<W解説>韓国・野党の代表選に、対日強硬派・李在明氏が出馬=当選すれば日韓関係改善に乗り出す尹政権の取り組みにも暗雲?(画像提供:wowkorea)
<W解説>韓国・野党の代表選に、対日強硬派・李在明氏が出馬=当選すれば日韓関係改善に乗り出す尹政権の取り組みにも暗雲?(画像提供:wowkorea)
今年3月の韓国大統領選で惜敗した最大野党「共に民主党」のイ・ジェミョン(李在明)氏が17日、国会で記者会見し、来月28日に行われる党代表選への出馬を表明した。党員の支持が厚いイ氏は最有力候補。対日強硬派であるイ氏が代表選に当選すれば、関係改善に向けたユン・ソギョル(尹錫悦)政権の取り組みにも影響が出ることは必至だ。

 李氏は南東部・キョンサンプクド(慶尚北道)アンドン(安東)郡(現・安東市)生まれの57歳。貧しい家庭に育ち、小学校卒業後は少年工として働きながら検定考試に合格、中学・高校の卒業資格を得た。1986年に韓国の中央大学を卒業し、弁護士となった。

 その後、2010年にソウル近郊のキョンギド・ソンナム(京畿道・城南)市の市長に就任。17年の大統領選では、「共に民主党」の公認候補を選ぶ党内予備選挙に立候補したが、ムン・ジェイン(文在寅)前大統領に敗れた。18年から昨年10月まで京畿道知事を務めた。過激な言動がトランプ前米大統領に似ていることから、メディアはしばしば李氏について「韓国のトランプ」と表現してきた。

 今年3月の大統領選には「共に民主党」の公認候補として出馬。「国民の力」の候補だった尹氏と最後まで激しい選挙戦を繰り広げたが、当選した尹氏とわずか24万7077票差で惜しくも敗れた。

 その後、李氏は先月1日に韓国統一地方選挙と同時に実施された国会議員補欠選挙で、首都圏のインチョン(仁川)選挙区から出馬し当選。それまで国会議員の経験がなかった李氏は晴れて議員バッジを着けることになった。李氏は自身の補選出馬と併せて、党からは総括選挙対策委員長の職を託され、党の選対トップとして陣頭指揮を執ってきた。しかし、党は惨敗し、李氏は当時「国民の叱責と厳重な警告を謙虚に受け止める」とし、「国民の信頼を回復できるよう最善を尽くす」と語った。

 当時、李氏の責任を問う声も上がったが、「李氏を中心に党の危機を収拾すべき」との意見もあり、来月28日に行われる党代表選に出馬する可能性が高いとみられてきた。

 17日に国会で記者会見し、出馬を表明した李氏は「民主党を変え、政治を変え、世の中を変えたい」と意気込みを語った。その上で「その始まりは勝てる民主党をつくることだ。次期総選挙で必ず勝利する。勝てる民主党をつくる任務に失敗すれば、李在明の時代的な役割も終わる」と述べた。

 党内の一部では、李氏には大統領選敗北の責任があるとして、そんな中で代表選に出馬することを疑問視する声も上がっており、これについて李氏は「最も大きな責任は私にあるという考えに変わりはない」としながら、「責任は問題回避ではなく問題解決であり、言葉ではなく行動で示さなければならない」と語った。その上で「党の苦境から目を背けず、新しい民主党、勝つ民主党をつくることが真に責任を取る行動だと信じている」と述べた。

 現在のところ、李氏に対抗できるほどの候補はいないため、李氏の当選が有力視されている。しかし、李氏は対日強硬派として知られ、大統領選候補時も反日的な言動を繰り返してきた。国会の議席数は与党「国民の力」が114議席であるのに対し、野党「共に民主党」は169議席を占めており、李氏が党代表になれば、日韓関係改善を目指す尹政権に対し、さらなる対決姿勢を見せることは必至だ。

 中でも、日韓の最大の懸案である元徴用工問題に関しては、元徴用工訴訟で、裁判所が日本企業に賠償を命じたことを受け、原告側が韓国内にある被告の日本企業の資産差し押さえと売却(現金化)に向けた手続きに踏み切っており、大法院(最高裁判所)は早ければ今秋にも強制執行の開始に向けた最終判断を示すものとみられている。仮に現金化がなされれば日韓関係のさらなる悪化は必至で、ユン政権は問題解決を急いでいる。このほど解決に向けた「官民協議会」も発足し、14日には2回目の会合が開かれた。しかし、対日強硬派の李氏が党代表となった場合、徴用工問題の解決を目指すこうした政策も、「共に民主党」の反対で進ちょくが滞る可能性もある。

 李氏はこの日の出馬会見で尹政権について「無能、無責任、無気力」と強く批判した。

Copyrights(C)wowkorea.jp 3