多様な役柄で演技の幅広げるイ・ダイン

「スカートを履いて化粧まですると、だれもわたしが”キム君”だとわかりません。だから少し悔しいです（笑）」――。

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　KBSドラマ『彼らが生きる世界』で、身なりも性格も男みたいな”キム君”を演じ注目されたイ・ダインが、最近放送終了したMBCドラマネット『欠陥専門チームゼロ』では180度異なる姿を見せ、演技の幅を広げている。

”キム君”とは全く別人だった。お姫様風のファッションを好み、化粧もきれいにしていて立ち居振る舞いも非常に女性らしい。
　”キム君”は、女優ならだれもが挑戦したがる役だと彼女は言う。「『彼らが生きる世界』の脚本家には二度とできない役かもしれないと言われましたが、その通りです。さばさばして男らしく、粘り強いけどかわいらしいキャラクターじゃないですか」。
　どうすればより男らしく映るのか悩んだ末、足をわざと広げて座るなど100種類の男性特有のしぐさを練習した。これまでできなかった行動に対する好奇心も強く、実際に演技も楽しかったという。
　視聴者に「あの俳優はだれ？」と気にさせるほど、”キム君”は目を引く役だった。ほっそりとした体つき、ショートヘアの彼女には、まさにはまり役のように思えた。

　そんな彼女が、『欠陥専門チームゼロ』ではきれいな女性に変身した。演じるミナは女性らしい女性だ。高慢な態度を見せたりもするが、心の中では叶わない恋に悩み続ける。イ・ダインは『彼らが生きる世界』直後に全く異なるキャラクターを演じることになり、思い切り女性らしさを出したと笑う。
　変身は楽しかった。しかし、”ミナ”と”キム君”が同じ女優だと分からない人も多く、一日も早く認知度を上げたい新人女優としては残念な気持ちもあった。女優としてさまざまな姿を披露できることは非常にいいことだが、一方では人々に毎回わかってもらえず悔しいと明かした。

映画『ひとりぼっち』では、イジメで自殺するハーフ役を演じ、映画を見た人には強烈な印象を残した。しかし映画スタッフでさえ、そのハーフを演じたのがキム君、ミナを演じたイ・ダインだと知らない場合もあったという。
　古典舞踊の道を歩むつもりだったが、足首を痛めてから女優の道に目を向けた。モデルエージェンシー100社余りにプロフィールを送る努力を重ねた末、2005年に芸能界入りした。「演技をしながら別人になることがおもしろい」というイ・ダインは、次にはまたどんなキャラクターが待っているかが楽しみだと語った。