BTS(ビッグヒットミュージック提供)=(聯合ニュース)≪転載・転用禁止≫
BTS(ビッグヒットミュージック提供)=(聯合ニュース)≪転載・転用禁止≫
【ソウル聯合ニュース】2013年のデビュー後9年間、先を向いて休むことなく走り続けてきた韓国の人気グループBTS(防弾少年団)が、グループ活動の一時休止を宣言した。BTSのアイデンティティーを見つめ直し再び成長するために休息が必要だと判断したようだ。14日夜に動画投稿サイト「ユーチューブ」に投稿した動画で、メンバーは迷いや疲労感などを率直に明かした。

◇ひたすら走り挑戦し続けた9年

 メンバーは食卓を囲んで対談するコンテンツ「真・防弾会食」で、それぞれの思いを語った。

 JIMIN(ジミン)は今の状況を「僕たちがそれぞれどんな歌手としてファンの皆さんの心に残りたいのか、ようやく考えることになった」「アイデンティティーを見いだそうという時期」とし、しばらくはつらい時間だと語った。

 リーダーのRM(アールエム)はK―POPとアイドルのシステム自体が人の成熟を許してくれないとし、「僕が成長する時間がない」と吐露した。音楽で思うように結果を出せないという悩みもあると語った。

 SUGA(シュガ)は「2013年から活動してきて一度も『すごく楽しい』とは思えなかった」と明かし、「7~8年前は伝えたい言葉があるのにスキルが足らずどうにか絞り出す感じだったとすれば、今は本当に言う言葉がない」と話した。

 BTSはデビュー3年目の15年に国内の音楽番組で初めて1位を獲得し、翌年には国内の主要音楽受賞式で大賞を受賞するなどK―POP界の頂点に立った。17年以降は海外でも絶大な人気を集め、世界的スターに上り詰めた。

 20年に新型コロナウイルス感染が広がると、人々を勇気づけようとする英語曲「Dynamite」を発表。21年発表の英語曲「Butter」「Permission to Dance」まで、米ビルボードのメインシングルチャート「ホット100」で1位を記録した。快進撃は続き、この年、米3大音楽賞の一つに挙げられる「アメリカン・ミュージック・アワード(AMA)」で、アジアのアーティストとして初めて最高賞を受賞している。

 だがメンバーとしてはこのころからアイデンティティーに混乱を感じ始めたようだ。RMは「『ON』『Dynamite』までは僕たちチームが自分の手の上にあると感じていたが、その後の『Butter』『Permission to Dance』からは僕らがどんなチームなのか分からなくなった」と打ち明けた。

 BTSは今月10日のニューアルバム「Proof」の発売記念として13日にユーチューブライブを開催した際も「20年以降これまで僕たちがした多くのことが、計画していたことでは全くなかった。突然決まった流動的なことが多かった」と言及。「進んでいきながらも『これでいいのか』と怖くもなったし、正しい答えなのかずいぶん悩みもした」と胸の内を語った。

 20年2月に4枚目フルアルバム「MAP OF THE SOUL:7」をリリースしたころから新型コロナ感染の拡大が本格化し、準備してきた計画が狂い、メンバー自身がBTSの方向性を見失ったことがうかがえる。

◇事務所はグループ活動重視 個人が存分に能力発揮できず

 所属事務所の方針もBTSの今回の決断に影響を与えたとみられる。事務所はグループとしての活動を重視しソロ活動を認めず、そのためにメンバー各自が優れた音楽センスを存分に発揮できなかった。

 BTSのメンバーはソロでアルバムを発表したことがない。ソロ曲は非営利目的で制作したミックステープ形態で公開しており、国内の音楽配信サイトではソロ曲を視聴することができなかった。

 これに関しJ-HOPE(ジェイホープ)は「基調の変化が間違いなく必要な時」と指摘した。

 RMはミックステープは本来デモ用につくられたものだったが、メンバーのミックステープには並々ならぬ努力と時間、資本が投じられたとした。「BTSのメンバーが誰なのか(多くの人たちは)よく知らない。僕たちは歌手だから、音楽とパフォーマンスで語るのが一番インパクトがあるはず」としながら、「この先はミックステープでなくアルバムになるだろうし、韓国の音楽配信サイトでも扱われる」と強調した。

◇これ以上先延ばしできない兵役問題

 韓国の男性が避けて通れない兵役の義務も現実的な問題として迫る。

 最年長メンバーのJIN(ジン)は1992年生まれ。2020年の改正兵役法に基づき、文化体育観光部長官の推薦で22年末まで軍入隊の先送りが認められた。国会は現在、大きな功績を残した大衆文化芸術者に対し「芸術要員」として代替服務を認める内容の兵役法改正案の審議を進めているが、改正案の通過は容易でない。通過したとしても法改正から施行まで一般的には半年程度かかることから、JINの代替服務適用は難しいとの見方が大勢を占める。

 世界で活動するK―POPスターは通常、入隊前に海外ツアーなどを事前に計画するが、BTSを取り巻く状況は不確実性が大きかった。グループとして今年後半と来年の活動計画を定めるのは困難だったと考えられる。

 グループの活動を休止すれば、入隊時期が近いメンバー以外はそれぞれソロ活動に入る可能性がある。

◇新曲の歌詞 BTSの心情映し出す

 BTSの活動休止表明を受け、ニューアルバムのタイトル曲「Yet To Come」の歌詞に注目が集まっている。

 所属事務所はこの曲を「出だしから最後まで淡々としていながらも力強い。苦しい時期をともに過ごし、多くの出来事があったが、『君のあしたはもっと輝く』と伝える歌」と紹介し、昨日、きょうよりもあしたを信じるBTSの物語だと伝えていた。

 「Yet To Come」には、BTSという名前に重圧を感じていることを示すような部分がある。それでも、またもとの場所に戻って一つになると約束するメッセージも込められている。


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