グループ「CRAYON POP」
グループ「CRAYON POP」
先週、K-POPガールズグループ「CRAYON POP」(クレヨンポップ)の新曲「Uh-ee」が、「韓国のNHK」と言われるテレビ局のKBSから放送不適合と判定されていた。発売されたばかりのこの曲の歌詞に日本語的な表現があるとして、韓国のK-POP業界内でも賛否が分かれている。

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 新曲がリリースされると、その楽曲を視聴者へのコンテンツとして放送できるかどうか審議が行われる訳だが、今回の「CRAYON POP」の曲はこれに引っかかってしまった。「韓国のフジテレビ」MBCと「韓国のテレビ東京」SBSでは特に問題になっていない。

 KBSでは、歌詞に含まれる「ピカポンチョク」という単語が問題になった模様。日本語の「ピカピカ」の「ピカ」が含まれるスラング単語で「ピカピカに、派手に、優雅に、贅沢に」などのニュアンスを持つ。

 「CRAYON POP」の所属事務所は、この部分を「ポンチョクポンチョク(ピカピカの韓国語)」に修正し、直ちに再審議を申し入れた様子。しかし、「ポンチョクポンチョク」より、「ピカポンチョク」の方が、ニュアンスとしてこの曲の歌詞に似合う。つまり、「日韓語」の「ピカポンチョク」が、「ピカピカ」の意味しか表現できていない「ポンチョクポンチョク」をもっと豊かにした訳だ。しかし、KBSの「純血主義」によってこの立派な「日韓語」は死刑宣告を受けた。こうなったら、むしろ日本で「ピカポンチョク」を本格的に使わせてもらおう。

 一方、「KBS」といえば、韓国政府傘下の唯一のテレビメディアとして韓国の地上波3社の中では放送審議にもっとも厳しい放送局として知られている。最近は、「ORANGE CARAMEL」の新曲「Catallena」のPVに、「人命軽視」の要素があるとして、放送不可の判定を下した。

 これまでもこのような「表現の自由の侵害」に抵触するかしないかの些細なところまで口出しすることが時折見受けられ、一部からは「保守勢力の手先メディア」と批判されることもあった。実質国営としても、NHKのように完全に「視聴料」だけで運営されてはいなく、他の民放のようにスポンサーからのCMで運営されている部分もある。

 実際に、今回問題となった「ピカポンチョク」という単語も韓国ではすでにメジャーな単語として一般的に使われている表現だ。中には日本語との合成語とは知らずに使っている人も多い。それをわざわざ今頃引きずり下ろして「使用禁止」することは、まさに「表現の自由の侵害」に他ならない。

 「言語」や「言葉」というのは、「多数性の原理」が作用する領域だ。
より多くの国民に受け入れられ、使われ始めてしまえば、それがやがて標準語として定着するメカニズムなのだ。英語にもフランス語やドイツ語、ポルトガル語などを語源とする単語は山ほどあり、中国語にもモンゴル語や韓国語を語源とする単語はたくさんある。もちろん、日本語にも韓国や中国由来の表現が数えられないほど多い。当然、韓国語に日本語由来の単語があっても何ら不思議ではない。

 実は、今の韓国における20世紀以降の文明発達の時期に生まれた現代語の多くは日本を経由して流入されたものだ。
日本が明治維新の成功によって韓国や中国よりも先に欧米の文物を受け入れて先に普及が始まっていたことを考えれば自然な流れと言える。

 今の韓国人が使っている言葉の中にも、「あっさり」、「勝負」、「バッテリー」、「爪切り」、「楊枝」、「玉ねぎ」、「たくあん」など、日本語の発音のまま使われているものもあれば、「扇風機」、「冷蔵庫」、「乗用車」のように日本語の漢字だけを借りているものもたくさんある。
また、若者の間では、日本語の「感じ」と韓国語の「~ナダ」(「出る」の意味)が合成された「カンジナダ」(イケている)というスラングも広く使われている。

 このような状況で、上述の「ピカポンチョク」だけに制限をかけたところで何の意味もない。時代遅れの「純血主義」に違いない。

 「冬のソナタ」でその名をグローバルに広めた「KBS」。韓流コンテンツを日本に積極的に輸出している限り、このような矛盾した行為は直ちに止める必要がある。グローバル化を目指すのか、鎖国を貫くのか、どちらかにはっきりしてもらわないと「ピカポンチョク」なメディアにはなれない。そして、韓国語は韓国語を使う人のもの。韓国語を習った日本人のものでもある。これからも「ピカポンチョク」に豊かな表現力を持つ韓国語を期待する。


「Crayon Pop」 Uh-ee M/V
「Crayon Pop」 Uh-ee M/V




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