主演のイ・テソン
主演のイ・テソン
2001年1月26日、JR新大久保駅で線路に落ちた男性を助けようとして亡くなった韓国人留学生イ・スヒョンさん。1月27日、彼を追悼する意味で制作された日韓合作映画『あなたを忘れない』の舞台挨拶が、東京・新宿ミラノ2で行われた。

韓国映画「あなたを忘れない」のキャスト、公開日、あらすじ

前日に行われた特別試写会には、天皇皇后両陛下もお越しになったというだけあって、この日も会場は満席。槇原敬之が歌う主題歌『光~あなたを忘れない~』をバックに、花堂純次監督を始め、劇中でスヒョンさんの母親を演じた『美しき日々』のイ・ギョンジン、父親役として『冬のソナタ』の名優ジョン・ドンファンが登場。さらに、ヒロイン星野ユリ役のマーキー(HIGH and MIGHTY COLOR)、イ・スヒョンさん役のイ・テソンは客席後方から舞台まで歩いて登壇し、客席の拍手を浴びた。舞台挨拶終盤には、故イ・スヒョンさんの実際のお母様シン・ユンチャンさん、お父様のイ・ソンデさんも舞台に立ち、作品への熱い想いを語った。

<b>花堂純次監督</b>「初日がようやく始まってくれたという感じです。この映画が皆さんの中にどんな形で残っていくか、そして広がっていくか、とても楽しみです」
<b>イ・ギョンジン</b>「コンニチハ、ワタシハ、イ・スヒョンサンノ、オカアサンヤク、イ・ギョンジンデス。ミナサンニ、オアイデキテ、トテモウ“ル”シイデス。アリガトウゴザイマス、カムサハムニダ」
<b>ジョン・ドンファン</b>「大きな役ではありませんでしたが、この映画に参加できるということ自体の意味の大きさをかみ締めて出演しました。出演するにあたり、どういった父親像を表現すべきか、悩みましたが、実際のお父様にお会いする機会があり、本当に出演できてよかったと思いました。スヒョンさんの崇高な精神は、絶対にご両親から受け継いでいるものだと確信し、私がそのお父様の役を演じるのだということに、使命感を持って演じることができました。
もちろん、私はイ・スヒョンさんを忘れません。皆さんもこの映画をご覧になれば、スヒョンさんを忘れることはできないでしょう。日本と韓国、両国だけではなく、人類すべてが忘れてはいけないことだと思います」

<b>マーキー</b>「今回、私自身この映画に参加でき、とても幸せだと感じています。こうして皆さんにご覧いただける日を、心から待っていました。
この作品の台本を読んだ時は、スヒョンさんというのはヒーローだと思っていたんですが、現場で撮影を進め、テソンさん演じるスヒョンさんを観ていたら、本当にごく普通の青年だったんだと思えてきたんですね。ごく普通の日常を送っていて、ああいった事件が起こり、亡くなってしまったわけですが、どうしてああいう行動がとれたのかと考えた時、やはり家族愛とか、友達を思う気持とか、人に対する思いやりといったものを大切にして生きていた人だったからこそなんだと感じました。何か暖かいもの、気づかされるものがあればと願っています」

<b>イ・テソン</b>(カンペを見つつ日本語で)「皆さんこんにちは。僕は映画『あなたを忘れない』で、イ・スヒョン役を演じましたイ・テソンです。
ふと、去年の今頃を思い出しました。その時は、日本での撮影開始前で、漠然とした大きなプレッシャーの中で、映画が作られることをお伝えしました。その時は、難しいこともありましたし、プレッシャーも不安もありました。
しかし、6月から撮影が始まった映画は、多くの支援の中、今日という日に至ることになりました。この映画を応援してくださる多くの方々の気持ちがひとつになり、完成したと思っております。撮影の間中、スヒョンさんが天から見守ってくれましたし、また、今日もこの場所に来てくださっていると思います。僕は、完成した映画を観ながら多くの涙を流しましたが、幸せでした。僕はもう、この映画が悲しい映画だとは思っていません。幸せを運ぶ映画だと思っています。生きていることに感謝し、両親や家族がいることに幸せを感じ、大切な人とともにできる今に、感謝できる映画だと思います。映画を観た後、両親や大切な人に電話をしたくなるような、そんな映画になってほしいと思います。時が経っても皆さんの心の中に、暖かく幸せが残るような、そんな映画として記憶されることを願っております」

-制作までの経緯を…
<b>花堂純次監督</b>「日韓共同制作ということで、台本の段階から非常に時間がかかりました。50人以上の人に会って取材をしましたので、イ・スヒョン君の実像に迫るということだけでしたらたどりつけたんですが、そこから、彼がどんな姿で、どんな力を持っていて、家族や周りとどんな会話をしていたのか、それは話からだけでは見えてこなかったんですね。それを助けてくださったのは、ここにいるご家族役の韓国の俳優さんたちです。皆が、ひとつの世界というものを作ってくれました。
テソンは見たまんまのスポーツマンで、本当にまっすぐなヤツなんですが、それがスヒョンさんという青年像を創ることができた一番の理由だと思います」

-撮影はいかがでしたか
<b>イ・ギョンジン</b>「私の撮影分は多くなかったんですが、今回は日本人の監督さんとの仕事ということで、言葉が通じないことをのぞいては、楽しく撮影させていただきました。ただ、やはり言葉が通じれば、もっと早く親しくなれたし、色んなことがスムーズに行ったと思います。また、日本を舞台にした作品ですので、色々なものを比較するきっかけにもなりました。そして、日本人と韓国人は通じ合える…私たちはひとつになれる、と感じました」
<b>ジョン・ドンファン</b>「日韓合作ですから、日本でも撮影があるだろうし、日本の方ともお会いする機会があるだろうし、楽しみにしていたのですが、韓国だけでの撮影ということになり、とても残念でした(笑)。
ただ、日本と韓国のスタッフが一緒に撮影を進めるわけですから、言葉の問題があると思っていたのですが、日本のスタッフの皆さんも韓国語を勉強していらして、非常に良い雰囲気の中で撮影ができました。私は昨日、この作品を観て、非常に感動的な、生涯記憶に残る作品だと思いました。また、イ・スヒョンさんを忘れられなくなる作品になったと思います」

-マーキーさんは、初めての映画出演ですが
<b>マーキー</b>「最初はやはり不安でした。台本の読みあわせをした時、自分の力の無さに口惜し泣きをしたことがありまして、そこからのスタートでした。現場の雰囲気は本当に魅力的で、それに支えられて、毎日楽しく撮影ができました。」

-イ・テソンさん、“イ・スヒョン”を演じる上での役作りは?
<b>イ・テソン</b>「作られた人物でなく、実在した人物を演じるということで、故人の気持ちをいかに表現するかということを常に念頭において演じていました。スヒョンさんはとても多趣味な方で、僕は日本語の勉強だけでなく、マウンテンバイクやギターの練習、日本語の歌など、色々な準備が必要になりました。俳優として、いい役を演じられたことがとても嬉しく思いますし、感謝しています」

-公開初日を迎えたということで、お気持ちは…
<b>シン・ユンチャンさん</b>「監督も、出演者やスタッフの方々も、ご苦労が多かったんじゃないでしょうか。皆様のおかげで、私たちの想いが反映された素晴らしい映画に仕上がりました。皆様がスヒョンのことを憶えていてくださったら、私たちの悲しみも和らぐと思います。どうか、スヒョンを忘れないでやってください」

<b>イ・ソンデさん</b>「もう6年という歳月が経ってしまいました。にも関わらず、あの子のことを忘れずに、こうして多くの方々にお集まりいただいて、本当に嬉しく思っています。私も昨日の試写会で、映画の中でスヒョンに逢えました。ほとんどの映画はハッピーエンドでラストを迎えるわけですが、この作品はそうではなく、とても胸が痛みました…。
これからもスヒョンを、どうぞ愛してやってください。また、スヒョンができなかったことを成し遂げてください。そして、両国がもっと近づくことができるよう願っています」


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