のインターネット通販大手のGマーケットによると、今年1月1~17日に販売された国際線航空券の行き先別ランキングでは、日本の大阪、福岡、東京が1~3位を占めた。予約サイト大手のインターパークによると、昨年10月11日~先月11日までに同社を通じて日本行きの航空券を発見した人は前年同期比400倍近くになった。これはコロナ禍前の2019年と比べても約4.8倍の人数だ。

不買運動の影響とコロナ禍で、日本を訪れる韓国人観光客は一時、激減していた。2019年7月に日本政府が対韓輸出管理を強化したことを受け、韓国はこれに抗議する目的で、日本製品の不買運動を展開した。「ノージャパン運動」という名の下、「買わない、売らない、行かない」を合言葉に韓国全土に広がった。不買運動の影響で、コンビニなどでは日本メーカーのビールなどが一時、陳列棚から消えたほか、韓国に出店している日本ブランドの店などは客足が遠のいた。旅行商品も例外ではなく、日本旅行を控える人が急増。日本の各地の空港では韓国と結ぶ便の減便、運航停止が相次いだ。

しかし、一連の不買運動は「選択的不買運動」ともからかわれた。2020年、任天堂のゲーム機「ニンテンドースイッチ」の人気ソフト「あつまれ どうぶつの森」が韓国で大ヒット。発売日前日から大勢の人が販売店に並ぶ様子が見られた。代替となる韓国製品が存在しなければ日本製であっても飛びつく状況に、ネット上では「不買運動をしていても、『あつ森』は買うんだなあ」と一貫性がない消費行動を指摘する声もあった。

不買運動に加え、新型コロナの流行で入国制限措置が取られ、たとえ日本に行きたくても行けない状況になった。

その後、日本を含む各国は徐々に「ウィズコロナ」に舵を切り、昨年10月、日本政府は海外からの個人旅行の受け入れ再開やビザの免除など、コロナの水際対策を大幅に緩和。コロナ禍を機に、なし崩し的に不買運動も下火になったことも相まって、観光目的で日本を訪れる韓国人が急増し、前述のような日本行きの航空券が飛ぶように売れる状況が続いている。

こうした中、ハンギョレ新聞によると、ここ最近、日本に温泉旅行に訪れた韓国人が死亡する事例が相次いでいるという。気温の変化によって血圧が上下し、心臓や血管の疾患が起こる「ヒートショック」が原因で死亡した韓国人旅行者は、ここ2か月の間に3人に上ると同紙は伝えた。

ヒートショックの危険は、韓国人に限ったことではないが、韓国では熱い温泉にじっくり浸る文化が日本ほど一般化していないため、久しぶりに日本を訪れる韓国人も多い中、韓国との環境の違いに体が慣れていないということもあるのかもしれない。

ハンギョレ新聞によると、旧正月の連休に日本を訪れ、温泉に入浴中に死亡したある男性の遺族は、旅行会社が安全配慮の義務を怠ったと主張し、謝罪を求めている。遺族側は日本の温泉旅行に際して、「ヒートショック」の危険は旅行会社から注意喚起がなかったと主張している。一方、旅行会社側は、出発1か月前に旅行の申込者には「旅行安全守則」を渡しており、「責任は果たした」としている。しかし、守則の留意事項には「温泉などの有料施設の利用時は安全規則を遵守し、酒や薬の摂取後の利用を禁ずる」とあるものの、ヒートショックに関する具体的な注意喚起はない。一方、「自由行動、個別時間にはガイドは同行しないため、それによって発生するすべての事故については本人が責任を負わなければならない」との記述がある。

久しぶりの日本旅行。韓国と日本は似ている部分も多いが、あくまでも「外国」という認識を忘れてはならないだろう。これは日本人が韓国を訪れる際も同様だ。

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