マキ奈尾美さん(STOMPミュージック提供)=(聯合)
マキ奈尾美さん(STOMPミュージック提供)=(聯合)
【ソウル29日聯合】「人はわたしを『カタール大使夫人の夫』と見るかもしれませんね」――。以前、カタール大使宅で開かれたガーデンパーティーで、アルミダディ駐韓カタール大使が冗談交じりに口にした言葉だ。

 その言葉が示すように、マキ奈尾美(アルミダディ奈尾美)さん(48)はカタール大使夫人でありながら、韓国でピアニスト、作曲家、歌手、画家としてエネルギッシュに活動を続け、大きな存在感を放っている。1986年に日本で初のアルバムを出して以来、アルミダディ氏との結婚後も東京から米ニューヨーク、英ロンドン、ソウルと活動の場を移しながら、音楽家や画家として活躍してきた。

 大使夫人として韓国を訪れたのが4年前。国内でもCDを発表してきたピアニストの佐佐木功さんらが所属する演奏音楽レーベル会社「STOMPミュージック」を知り、昨年に直接オーディションを申し入れた。奈尾美さんの演奏を聴いた同社スタッフは「親しみやすいながらも個性がある」と評し、契約を決めた。

 ことし9月末には、これまで暮らした都市で書き溜めた11曲を盛り込んだアルバム「dear beautiful moment」をリリースし、韓国デビューを果たした。大使夫人がミュージシャンとして活動するため複雑な事務手続きを経ねばならず、アルバム発売までに長期を要した。

 その奈尾美さんが28日、ソウル・新堂洞の建築会社でのフォーラムに招かれ公演を行った。韓日女性親善協会の姜英姫(カン・ヨンヒ)副会長や日韓女性親善協会関係者をはじめ奈尾美さんのファンらが集まり、午後8時の開幕時には50人以上が会場を埋め尽くした。

 公演は、15年にわたり韓日親善に助力してきた姜副会長らへの感謝を込め、清元の演目「花がたみ」のアカペラで幕を開けた。その後、韓国伝統菓子をモチーフにして作った「ユルラン(栗卵)」などのアルバム収録曲に加え、イタリアの歌曲も韓国語で披露し会場から大きな拍手を受けた。

 公演に先立ち行ったインタビューで奈尾美さんは、「今回のアルバムは韓国でしか作れなかった作品」だと話した。収録後に客観的に聴くと、日本や英国でレコーディングしたのとは違う「韓国にしか出ない音」が存在していることに気づいたという。「命の流れを表わすかのような絶え間ない漢江の流れに見た自然のエネルギー、山々に囲まれたソウルの美しさ、相手を思いやる韓国人の情や温かさなど、4年間の韓国生活で『韓国の世界』をたくさん感じました」。そういうものを傍らに置きながら、今回のレコーディングがあったと振り返った。

 続けて、アルバムの曲は「聴く人に生きる夢や希望を与えたい」との思いを込めて作ったと述べ、「自分の音楽が前に進んでいくための力になれればうれしい」と笑顔を見せた。

 初のアルバムを出したばかりだが、来年1月にはロシアにたつ。奈尾美さんは「この4年間、日本と非常に近いながらもまったく違った内面、優れた音楽性を持つ韓国人とともに過ごせたことは本当に幸せだった」と振り返り、今後は1人のミュージシャンとして韓国を訪れ音楽活動を続けていくと強調した。これまでと同様、ロシアでも現地の文化を吸収し、今後はさらに深みを増した「マキ奈尾美の音楽」を聴かせるに違いない。(記事=小松朋子)

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