ガールズグループ「RAINBOW」
ガールズグループ「RAINBOW」
「なぜK-POPを見ているんですか?」と聞かれることがよくある。筆者はアラフォーの男だ。ガールズグループにものすごい興味がある。

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 そう聞かれると、逆に相手にこう答えて、薦めるようにしている。「そりゃ、テンションが上がるからですよ」。長年、厳しいトレーニングを積んできた女子たちが、ハイテンションでパフォーマンスをやる。そういう姿が見ていてスカッとする。日常のなかでチラッとでも見て、採り入れていけばプラスになりますよ。どうです、聴いてみませんか、と。それが韓国のものかどうかはさておき。

 いま、韓流媒体の読者の8割以上が女性ファンなのだという。つまり「男性歌手・俳優・タレントを好む女性ファン」。今回の話はちょっとウケが悪いだろうか。「アラフォー男のための女性アーティストの楽しみ方」だ。なかでも「KARA少女時代以外に日本デビューしているガールズグループの楽しみ方」。大人でもなかなか楽しめるコンテンツなのだ。

 2010年の夏、「KARA」から始まったブームから3年。先日、これを思い立つきっかけがあった。9月22日、日本で前出の2グループに続き「T-ARA」らとともに3番手を伺う「RAINBOW」の3部構成のステージ(六本木)を見た時のことだ。これは、2大グループとは明らかに違う楽しみがある、と。ハイレベルのパフォーマンスを見てテンションを上げることは大前提。それと加えて、“ほどよく、「分からない」”という楽しみがあるのだと再認識した。

 “K-POP(ガールズグループ)を見る”ということは、つまり「調べること」。分からないから、ネットで情報を調べないといけない。特に2012年夏の李明博前大統領のアクション以降はそれを強く感じる。

 とはいえ、それは「調べる」というのは、おカタい話でもない。お金にもあまりかからない。ツールは、インターネットだ。YouTubeなどの動画サイト、メンバーのTwitter、公式ページ、さらには韓国のファンのサイトなどなど。動画サイトには日本語の字幕つきの映像も多くアップされている。まあ、それらを通じて「どんな曲を歌っているのか」などを調べていくのだが、まず重要なことは、彼女らのイメージ(妄想)を膨らませに膨らませることだ。遠く(韓国)にいて、いつどんな動きがあるかも把握しきれないグループに対する想像力をぐっと高めていく。

 もちろん、ちょっと上級者になれば、おのずと彼女らの活動に関する情報を欲しはじめる。「KARA」「少女時代」以外のグループは日本での活動が減り、韓国での活動状況を調べる必要性がぐっと増した。そうでもしないと、重要な情報を見落としてしまうのだ。日本の歌手やK-POPの超メジャーグループのように、TVや雑誌でポンポンと情報が出てくるわけではない。

 言い換えるのなら、外国に暮らす外国人の動向を、必死に調べるということ。そこにはちょっとした知的な刺激がある。かの劇団ひとり氏が、日本でのブレイク前の「KARA」について「ネットで調べる。当然韓国語だから、もうワケが分からないことには慣れている」と話したことがあるが、まさに同感だ。

 「RAINBOW」に傾倒する筆者は先日、韓国滞在中にメンバーのスンアがミュージカルに出演していた情報を見落とし、激しく落胆した。でもそれは男としての「勝負」に負けたんだからしょうがない、と受け入れるしかない。日常からの情報収集力からが勝負の連続。自分から能動的に情報を取りに行くことが必要。日常の中に外国の要素がある、という点もまた刺激になる。

 だからといって、彼女らが他の外国タレントよりも「遠すぎない」点が魅力だ。気まぐれのように、ポーンと日本にやってくる。それでいて「KARA」や「少女時代」のように誰もが分かるような場所で告知があるわけでもない。「すぐ会える」距離感でもなく「めったに会えないから貴重過ぎる」こともない。ほどよいレア感。今回の「RAINBOW」の来日は、6月上旬以来の約4か月ぶりだった。

 そこで重要になるのが彼女らが日本語を話す点だ。22日に六本木で見た「RAINBOW」は、生きた日本語をしっかりと話していた。7人の中には、得意ではないメンバーもおり、韓国語で話す一幕もあった。それでもリーダーのジェギョンが「通訳のバイトでーす」とギャグにしながら、不得意なメンバーの言葉を訳し、日本語でファンに語りかけていった。

 そこまでに、ファンの妄想(情報)は蓄積されまくっている。しかもYouTubeで見る彼女らはいつも韓国語を喋っている。生で見ただけでも感動するというのに、日本語を話している姿を見るに……よりヴィヴィットにその姿が飛び込んでくる感じがした。涙が出そうになった。ああ、いつもどこにいるかも分からず、何を喋っているかも分からない彼女らが、確かにここにいて、自分たちと同じ言葉を喋っているんだ、と。

 22日の「RAINBOW」のライブ後には、ファンクラブの方々と食事をする機会に恵まれた。日常ではあまり彼女らについて話す機会がないから、とても満足度の高い時間になった。「RAINBOW」は決して超メジャーなグループではないからだろうか、ファンそれぞれが、直接的なメンバーとの交流経験を持っていた。ライブの会場で言葉を交わしたりしている。「スンアは本当に優しい性格」など、独自のメンバー像を、それぞれが口にしていたのだ。YouTubeなど動画サイト全盛のこの世の中、それを埋める口コミ情報はかなりリアル。ファンとメンバーの距離感が近いからこそ、可能なことだろう。

 「女性のグループ(KARA、少女時代以外)を男性が楽しむ」という流れは、確かに日本のエンターテイメントの潮流では少数派に違いない。だからこそ、22日の「RAINBOW」のライブを見て、久々に「同じ趣味の男同士が集って、わいわいやる楽しみ」も味わえた。

 そこにあるキーワードは、“ほどよく「分からない」”という距離感だ。繰り返しになるが、これを楽しむためには、メンバーが日本語をしっかり喋ることが重要。歌、ダンスのみならず日本語を話すほどのトレーニングを積んだグループというのはそれだけでもものすごい存在なのだ。実際のところ、韓国のなかでもそういうグループは少ない。そういうすごいモノを見ると、日常のテンションが上がる。だから、オススメしています。(文:EIJINHO YOSHIZAKI)


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