(画像提供:wowkorea)
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日本の外務省は22日、「Sea of Japan(日本海)」の呼称の正当性について解説する動画を、韓国語を含む9言語で配信を始めた。日本海の呼称をめぐっては、韓国が「East Sea(トンへ、東海)」を国際的な呼称とするよう求めている。

動画は約4分間で、同省のYouTube(ユーチューブ)チャンネルで配信。外務省は去る8月に英語版を公開したが、国際社会の正しい理解を促進するとして、今回、韓国語を含む9言語で公開することにした。

動画では、はじめにドイツのフランツ・ヨーゼフ・ユング元国防相が登場し「ヨーロッパの人たちは知っている。『地中海』が『地中海』であるように、『日本海』が『日本海』だという事実を」と語る。

ナレーションでは、米国や英国、フランス、ドイツ、中国などでも「日本海」の呼称が使用されていることを説明している。そして、「過去、現在、未来において、国際的に認められた唯一の呼称である」と結んでいる。

韓国はこれまで「Sea of Japan」の表記について、「East Sea」に改めるか、「East Sea」と「Sea of Japan」を併記すべきと主張してきた。これに対して日本は、「Sea of Japan」が国際的に確立した唯一の呼称であり、何ら争うべき余地はないとの立場を取っている。

日本側は、国際社会が現に使用してきている「Sea of Japan」の名称を「East Sea」に変更させようとする動きは、国際的な海上交通の安全面にも影響を及ぼしかねない混乱を生じさせるため、認められないとしている。

「日本海・東海」をめぐる呼称問題が起こったのは、1992年に開かれた「第6回国連地名標準化会議」での韓国側の主張がきっかけだ。この会議で韓国側が「日本海の呼称が普及したのは日本の拡張主義や植民地支配の結果である」などと主張し、「Sea of Japan」の呼称に異議を唱えた。

その後、韓国は1997年からIHO(国際水路機関)の場でも、IHOが刊行する「大洋と海の境界」が定める「日本海」の呼称に「東海」を併記すべきとの主張を始めた。

「大洋と海の境界」は世界各国が海図を作成する際に参照する文書で、1928年の初版から一貫して「Sea of Japan」を日本海の国際呼称として定めている。そのため、米国や英国をはじめとする各国は、海図の作成にあたり、「Sea of Japan」の呼称を用いている。

そんな中、IHOは昨年11月に開いた総会で、「Sea of Japan」単独表記の継続を盛り込んだ報告書を暫定承認。また、IHOが刊行する「大洋と海の境界」について、新たに「デジタル版」を発行する方針を固めた。

デジタル版では海を名前ではなく、数字で表記することになったため、韓国側はこの方針を「『大洋と海の境界』から『Sea of Japan』の名称がなくなる」と解釈して喜んでいた。

しかし、IHOの報告書は、「『Sea of Japan』と定めてきた『大洋と海の境界』を引き続きIHO出版物として公に利用可能」と記載しており、デジタル版の発行により、既に刊行されている「大洋と海の境界」が無効となるわけではない、と日本側は解釈している。

そもそも日本海の名称が「Sea of Japan」であると日本側が主張する理由は、IHOによる表記のみに依拠するわけではない。日本側は「Sea of Japan」の呼称について、「日本が鎖国状態にあった19世紀前半から既に国際的に認知され定着してきた」としている。

また、日本側は「韓国及び北朝鮮を除く世界の主要各国の地図の97%以上が『日本海』という呼称のみを使用しており、広く国際的に定着している」と説明。「日本海が国際的に確立した唯一の呼称」とする理由を示している。

動画の公開を受けて、韓国外交部(部は省に相当)の当局者は22日、「日本海が国際的に公認された唯一の呼称などという日本側の主張内容は事実と全く異なる」と反論した。「韓国政府はこうした動向を留意し、事実関係を明らかにしながら引き続き国際社会に我々の立場を訴えていく」と述べた。

しかし、韓国外交部は反論の前に日本外務省が今回の動画で投げかけている疑問に答えないと説得力に欠ける。動画は「韓国はどうして『東シナ海(East China Sea)』に対しては『南海(South Sea)』に変更しろと言わないの?」と問いかけている。

日本外務省の動画には改善点もある。韓国語版の吹き替えを担当した声優がもう少し韓国語の発音に注意したならば、国境を越えてYouTubeを観る韓国人に先入観のない情報の伝達が出来たはずだ。

「現状変更」を主張しているのは韓国政府であり、その国民の一人一人が両方の主張・情報を客観的に受け入れ、「現状変更」の理由を自らの理性で判断できる時代になっているからだ。

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