ソン・イェジン=12日、ソウル(聯合ニュース)
ソン・イェジン=12日、ソウル(聯合ニュース)
女優ソン・イェジンの明るさがひときわまぶしかった。主演映画『白夜行―白い闇を歩く』の封切りを控えた12日、ソン・イェジンにインタビューした。軽くてくつろいだ感じのニット、白いスカートにタイツを合わせたキュートないでたち。目元にいつもの笑みをたたえ、休む間もなく速いテンポで話を進める彼女に、『白夜行』の完ぺきに作りこまれたヒロイン・ミホの姿はない。

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 この作品ですでに10本目の映画となる。これまでを振り返ると、清純な初恋に胸をときめかす役から始まり、『四月の雪』『ナンパの定石』『無防備都市』『妻が結婚した』と、作品のたびにがらりとイメージの違う新たなキャレクターを、ソン・イェジンならではの魅力でこなしてきた。しかし、そんな彼女でも、殺人者の娘というつらい過去を背負うミホは、簡単ではなかった。
 「おかしなことに、ミオがとても怖かった。彼女の感情を受け入れ、そこに巻き込まれてしまうのではないかと恐れたんです」。映画の企画段階から長い時間、ミホを見つめてきたが、受け入れるのは怖く、撮る間だけミホになろうと考えた。無責任すぎるのではないかと思いもしたが、仕方がなかったという。

 今回、試写会で初めて映画を見た時には、とても緊張した。『妻が結婚した』で昨年大きな賞をもらった次の作品となったためか、それとも10作品目という区切りのせいなのかはわからない。ただ、これまで試写会では観客の反応をある程度予想することができたのに対し、この作品は「到底わからなかった。それほどミホは難しかった」という。

 原作となった日本の作家、東野圭吾の小説はすでによく知られている。ソン・イェジンは企画段階で制作会社から渡されて小説を読んだ。彼女が感じたヒロインは、骨の髄までの悪役で、鳥肌が立つほど怖い人物だった。もし映画でもそのままのキャラクターだったら、引き受けなかっただろうが、映画ではミホを、「なぜだか胸が痛い」と感じさせる役に作り上げることになった。

 映画は、婚約者と情事にふけるミホと、殺人を犯すヨハン(コ・ス)を交互に映し出す強烈なコントラストで始まる。物語後半ではミホが交通事故に遭う瞬間に、ヨハンと別の女の激しいベッドシーンが映し出される。そのため、インターネットで『百夜行』を検索すると、”露出”というワードが現れるほどだ。しかしソン・イェジンは、「ミホとヨハンは離れていて別の行動を取っているが、心はひとつだということを見せるための一番重要なシーン」と力説する。

 大変なシーンとして挙げたのも、やはり脱いだ状態で婚約者の娘と話をするというシーン。決していやらしすぎず、痛みが迫ってこなければならなかったが、果たして観客がミホの気持ちを理解できるか、観客の目を引こうと無理やり入れた場面と思われか、などと心配した。

 同じくらい大変だったのは、自らを極度にコントロールする完ぺきな人物であるミホを作り上げることだった。コーヒーをひと口飲むシーンでも、何度も視線の角度を変えて撮りながら、ミホの微妙な表情を探った。そのうち、手足をぎちぎちに縛られて演じているような錯覚さえ起こした。今考えても、よく挑戦したものだと思う。

 この映画の反動か、次は明るく面白く、あまり大変すぎない作品に出たいという。そう言いながらも、彼女は自分をよく分かっている。「また別の魅力を持つ役なら、いくら難しくてもまたしてしまうんでしょうね」。
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