(画像提供:wowkorea)
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日本政府が東京電力福島第1原発の汚染処理水の海洋放出を決定したことをめぐり、韓国南部のチェジュ(済州)市が14日、同市と友好協力関係にある日本の4市に懸念を伝える書簡を送ったことが分かった。

書簡でアン・ドンウ(安東佑)チェジュ市長は「(汚染処理水が)放出されればチェジュの漁業者だけでなく、日本の漁業者、そして世界の海洋生体にも衝撃を与えることになるだろう」と懸念を表明。友好関係にある和歌山市と東京都荒川区、大分県別府市、兵庫県三田市に対して「長年築き上げた信頼と友情を基に、国際社会で共に安全と繁栄を守るため、日本政府に対し懸命な判断を促すことに力を貸してほしい」と呼び掛けている。

チェジュ市ではそのほか、13日には地元漁業関係者が日本政府と東京電力を相手取り、放出決定中止を求める訴訟を起こした。

4月に日本政府が処理水の海洋放出を決定するや、韓国は過剰ともいえる反発を見せており、その行動は日々エスカレートしている。海や海産物などに及ぶ影響について懸念しているというよりも、日本批判の材料にしているように思える行動も目立ってきている。

今回、チェジュ市が送った書簡も、友好都市に協力を求めたところで、各都市が対応するのは難しく、困惑しているというのが正直なところではないか。こうした書簡の送付は、これまで築き上げてきた都市間の友好関係に悪影響を及ぼす可能性もある。

また、先月20日には、韓国の大学生34人が決定に抗議するためソウルの日本大使館前で頭を丸刈りにするパフォーマンスを行ったことが報じられた。日韓では「処理水 vs 汚染水」の用語の論争も勃発している。

一方、昨年10月には、韓国の海洋水産部(部は日本の省に該当)など韓国政府省庁による作業部会が、放出された処理水が及ぼす影響について「(放射性物質トリチウムが)海洋放出され、数年後に国内海域に到達しても、移動中に拡散、希釈され有意な影響はない」との報告書を出している。

また、先月には韓国の原子力学会が見解を発表し、仮に福島第1原発に貯蔵している全ての処理水を1年間放出したとしても「韓国の国民の被ばく線量は無視できる水準。影響はわずか」と指摘している。

それにも関わらず、韓国政府は海洋放出の決定にこれまで一貫して反対の立場を示している。海洋水産部のムン・ソンヒョク長官は14日、国際海事機関(IMO)に対し、国際原子力機関(IAEA)との協力を要請する書簡を送付。長官は「IMOが海洋環境に関する議論を主導する国際機関として、国際社会が受け入れ可能な方法で福島原発の汚染水(処理水)が処理されるよう、IAEAと協力することを検討してほしい」と求めた。

専門家の科学的な判断による見解を広く国民に周知し、非科学的・迷信的な扇動による国民の不安を少しでも和らげることが所轄官庁のやるべきことであるはずだが、一連の書簡送付は韓国国民の不安を助長することとなっている。

福島第1原発に貯蔵されている汚染処理水は約860兆ベクレルの放射性物質「トリチウム」を含む。この処理水を希釈し、毎年最大22兆ベクレルを数十年かけて放出していくというのが日本政府の決定だ。

対して韓国は南部のコリ(古里)原発から2018年に海洋などに向けて50兆ベクレル、約80キロ離れたウォルソン(月城)原発からは25兆ベクレルを放出している。まずはこの事実との比較を韓国政府が韓国国民に正直にしらせるべきではないだろうか。

済州市の担当者は、「1,300km距離の22兆ベクレル」を心配して書簡を送りつけるぐらいならば、まずは「300km距離の25兆ベクレル」を心配するような当たり前の科学的な判断をした方が正常であろう。

今は韓国で煽られがちの反日感情で拍手を受けるかもしれないし、その行動力が評価され、行政から政治に抜擢されるかもしれない。しかし、いつかはその理不尽な行動の結果が問われる日が来る。

韓国の国民も、日本の国民も、安全な環境で安心して生活するために、所得の2、3割を税金として納めている。当然、行政はその税金を財源にしてしっかりとした科学的な検証を行い、その結果を国民に知らせるべきである。

科学的な検証の結果を意図的に無視し、むしろそれを政治的な目的で悪用した結果、国民に過度な不安をあたえているのなら、そのような行政はそのうち信頼を失う。

それが不作為や傍観であっても同じだ。科学的・統計的な事実をありのまま明かし、国民がそれに基づいて冷静な判断ができるように積極的に行動しない限り、信頼を失った政権は滅びることが人類の歴史である。

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