ソウル・首都圏19万6000世帯の家主が逆伝貰で赤信号…仁川市が最も危ない=韓国(画像提供:wowkorea)
ソウル・首都圏19万6000世帯の家主が逆伝貰で赤信号…仁川市が最も危ない=韓国(画像提供:wowkorea)
韓国では最近、チョンセ(伝貰:韓国独特の賃貸住宅制度。入居時に一括で高額の保証金を入れる)保証金の相場が契約時より下がり、家主が保証金を返せない「逆伝貰」の懸念が高まっている。

 韓国メディア「ヘラルド経済新聞」の調査によると、ソウル首都圏のマンションでチョンセの保証金が最も高い時期だった2021年6月から2022年5月までの新規契約の中で、2年が過ぎた今年下半期から来年上半期まで再契約しなければならない物件が約19万6900件あることが分かった。契約当時、チョンセ保証金が現在の相場より平均1億ウォン(約1100万円)以上高く、再契約の際には、家主がその差額分を返さなければならない「逆伝貰」の危険な状態にある。

 19日、同紙が国土交通省の実取引価格公開システムに掲載された2021年6月1日から2022年5月31日まで、首都圏(ソウル・京畿・仁川)のマンションチョンセ契約(契約日基準)41万8383件を分析した。その結果、新規チョンセ契約は47.1%(19万6902件)、更新契約(再契約)は52.9%(22万1481件)だった。再契約物件の中には、法的権利である契約更新請求権を行使した世帯が9万169件あった。全体のチョンセ契約数の21.6%が、チョンセ保証金5%引き上げ上限基準が適用される請求権を行使したことになる。

 2021年の6月はチョンセ申告制が始まった時期で、2022年5月までの1年間、首都圏マンションのチョンセ保証金は過去最も高かった。この時期に契約したチョンセは、今年下半期から来年上半期まで再契約しなければならない。そのため、今後住宅市場を揺るがす最も大きな変数とみられている。ほとんどが最近1~2年でチョンセの保証金が急激に下がり、保証金の逆転現象で、家主が危機に追い込まれている。韓国銀行では、この逆転現象で危機に追い込まれる物件が全国で103万件と推算している。

 地域別に、ソウルでは14万9048件のチョンセ契約の中で、6万3780件が新規契約だった。再契約は8万5268件で、全体で新規(42.8%)より再契約の割合が57.2%とはるかに高かった。

 同期間、京畿道のチョンセ契約は22万7589件あった。この中で新規契約は11万513件で、再契約が11万7076件だった。京畿道で新規契約は48.6%、再契約は51.4%を占めた。

 仁川では同期間、チョンセ契約が4万1746件成立した。新規契約は2万2609件、再契約は1万9138件あった。新規契約は全体の54.2%、再契約は45.8%だった。

 専門家たちは、当時のチョンセ契約の中で、新規契約が「逆伝貰」現象の震源地になると予想している。

 韓国投資証券のキム・ギュジョン資産継承研究所長は、「当時、チョンセ契約の中で、新規契約は最近になって過去最大級のチョンセ価下落が起こり、ほとんどの家主が借家人に保証金の一部を返さなければならない状態だ。逆伝貰で危うい物件の一部は、急売するしかないため、売買市場にも負担を与えざるを得ない」との見方を示した。

 政府機関の韓国不動産院によると、最高値だった2022年1月のソウルマンションの平均チョンセ保証金は6億3424万ウォンだった。それが現在(今年4月時点)、5億1077万ウォンと1億2000万ウォン以上下落している。京畿道と仁川を含む首都圏全体の平均チョンセ保証金も、最高に跳ね上がった2021年12月の4億5103万ウォンから現在3億5398万ウォンまで1億ウォン近く値下がった。

 当時、契約更新請求権を行使した物件を含めた再契約数は、全体チョンセ契約の52.9%もあることが分かった。

 再契約物件はチョンセ価格の上昇幅を5%以内に制限する契約更新請求権を行使したり、家主が自発的に保証金の引き上げ幅を減らして、借家人と円満に合意した場合がほとんどだ。

 当時、契約更新請求権を行使した物件はソウル3万8891件、京畿4万4309件、仁川6969件規模で首都圏全体のチョンセ契約の21.6%だった。これらの物件は、チョンセ引き上げ率の上限となる5%以内で保証金を上げたため、結局4年前の2019年12月前後のチョンセ保証金より5%程度増えた金額で契約がなされた。したがって、これらの物件はチョンセ保証金を大幅に引き上げて契約しなかったため、逆伝貰状態にはなりにくいとみられている。

 建設産業研究院のホ・ユンギョン研究委員は、「チョンセ契約の契約更新請求権を行使したことが、皮肉にも現時点では逆伝貰の拡散を防いだことになる」と述べた。
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