【合同インタビュー】映画「告白、あるいは完璧な弁護」のユン・ジョンソク監督、「久しぶりに書く手紙の相手がまさかソ・ジソブさんになるとは思いませんでした(笑)」
【合同インタビュー】映画「告白、あるいは完璧な弁護」のユン・ジョンソク監督、「久しぶりに書く手紙の相手がまさかソ・ジソブさんになるとは思いませんでした(笑)」
ドラマ「ごめん、愛してる」「ドクター弁護士」など多くの作品で主演を務め、日本でも人気の俳優ソ・ジソブ。彼のスリラー初挑戦となる映画「告白、あるいは完璧な弁護」が6月23日より全国公開されることが決定した。監督を務めたユン・ジョンソクは、本作で第42回ファンタスポルト(ポルト国際映画祭)監督週間部門最優秀監督賞を受賞し、世界的な注目を集めている。日本公開に先立ち、ユン・ジョンソク監督のオンラインインタビューが行われた。

韓国映画「告白、あるいは完璧な弁護」のキャスト、公開日、あらすじ

映画「告白、あるいは完璧な弁護」は、ユン・ジョンソク監督の2009年に公開された映画「マリン・ボーイ」以降、長編映画としては13年ぶりの新作となる。監督にとって久しぶりの現場は、システム的に発展し効率的に撮影ができたこともあり、スケジュール通りに進み撮影を終えたそうだ。韓国での公開を2020年11月にし、それに向けて制作報告会をしようとしていたが、コロナ禍によって公開を遅らせざるを得なくなった。

「映画を撮影した場所はソウルではなく、カンウォンド(江原道)という場所で撮影しました。決まっていたスケジュール内で撮影を終えて、ソウルに戻ったのですが、その頃からコロナが広まっていっていました。その時はこんなにも大変なことになるとは思っていませんでしたが、どんどん深刻になっていき、映画の公開を延期することにしました。2年ほどコロナが落ち着くまで延期となり、やっと公開(韓国で2022年10月)することになりました。そして、こうして日本の観客の皆さんに映画をお見せできることが出来てとても嬉しいです。」

本作は、スペインやイタリアでも映画化されている作品。韓国で映画化しようと思ったことについて聞いて見ると、彼は「最初に原作を読んだときに、この作品を韓国の文化に合ったようにリメイクしたいという意欲も大きかったですし、作品を作って行く段階で自信を感じられるようになりました。出来上がった台本やキャスティングされた俳優に会ってリハーサルをし、撮影に入る前の事前作業をしながら自信が沸いてきて、面白い作品だと確信を持って撮影に入りました」と明かした。

監督が自信を持って話したように、映画は圧倒的な存在感とカリスマ性を持つ俳優たちが譲れない演技対決を繰り広げ、緻密なプロットで描かれた予測不能な展開が観客を魅了し、本国では興行収入ランキング初登場第1位を記録している。

劇中、密室殺人事件の容疑をかけられているユ・ミンホを演じたソ・ジソブは本作で初めてスリラー映画に挑戦。キャスティングした理由や撮影中に感じたソ・ジソブの魅力について聞いてみた。

「ソ・ジソブが演じたユ・ミンホは、隠し事が多く、本編中でいくつもの顔を見せるストーリーが多い人物です。したがって観客は、彼を信頼すべきかどうか、映画を観ている間ずっと葛藤するでしょう。これまで演じてきた作品やキャラクターとは違うので私もそうでしたがソ・ジソブさんもとても心配する部分がたくさんありました。難しい役柄ですがソ・ジソブはそのようなユ・ミンホのミステリアスな点をさらに強化してくれると確信しオファーしました。それまで演じたことのないキャラクターだったと思うので彼も挑戦したかったようですし、彼が演じたユ・ミンホは本当に予測不可能で、より深みのあるキャラクターになりました。だからこそ、事前にリハーサルを綿密に行いました。現場に行ってカメラの前に立って撮影をするときに、僕自身驚きました。彼はこんな姿まで見せてくれるんだと、本当にたくさん準備をされたのだと思いましたし、彼自身もこれまでに見せたことのない演技をすることで楽しさを感じていたと思います。」

オファーをする際に、監督がソ・ジソブに手紙を添えて台本を送ったことも話題となっていた。
「オファーをするときに手紙を送ることは初めてでした。手紙も久しぶりに書いたのですが、その相手がまさかソ・ジソブさんになるとは思いませんでした。以前は気持ちを伝えるために手紙はよく書いていましたが、スマホが普及してから、手紙を書く機会がなくなりました。今回、キャスティングで台本を渡すときに、台本だけを渡すだけでは物足りないと思い、キャスティングの意味を伝えたいと思いました。なぜならソ・ジソブさんが今まで演じたことのないキャラクターだったので、なぜこの台本をソ・ジソブさんに渡すのかという僕の心からの気持ちを伝えたくて書きました。僕もその手紙がとても印象的でしたし、ソ・ジソブさんもとても良い印象で受け取ってくれたのではないかと思います。」

ソ・ジソブのほかに、豪華な実力派俳優も集結した。ユ・ミンホの弁護を担当することになったキム・ユンジンが演じたヤン・シネ弁護士は、ストーリーテリングと緊張感を維持する上で非常に重要な人物です。彼女のキャスティングについて、監督は「キム・ユンジンさんはかけがえのない存在でした。他の作品でも専門的な職業の役柄を完璧に演じていました。そして、今作でも犯罪スリラーというジャンルでストーリーテリングをリードする弁護士という難しい役でしたが、最高の演技力を見せてくれました。彼女の繊細な視線と微妙なセリフを追っていると、映画のストーリーにさらに集中してしまいます。それは彼女の持つ、かけがえのない俳優の力のおかげです」と語った。また、撮影期間の2人については「お互いに意見を交換し、議論しながらキャラクターを作り上げていきました。細かいセリフのトーンや表情の微妙な違いにも様々な感情を込められるように、事前のリハーサルに多くの時間を費やしました。現場ではその努力が実を結んだと思います」と当時を振り返る。

劇中、ユ・ミンホの不倫関係にあり、密室殺人事件の被害者キム・セヒを演じたナナ(AFTERSCHOOL)のキャスティングついて、監督は「ナナさんは強烈なイメージを持ちながら、そのすべてがベールに包まれているような神秘性を与える俳優だと思っています。そのような彼女の印象がキム・セヒというキャラクターを演じるのに最適だと考えました。実際、ナナさんはキム・セヒを完璧に演じてくれました。抑制された動きと台詞の運びをみると、ナナさんが備えている俳優としての基本がいかにしっかりしているかがわかると思います」と話した。

映画では、もう一つ事件が関わってくる。行方不明になった息子を探す父親ハン・ヨンソクを演じたチェ・グァンイルは、「私が探していたヨンソクだった」と話す監督。
「彼と初めて会った際にヨンソクのキャラクターについて話し合い、確信しました。チェ・グァンイルさんは落ち着いた雰囲気の中に、熱い溶岩を含んでいるようなパワーを持った俳優に見えました。 彼はヨンソクの日常的な姿から、豹変する激しい感情ところまで、とても細かく演じ分けてくれました。表現できる感情が本当に広い俳優です。最後に決まった役でしたが、チェ・グァンイルさんに会えたのは本当に嬉しい瞬間でした。」

撮影現場は山荘やホテルなどの限られた空間の中で物語が展開していくこともあり、撮影の事前準備に長い期間を費やしたという。彼は「映画の特性上、とても限られている空間で制限された人物が出ているので、演劇的な要素がたくさんあると思います。カメラも近くにありますし、俳優達の表情が重要な映画なので、俳優たちの繊細な動きなどを細かくチェックする必要がありました。撮影現場ではそういった時間もないので…。すべてのスタッフと俳優がお互いに意見を交換し合って、準備を完全にした状態で撮影に入りました。そのおかげで、より効果的な撮影ができました」と明かした。

また、本作は回想シーンが多く出てくる作品。これはソ・ジソブが演じたユ・ミンホが弁護士に当時の状況を説明していくからだ。
「メインの空間は山荘なのですが、事故現場やホテルの部屋などのフラッシュバックに出てくるものを先に撮影しました。そして、撮影したものを編集してから山荘に持って行き撮影に入りました。合間にフラッシュバックが入るのですが、頭の中でフラッシュバックのシーンを描かなければならないので、俳優にとっては大変なことだと思ったんです。ですが、私たちは先にフラッシュバックの撮影をしたので、フラッシュバックの映像の台詞と合わせながら撮影をしていきました。」

メインの空間は山荘ではあるが、上空から雪景色を見せたり、映画のオープニングクレジット部分の絵が滲んでいく様子などを見せたり、こだわって撮影していることが伺える。
「台本を書くときから、頭の中に描いていました。事件的にも感情的にもどういったところで撮影するのが良いのかと考えた結果、“冬”、“雪”、“山奥にある別荘”というものが浮かんできました。そういったコンセプトが決まったことで、オープニングのクレジットのイラストも作ることになりました。止まっているようだけど徐々に広がっていき、死んでいるように見えるけど、じっとしているのではなく動いていくような、そういったことをイラスト作家のナムグン・スヨンさんと話し合って作りました。撮影しながらも季節的な空間的なひんやりとした感じを生かすための場所を探しました。韓国だけでなく、こういったジャンルの映画を観るとテンポが速くて華麗なカメラワークなどがあって、そういったことが話題になりがちですが、最初は穏やかで静かな感じに見えるけど、だんだんいろんな話しが合わさっていき、クライマックスにもっていくような、一つ一つが積もっていくような感じにしたかったんです。」

また、衣装やヘアスタイルにもこだわったそうだ。彼は「人物を中心とした映画だったので、衣装やヘアスタイルについてとても気を使いました。ユ・ミンホが内面を正直に出さないという点からセーターを着せたり、作品の中で気持ちが焦っていく感情に合わせてフィットするような服装にしたりしました」と説明した。

さまざまな点にこだわりを見せ、完璧に撮影していったわけだが、撮影中に大変だったこともあったそうだ。監督は「雪が降ってほしいと思ったのですが、撮影中はあまりにも雪が降りませんでした。こんなにも降らないとは思ってもいなかったのですが、結局、人工雪を使いました。なので、雪の準備をするだけで時間がかかり、撮影するのが遅くなってしまったこともありました。そこが一番大変でした。それから、別荘の撮影をするときにソ・ジソブさんが酷い風邪にかかってしまったんです。なので、3日間くらい声が完全に出なくなってしまったのですが、その時は台詞のない表情をメインとした撮影をしました。そのときは、体力的に大変だったと思います」と話し、面白いエピソードについては「ソ・ジソブはいつも撮影現場にキャンディバスケットを持って登場しました。スタッフにキャンディーを配って挨拶をすることで一日を始める"sweet guy"でした。しかし、彼が演じたユ・ミンホは正反対の甘くないキャラクターでした。そのため彼本来の甘い男の姿から甘くない男のミンホという相反するキャラクターを演じるのは、俳優としてかなり高度な集中力が必要だったと思います。それでもソ・ジソブは毎瞬間驚くほど集中し、正確な演技でキャラクターと状況を表現していました」と、エピソードを話してくれた。




『告白、あるいは完璧な弁護』

6月23日(金)シネマート新宿、シネスイッチ銀座、グランドシネマサンシャイン池袋、YEBISU GARDEN CINEMA 、シネマート心斎橋 他 全国順次ロードショー

<STORY>
密室殺人容疑をかけられた男と敏腕弁護士。雪で閉ざされた山荘で2 人は、事件の真相を追い始めるー。
IT 企業社長ユ・ミンホの不倫相手キム・セヒが密室のホテルで殺された。事件の第一容疑者となったミンホは潔白を主張し、100%無罪を勝ち取る敏腕弁護士ヤン・シネを雇い事件の真相を探り出す―。そこで以前に起きた一つの交通事故がセヒの殺人に関係しているかもしれないと告白し、事件の再検証がはじまるが…。錯綜する2 つの事件と証言。その真実は誰のためのものなのか。欲望に隠された<衝撃の事実>に辿り着いたとき、切ない“痛み”があなたを襲う。
<クレジット>
キャスト:ソ・ジソブ、キム・ユンジン、ナナ(AFTER SCHOOL)、チェ・グァンイル
監督・脚本:ユン・ジョンソク『マリン・ボーイ』
製作:リアライズピクチャーズ『王になった男』『神と共に 第一章:罪と罰』『神と共に 第二章:因と縁』
2022/韓国/105 分/DCP/スコープサイズ2.40:1/カラー/5.1ch/字幕:HTO MEDIA/原題:자백
配給:シンカ 宣伝:フラッグ 提供:シンカ、フラッグ、エスピーオー
公式サイト:https://synca.jp/kokuhakuaruiwa/ @SYNCA_asia #告白あるいは完璧な弁護
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