<b>“変化する家族像”上手く描き成功</b>
MBCシットコム『思いっきりハイキック!』の最終回である13日午前8時半、キム・ビョンウクPD(プロデューサー)のソウル・光化門(クァンファムン)近くの自宅を訪ねた。家族写真がかけられている玄関を通ってリビングに入ると、劇中の“OKヘミ(パク・ヘミ)”女史が思い浮かぶ、素敵な夫人が記者を迎えてくれた。「こんな早い時間に…」
書斎では半ズボン姿の男性が忙しそうに通話中だった。『思いっきりハイキック!』のキムPDだった。
「すみません。最後の撮影が夜明けに終わって、まだ編集中なんです」彼はテレビ界でシットコム(シチュエーションコメディ)専門PDとして通っている。『LAアリラン』をはじめ『順風産婦人科』『まともに生きろ』『可愛くても、おかしくても』などが彼の作品。
9か月間で167話が放送され、高い人気を博した『思いっきりハイキック!』を終えた感想を尋ねると、彼は「周囲が1年に延長しようとしたけど、体力的にきつくてできないと言った。妻と娘の不満も膨らんで…」「その日に撮ってその日に放送する今の環境では、2度とシットコムを撮りたくない」と、やや真面目な表情で打ち明けた。

<b>伝統的な家族制度に“ハイキック!”</b>
昨年11月6日に第1話が始まった『思いっきりハイキック!』は、7%台の低視聴率で出発したが、終了間際には20%を越え、様々な話題を生んだ。
“ヤドン(AV動画)スンジェ(イ・スンジェ)”、“食神ジュナ(チョン・ジュナ)”“ドタバタミンジョン(ソ・ミンジョン)”といった流行語が生まれ、出演陣が21本のCMに出演し、かなりの収入を得た。

『思いっきりハイキック!』は、何よりもこの時代の家族の変化像を描いたという評価を得ている。一家の大黒柱的な祖父が“AV動画”を見てバレたり、姑が嫁のご機嫌をうかがったり、失業した夫がよく稼ぐ妻の様子をうかがったりするエピソード。伝統的な家族制度に“ハイキック”を飛ばしたのだ。
「権力というのは歳月によって変わるんです。家庭内権力関係も、傍目には平等みたいだけど、経済力によって力の均衡が偏ったりします。その均衡がひっくり返された時点でこそ、コメディが生まれるんです。今回のシットコムが、全ての世代から反響を呼んだのはそういう理由からです。“スンジェ一家”を見ながら、自分の家族が見えたのでしょう」
他のテレビ局の連続ドラマとぶつかったせいで、放送序盤は苦しんだ。彼も「連続ドラマの視聴率を奪ってくる可能性について半信半疑だった」という。「この際、他の連続ドラマと競うよりも、新しい視聴層を作ってみようと心に決めました。地上派から離れた10代、20代を狙ったシットコム市場を開拓したかったんです」

<b>「映画化しようとしたけど俳優たちが忙しくなって…」</b>
視聴者がストーリー展開を予測できないようにしたり、息子の彼女(ユミ)が二重スパイというとんでもないエピソードを交えて、ストーリーを捻る方式などがそれだった。 一種の“異種シットコム”というところだ。若い年齢層は次のストーリーが気になり、インターネットで舌戦を繰り広げ、“ヤドンスンジェ”などのキャラクターのニックネームを直接つけるほどに熱狂した。

作家5人が共同執筆する台本を、成功へと導いた彼は「いくつかの制作会社から映画にしようという提案が入り、俳優たちもやると言ったが、今は俳優たちがあまりにも忙しくなって…」と明かし「検討中」とだけコメントした。

ソウル市銅雀区黒石洞(トンジャクク・フクソクドン)73-1パク・ヘミ漢方医院。最終回は1年後も相変わらずウトウトしている“ヤドンスンジェ”らの日常を見せることで終わった。劇中、離婚した男女の再結合、ユミの生死など、ファンが気になっていたことについては、はっきりとした結末を見せないまま。

キムPDは「ハッピーエンドにもできるけど、現実は嬉しくも悲しくもない、ただ淡々としたもの」「僕の中の最高のシットコムだと、“思いっきり”自負できるこのドラマを忘れられないだろう」と言葉を濁す。いつのまに彼の目頭が赤くなっていた。

Copyrights(C)donga.com & etimes Syndicate & wowkorea.jp

Copyrights(C)donga.com & etimes Syndicate & wowkorea.jp 0