第2次世界大戦後の横浜で50年間娼婦をしていた女性の人生を追った日本のドキュメンタリー映画『ヨコハマメリー』が、来月7日に韓国国内で封切られる。
 
プロモーションのためソウルを訪れた中村高寛監督に、仁寺洞のあるカフェで会った。映画祭のために釜山を訪れたことはあるがソウルは初めてという監督に印象を尋ねると、「どこに行っても街を見る時間は夜しかないが、仁寺洞には独特な夜の姿があるみたい」との答えが返ってきた。

しかし、スクリーンに映し出される横浜は大半が昼間で、夜は証言者の回想や昔の写真の中に少し出てくるだけだ。カメラは現在と過去を行ったり来たりしながら、時には温かく、時には乾いた視線で横浜の変化を映す。「横浜は日本近代化の象徴。開港後の150年間で人工的に作られた都市だが、地域的な特色もはっきりしている。個人的には30年間暮らした故郷なのでもうなじんでいる、いつも緊張感を維持したい恋人のような存在だ。相手の良いところだけでなく、嫌なところも受け入れられる関係ということ(笑)」。

主人公は、おかしな身なりと優雅な足取りで50年間にわたり横浜の街に立つ女性、メリーだが、作品の中で口を開くのはメリーでも中村監督でもなく、横浜の人々だ。メリーが直接の撮影対象だったなら劇映画が適していたかもしれないが、この作品は戦後に屈曲した人生を生きてきた人々の姿を見せる映画でなければならなかった。「だからドキュメンタリーの形を取った。メリーではなく、彼女の周囲で生きてきた横浜の人々がどんな話をするかが一番重要だった」と話す。

『ヨコハマメリー』の完成までには、取材2年、撮影3年の合わせて5年を要した。中村監督は、やはり横浜の人々の話を盛り込んだ次回作を2年前から準備している。日本でも自分の準備期間はちょっと長いほうだと笑い、長い間暮らしよく知っているつもりでも、撮影する度に自分が知っていたのとは違う景色、歴史に出会える街だと、横浜への愛情を語った。観客に特定のメッセージを伝えたいという考えはないが、人間に関する普遍的な話なので韓国の観客にもそのように見てもらいたいという。


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