キム・ジャンフン の最新ニュースまとめ


















●映像時代、文化ゲリラになった視聴者

初秋から、解体した家族の意味を取り戻すという主題意識と、社会の中心から疎外された主人公達の譲れない夢を描いたこのドラマは、今までのトレンディードラマに食傷気味だった視聴者の共感を呼び、果ては中毒症状まで起こさせ、話題となっている。

現実性が足りない、サイコドラマだ、などといった様々な批判にも拘わらず、長期化する不況とコミュニケーションの不在という状況の中で、孤独を感じている市民たちの感性に訴えかけ、放送回数を重ねるほどに、映像文化に慣れ親しんだ若い視聴者から静かな人気を集めている。

このような人気の裏には“アイルランド廃人(熱烈ファンのこと)”(別称:アレン)の影響が大きい。
一部マニアの占有物と思われてきた“作家主義ドラマ”の第1世代と呼ばれるイン・ジョンオク作家は、前作ドラマ『勝手にしやがれ』で初めて“廃人”を呼び集め、20%に満たない視聴率でもその年の“グッドドラマ”に選ばれたり、“廃人”らの声援によってDVD発売が実現したりし、話題となった。

『アイルランド』放送終了以来、彼ら“廃人”は、DVDvol.1に次いでvol.2の発売を心待ちにし、P2P形式でインターネットからダウンロードした動画を鑑賞しつつ、2ヶ月余り残った今年を過ごすつもりである。いや、別のドラマにハマって第2の『アイルランド』シンドロームを生み出すかもしれない。


●アレン廃人が増えた理由は何か

第一に、脚本を手がけたイン・ジョンオク作家は、前作『勝手にしやがれ』のチアリーダーと前科者に続き『アイルランド』の無職のチンピラ、養子、AV俳優など、社会から傷つけられ、疎外されたキャラクターを取り上げ、映像とデジタル文化に慣れた20~30代の視聴者層を狙って視聴者らの身近な出来事を語りかけている。

ドラマ『アイルランド』は、舞台となるアイルランドだけでなく、“島(Island)”という、傷ついた悲しめる魂が互いを慰め合う、彼らだけの世界を表しているのかもしれない。養子、孤児、家族を支える少女、失業者など、登場人物の面々は、社会低辺の問題を抱えており、作家は一本のドラマを通して、別の人生と夢を我々に見せているのである。

さらに主人公達は、映像文化に慣れた若い視聴者たちに感覚的な映像と、象徴的なセリフ、そして助詞や語尾など、叙述的な口語体をほとんど排除した、チャット式の簡潔な会話を使っている。

また、ドラマの放送開始前からアレン廃人たちはDaum、ネイバーなど、ポータルサイトにファンカフェを開設し、予告編に出たシーンのキャプチャーや俳優のセリフを掲載、視聴を誘導したり、毎回放送後にその回の編集動画、主要場面のスチールイメージや感想等を掲載し、積極的にドラマ展開に参加している。

最後に、ドラマの題材のアイルランド風の独特なB.G.Mは、秋の感傷に浸りたい視聴者に“アレンホリック”現象を起こしている。ネティズン(=インターネットユーザー)たちによって携帯の待ちうけ画面、着メロなどに使われているイ・ヒョヌキム・ジャンフン、チャン・ピルスン、チェ・ジニョン、キム・ヨヌら人気歌手の歌がドラマのサウンドトラックに使われ、感覚的な映像とあいまって、より一層アレン廃人を量産しているのだ。

●アレンホリックに陥るしかなかったわけは?

インターネットの“オルチャン(ハンサム、美人の俗語)文化”の影響するところが大きい俳優にとって、演技力の他に容貌は必須不可欠な要素で、美少年タイプのヒョン・ビンを好む女性視聴者と、アウトサイダー・ビューティーと呼ばれるイ・ナヨンファンの男性視聴者たちが“アレン廃人”シンドロームをリードしている。さらに、昨年のドラマ『チェオクの剣』でスターダムにのし上がったキム・ミンジュンと、スラングも普段語にしてしまう感覚的なセリフで人気を得たキム・ミンジョンの演技もドラマ『アイルランド』の人気の理由。

作家主義監督として海外で先に認められたキム・ギドク監督のように、ネティズンと前作ドラマ『勝手にしやがれ』の廃人にまず認められたイン・ジョンオク作家は、市民の生活と新世代言語を、最も多用するドラマ作家として人気を博している。

イン作家独特の予測不能なドラマ展開もまた、晩秋の夜、テレビを見ないと覚書まで書いた受験生の決心を打ち壊している理由といえる。作家たちの間で言われている言葉で、「映画の幕は監督が上げ、ドラマは人気作家が作り出す」という俗説通り、人気作家イン・ジョンオク作家はたくさんのマニアを作り出している。

同様にストーリー中盤までシンドロームを起こしたドラマ『パリの恋人』(廃人数213553人)、ドラマ『チェオクの剣』 (廃人数150252人)に次いで3位だったが、10月31日現在、インターネットポータルサイトDaumの、2つの『アイルランド』ファンカフェ会員の総人数は165696人(重複加入可能)で、視聴率に比べれば『アイルランド』は、マニアドラマとして記憶されるだろう。

愛と意思表現に正直な新世代の嗜好に合わせた感覚的なセリフを、眠る前に何度もくりかえしたり、あちこちのサイバー空間を行き来しているうち、いつの間にか催眠にかかってしまう。人の温もりが恋しい秋の夜、解体してしまった家族の原型を復元し、その魂を癒すドラマは、我々の情緒に最も強く訴えかけてくる主題である。

ブログやミニホームページなど、個人化されたコミュニティを中心とした口コミ広報が、このドラマの廃人を量産した、最も普遍的な理由といえる。パソコンや超高速通信網など、発達した情報インフラを基盤に、“ポミュニケーション”(あちこちのサイトからテキストを引用すること)で、アレン廃人の知人や友達のブログ、ミニホームページにおいて、ほぼリアルタイムでドラマやスター関連の情報に接することができるからである。

●果たしてアレン廃人は盲目的にドラマを愛しているのだろうか

そうではない。作家が見逃してしまいがちな部分に関する助言などもし、まるで作家になったかのように結末についての予測シナリオを出したりもする。去る7日(木)夜11時、12話放送以後4時間で、800件余りの視聴感想文が掲載された。また養女であったヒロイン、チュンア(イ・ナヨン)が夫のカングク(ヒョン・ビン)とジェボク(キム・ミンジュン)の間で揺れ動いていることに、「ストーリー展開が緩んでしまう傾向がある」と、突っ込んだ忠告もためらわないのがアレン廃人の基本姿勢だ。

また、ドラマに対して否定的な評価が記事かされる時は、必ずファンの掲示板で当の俳優に激励を惜しまない。劇中、カングクがスター俳優へと成長していくAV俳優のシヨンと親しくなると、これを警戒する文をイン作家に対して掲載したり、12話で交通事故に見舞われるジェボクとチュンアに冷たくされるカングクを見て、「カングクやジェボクに幸せを」という意見をドラマホームページの掲示板に書きこんだりしている。

チュンア:やっとわかった、私はたった1人の男性だけが好き(12話のラストシーン、チュンアのセリフ中)

劇中、養女として育ったインターン、チュンアの感覚的なこのセリフが「12話を見なければ良かった」「12話を見たから来週も見なければ」などと、中毒症状を訴える高3視聴者の書き
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