<W解説>厳しい状況下でも続いてきた「日韓交流おまつり」=ソウル会場では3年ぶりに対面開催(画像提供:wowkorea)
<W解説>厳しい状況下でも続いてきた「日韓交流おまつり」=ソウル会場では3年ぶりに対面開催(画像提供:wowkorea)
韓国のソウルで25日、「日韓交流おまつり」が開かれた。新型コロナウイルスの影響でここ2年はオンライン形式で開催されてきたが、今年は対面開催が実現した。

 日韓交流おまつりは、両国の企業や団体などでつくる実行委員会の主催で、日韓国交正常化40周年を迎えた2005年に始まり、毎年開かれている。1998年10月に、小渕恵三首相と韓国のキム・デジュン(金大中)大統領(いずれも当時)が発表した「日韓共同宣言」の精神を形にしようと、日韓の両政府が後援している。2005年からソウルで開催されてきたが、2009年からはこの催しを日韓で共に作り上げようとの思いから、ソウルと東京の双方で開かれるイベントとなった。K-POPやJ-POPのほか互いの伝統芸能、グルメなどが楽しめるイベントとして定着している。今年も東京では24日に開かれたが、こちらは今年もオンラインでの開催となった。

 元徴用工問題や日本政府による対韓輸出規制強化を受けて日韓関係が一段と悪化し始めた2019年、日韓の交流事業が相次いで中止や延期となる中でも開催にこぎつけたのが、この日韓交流おまつりだった。同年、東京会場には過去2番目に多い約7万2000人が来場した。

 25日、「また会える喜び」をテーマにソウルで開かれた日韓交流おまつりには、家族連れや日本のアニメファンら約5万人が訪れにぎわった。ステージでは、ソウルの日本人学校とソウル市少年少女合唱団の小学生たちが、いきものがかりの「ありがとう」などを合唱した。また、両国の伝統舞踊の公演や伝統楽器の演奏、K-POPやJ-POPの公演などもあった。会場内には茶道など、日本の文化を体験できるコーナーも設けられた。

 自治体の観光や物産を紹介するコーナーも開設され、魅力をPRした。日本政府はこのほど、新型コロナの水際対策を来月11日からさらに緩和する方針を明らかにした。日本へのビザなし入国や個人旅行などが再開されることから、韓国では好意的に受け止められている。

 もともと日韓間では、人的交流の活性化などを目的に、2006年3月1日から90日以内の滞在であれば相互にビザなしでの往来を認めていた。しかし、新型コロナの感染拡大に伴い、2020年3月にビザ免除の運用を停止し、発行済みビザについても効力を停止している。

 韓国の旅行業界は、来月からの日本におけるさらなる水際対策緩和により、日本旅行の需要が一層高まるものとみて、期待を寄せている。旅行会社のハナツアーの関係者は、韓国紙・中央日報の取材に「日本は韓国で旅行需要が最も多い地域であり、日本旅行の再開に対する期待が大きい。旅行客の安全と利便性のために、新しい商品とサービスで顧客の期待に応えたい」と意気込んだ。同社は現在、東京や名古屋、大阪、京都、九州など目的地別の「待っていた日本旅行」と題する旅行プランを出している。

 また、日本への個人旅行が認められる見通しとなり、個人による航空券やホテルなどの予約件数も増加している。チケットサイトのインターパークが運営する旅行プラットフォームのトリプルは、朝鮮日報の取材に「日本行きの需要が急激な伸びを見せている」と話した。

 需要拡大を見越し、韓国の航空業界も日本路線の拡大に乗り出した。格安航空会社(LCC)のエアソウルは日本行きの3路線を順次再開する計画。今月27日にはインチョン(仁川)-成田路線の運行を再開する。

 日韓交流おまつりに出席した相星孝一駐韓大使もあいさつで日本政府の水際対策の緩和に触れ「日韓の人的交流は飛躍的に増えていくと思う」と述べた。

 今年5月に就任したユン・ソギョル(尹錫悦)大統領は、日韓関係改善に意欲を見せており、今月21日には米ニューヨークで岸田文雄首相と約30分間面会した。両国首脳が一定の時間をかけて協議するのは、2019年12月に当時の安倍晋三首相とムン・ジェイン(文在寅)大統領が行った会談以来、2年9か月ぶりだ。両首脳は、日韓最大の懸案である元徴用工問題などを念頭に、両国間の懸案を解決し、日韓関係を健全な関係に戻す必要性を共有し、未来志向で発展させていくことで一致した。

 相星大使は会場でのあいさつで、尹大統領の意欲が両国間の緊密な意思疎通につながっていると評価した。

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