殺人事件発生後48時間の間の捜査過程を盛り込んだミステリー捜査劇『『拍手する時に去れ』は、5年前の同名の演劇で大人気となった作品。チャン・ジン監督が『知っている女』以来初めて公開する5本目の長編映画だ。

シン・ハギュン の最新ニュースまとめ

江南(カンナム)のあるホテルで、美貌のコピーライターが変死体で発見され、映画は始まる。現場で疑問の容疑者キム・ヨンフン(シン・ハギュン)が検挙され、有能な検事チェ・ヨンギ(チャ・スンウォン)が取り調べを始める。

これと同時に、“犯罪のない社会作りキャンペーン”の一環で、検察の捜査過程が<誰が彼女を殺したのか>というテレビ番組で、全国に生中継される。簡単に終わると予想されていた捜査は、現場で犯人として逮捕されたキム・ヨンフンの潔白だという主張によって窮地に追い込まれ、新たな証言が続々と登場し、迷宮入りになってしまう。

『拍手する時に去れ』は、殺人事件の捜査過程がテレビで生中継されるという、独特な設定から始まるバラエティ捜査劇である。
捜査本部にCCTVが設置され、放送局スタジオにはパネラーたちと聴衆が座って捜査過程を見守り、議論を交わす。視聴者はテレビを通して捜査過程とパネル討論をかわるがわる見守る。リアルタイム番組を考案した放送制作者たちは、視聴率を高めるための極薬処方として巫女を呼び、交霊までさせる。

『拍手する時に去れ』は、ミステリー捜査劇という基本ジャンルのほか、さまざまなジャンルが混在した複雑な映画である。コメディ、スリラー、捜査物、ここに、微弱であるがロマンスも混じっており、巫俗信仰や幽霊の登場する、超自然的な要素まで網羅されている。また、風刺精神もそっとみせている。真実をめぐって建前や余計なものに惑わされている国民たち。それを主導するメディアの弊害がそれだ。

舞台演劇が母体となっているチャン・ジン監督の映画は、かなり演劇的でありながら、作為的な設定、慣習的でないストーリーテリングにユーモアが入っている。『拍手する時に去れ』は、チャン・ジンらしいユーモアに、チャン・ジンスタイルを超えたミステリー捜査劇の形式をうまく取り込んだ、味わい深い映画である。彼は大衆的なコードに迎合したこじ付け的な演出を排除し、大学路(テハンノ)の演劇広場で発揮していた才気ハツラツな想像力と実験精神をスクリーンでも発揮している。

「総合ギフトセットのような映画を作ろうとした」というチャン・ジン監督の言葉のように、さまざまなジャンルが入り混じっているが、散漫ではない。反転を添えた整理整頓はきちんとしている。真夏の蒸し暑さを冷やす“怖さ”までそろっているので、商業娯楽映画としては合格である。演劇的なセリフをうまく消化したチャ・スンウォンとシン・ハギュンの熱演にも拍手を送りたい。

正直、殺人事件を捜査する実際の状況を生放送するという設定が、ロバート・デニーロの『ショータイム』ほど完璧な構成を持ってはいないが、面白みと完成度を壊すほどではない。

Copyrightsⓒkookje news & etimes Syndicate & wowkorea.jp
Copyrights(C)kookje news & etimes Syndicate & wowkorea.jp 0