俳優カン・ドンウォン
俳優カン・ドンウォン
主演作「国際市場で逢いましょう」、「ベテラン」が韓国で大ヒットした国民的人気俳優ファン・ジョンミンと、「チョン・ウチ時空間道士」以来、久しぶりにコミカルなキャラクターを飄々と演じ、その衰えぬ美貌と磨きのかかった演技力で人気を高めているカン・ドンウォンの初共演で、ことし2月に韓国で公開されるや、観客動員数970万人を突破し、驚異的な大ヒットとなった「華麗なるリベンジ」。

カン・ドンウォン の最新ニュースまとめ

 本作は、罠にはめられた熱血検事ピョン・ジェウク(ファン・ジョンミン)と、イケメン詐欺師ハン・チウォン(カン・ドンウォン)という正反対の2人がタッグを組み、巨大な権力に立ち向かう姿を描いた痛快バディムービー。ファン・ジョンミンの圧倒的な存在感もさることながら、スター性を持ちあわせたカン・ドンウォンが、本作では表情をコロコロと変え、コミカルでチャーミングな姿から、クールに人を欺く姿まで表情豊かに演じ、新境地を開拓した。

 2012年に除隊してから、休むことなく話題作に出演し、スター街道を歩み続けているカン・ドンウォン。韓国では、11月にファンタジー映画「隠された時間」、12月にイ・ビョンホンと共演した「マスター」と立て続けに出演作が公開されるなど、多忙を極めている中、「華麗なるリベンジ」が11月12日より日本で公開されるのに先立ち、久しぶりに来日し、合同会見を行った。

 会見の場は、カン・ドンウォンを180度ぐるりと囲むような形で、女性記者たちが着席。姿を現したカン・ドンウォンに、記者たちが「よろしくお願いします」と声を掛けると、「ふっ」と照れくさそうな笑みを浮かべ、日本語で「よろしくお願いします」とあいさつし、早速質疑応答がスタートした。


<B>―これまでソン・ガンホさん、ハ・ジョンウさんら共演者にも恵まれ、映画俳優として着実に実力をつけてきたと思いますが、今回、ファン・ジョンミンさんとの初共演でどんな影響を受けましたか?</b>
ファン・ジョンミン先輩は、いま韓国で一番観客を動員できる、とても有名でステキな俳優さんなんですが、顔が怖そうで、最初はすごく緊張しました(笑)。でも、共演してみると、“気さくなお兄さん”みたいな感じでしたね。
共演してきた先輩たちはそれぞれ個性があり、皆さん素晴らしいんですが、特にファン・ジョンミン先輩は、事前にしっかり準備をしてくるタイプだと思いました。撮影では、演劇のように長回しするのを好まれ、そういう面が新鮮でしたし、勉強にもなりました。

<B>―カン・ドンウォンさん演じるハン・チウォンの飄々とした姿が印象的でしたが、ピョン・ジェウク(ファン・ジョンミン)に対して、ハン・チウォンの本心はどんなものだったと想像しますか?</b>
そうですね~。もともとシナリオ上では、バディ愛が強かったんですが、撮影の過程で、特別な事件や出来事がなかったので、そこまでそういうものが深まらなかったと思います。だから、むしろお互いに信じ合わない関係、疑い合う関係に発展させましたが、ベースにはある程度、人としての信頼が少し残っているという感覚で演じました。

<B>―本作では自分の性格とはかけ離れたキャラクターを演じたそうですが、撮影中大変だったことを教えてください。</b>
役をどのように表現していくかという細かい部分は、俳優が作り上げていかなきゃいけないと思っているんですが、もともと僕は、ハン・チウォンのように軽くはありません(笑)。だから、演じていくうえで、ジェスチャーとか表情を作るのが大変でした。
あと、女性と会うたびに、相手を落とそうとする仕草をするんですが、最初の設定では、それほどなかったんです。でも、撮影しているうちに面白くなり、編集でカットされましたが、彼女の母親とご飯を食べるシーンでも、母親にまで色仕掛けをするなど、そういう部分を入れていきました。映画的に、キャラクター的に面白そうなので入れましたけど、いざやってみると、女性の目をじっと見詰めるのは、そう容易いことではなかったので、そういう部分が難しかったですね。

<B>―いろいろな人物になる詐欺師ハン・チウォンを演じるうえで準備したことや、参考にされたものはありますか?</b>
在米韓国人だと偽る設定だったので、外国人なまりのある言葉遣いをしようと思い、外国人の友達とたくさん会って、彼らを観察しました。そうしたら、例えば乾杯のとき、韓国人や日本人は相手の目をじっと見ながら乾杯するというより、おじぎをしながらすると思うんですけど、彼らは相手の目をじっと見ながら乾杯するんですよ。韓国や日本では、特に先輩の目をじっと見ながら乾杯するのは、失礼にあたるのではないかと思うんですが、そういうのが面白いと思ったので、設定の中に入れました。
他にもお酒の席で、彼らは好意を表現するとき、男女ともに相手の目を見詰め合っていたんです。そういうのも面白くて、参考にしました。

<B>―ハン・チウォンはヤクザ、政治家、検事、女性を次々と騙すキャラクターでしたが、演じるうえで気を遣ったことは?</b>
口に出す言葉が、ほとんど真実を語っていないので、それが面白いと思ったんですが、嘘をつくにしても、そのレベル調節が難しかったです。嘘だというのを観客に少しは感じさせなくてはいけない。だからといって、マジメすぎてもいけないし、軽すぎても全部が嘘だと分かってしまうから、相手を騙せないし。本当なのか嘘なのか、絶妙なさじ加減で見せるにはどう表現したらいいのか、ということに気を遣いましたね。

<B>―ご自身は詐欺師に向いていると思いますか?どういうタイプの詐欺だったらできると思いますか?</b>
僕が詐欺をするんだったら、ハン・チウォンのようにいい加減な形でしないと思います(笑)。ちょっとお粗末じゃないですか!?  だからこそ、ハン・チウォンは可愛らしいキャラクターなので。もし詐欺をするなら、お金に関する詐欺はしないと思います。お金への執着がないので。

<B>―話題になったダンスシーンや、殴られたり叩かれたりするシーンなど印象的なシーンがたくさんありますが、お気に入りのシーンはどこですか?</b>
う~ん、何があるかな~。まず、ダンスシーンはあまり好きじゃないです(笑)。僕自身、踊るにしても軽くステップを踏むぐらいなので、あれは僕のダンススタイルではないですから。実は、エンディングでカットされたシーンがあって…。チウォンが白人の女性とスポーツカーに乗って、指を立てながら、去っていくというシーンがあって、それが気に入っていたんですけど、残念ながらカットされました(笑)。

<B>―アドリブで気に入っているシーンはありますか?</b>
もともとアドリブをするのは好きなタイプではなく、こうすると面白そうだなと思うことがあれば、相手役と相談して入れるぐらいなので、本作でもほとんどしていないんじゃないかなぁ。あったと思うんですけど、覚えてないですね~(笑)。
あっ、大きなアドリブは、選挙キャンペーンのシーンで、おばさんとダンスをしたことです。ああいう風に踊ってくださいと言われたわけではないんですが、結果的にああなりました。

<B>―刑務所でピョン・ジェウクに卵を渡すとき、「ラブユー」と言ったシーンや、ちょいちょい挟み込まれる英語はアドリブではないですか?</b>
あ~、そうですね。もともと、そういう英語はシナリオにも入っていたんですけど、それ以外にも入れたりしました。入れるにしても、誰が聞いても分かる簡単な言葉で。卵を渡すシーンも、卵にハートが書かれていたので、アドリブで最初、「ジーサス ラブユー」と言ったんですけど、結局「ラブユー」が使われました。

<B>―カン・ドンウォンさんはストイックなイメージがあるので、今回ディープなキスシーンがありましたが、あのようなシーンはあまり好きではないのではと思ったんですが…(笑)。</b>
そのシーンはもともとなかったんですが、監督から「あったほうが面白い」と言われて、入れることになったんです。僕としては「必要ないと思うけど」という立場だったんですが、場面転換として必要だと言うので、「じゃあ、必要なら撮りましょう」と。

<B>―ご自身の性格を自分で分析してみると、どんな性格だと思いますか?</b>
マジメだとも言えるし、そうではないとも言えます。政治や社会など関心のある分野については、マジメに考えたり取り組んだりするんですけど、それ以外は…。
現場ではあれこれ悩んだりしないです。初めてシナリオを読んだときの感覚をもとに、自分なりに演技プランを持って現場に入るので、力を入れすぎることなく、こうしてほしいと言われたらそうするし、例えば、死ぬシーンを撮るときは直前まで周りとふざけたり、遊んだりしていても、すぐに本番に入れます。前日から、しっかり役作りをしなきゃとか、早く寝ようとか考えることもなく、お酒を飲んで楽しんで、翌日死ぬシーンをすぐに撮れるという感じです。
もう少し具体的に言うと、シナリオを初めて読むときは、ストーリーを読み砕いていきます。そして、2、3回目に、キャラクターのデザインをしながら読むんですよ。その段階で、自分の中ではキャラクターデザインがほぼ終わります。その次に、プラスアルファの細かい部分を作っていくんですけど、キャラクターデザインを終えているので、現場に入ってからは、そんなに大変ではありません。どれだけ従来の姿を消すのか、生かすのか、それとも新しく作っていくのか、そういう細かい部分は後で肉付けしていくんです。だから、幸いなことに、そんなに苦労しながら仕事をしているという感覚はないです。
最近の悩みは、どれくらい役作りの精度を上げていけるのか、ということです。僕はまだ、メソッド演技をしたことはないんですが、作品に入ると、ずっとそのキャラクターのことを考えているので、自然と顔つきが変わっていくんですよ。映画の撮影中、写真撮影などをすると、初期の頃と、後半に入ってから撮ったものとでは、確実に顔つきが変わっていることが多々あります。そういうことを考えると、全く同じ設定にしなくても、キャラクターを作り上げていくことはできるんじゃないかなと思ったり。人によっては、そのキャラクターが住んでいるであろうと思われる家まで準備し、そこに住んで役作りをするそうなんですが、そういうことは、自分にはできそうにないなと思ったりもして。果たして、本当にどれぐらい、全く新しいものを作り上げていけるのか、ということを常に悩んではいます。そういうことを思い悩みながら、自然と少しずつ成長できているのかなと思います。

<B>―デビュー13年目となりますが、改めてデビュー当時を振り返るといかがでしたか?</b>
ドラマでデビューし、当時は当たって砕けろという感じでやっていたんですが、幸いなことに、デビュー作はいい評価をいただきました。ただ、その後が大変でしたね。僕は釜山出身なんですが、デビュー作は、釜山の方言を使う役で、釜山弁での演技なら誰にも負けないと思って演じられたので、とても自信を持ってやれたんです。
でも、次の作品からは、ソウルの言葉で演技をしなくてはいけなかったので、そう簡単ではありませんでした。でも、ある瞬間から慣れていき、自分の思った通りにやろうと吹っ切れてからは、演技が上手くできるようになったかなと思います。

<B>―いろいろなジャンルの作品に出演してきましたが、カン・ドンウォンさんの映画というジャンルになっている気がします。ご自身では、俳優カン・ドンウォンらしさはどんなところにあると思いますか?</b>
自分ではよく分からないです。ただ、最近韓国で、この映画は“カン・ドンウォン・ジャンル”だと評した記事が出てから、そういう話がずっと出ているんですが、そんなに良い話ではないような気がします。ちょっと見方を変えると、自分が作品の中にちゃんと溶け込めていないのではないか、と思うからです。だから、完全に褒め言葉としては受け止めていないです。
映画に対して、基本的に好き嫌いはありません。このジャンルでないと嫌だということもないし、俳優さんによっては、好きなスタイルが明確な方もいるようですが、僕はジャンルにこだわらないし、シナリオが面白ければ、挑戦してみるというスタイルです。

<B>―本作の邦題は「華麗なるリベンジ」ですが、何かリベンジしたいことはありますか?</b>
僕ですか!? たくさんありますよ。今回、あまりにもジェウクに叩かれたので、次は僕が叩いてみたいです(笑)。それは冗談として、基本的にあまり人に対して、復讐したいと思ったことはないと思います。もし、そんな気持ちが出てきたら、もう二度と会わないと思うタイプです。
あっ、復讐ではないんですが、3年ぐらい前、騒がしいことがあって、すごく頭にきたんですが、復讐の一歩手前、ボイコットぐらいで、もう会わないと思ったことはありました。

<B>―ジェウクとチウォンのコンビをこの先も見たいなと思いましたが、続編があったら出演したいですか?</b>
実は、内々では続編の話をしたことがあるんです。キャラクターがとても良いし、しっかり出来上がったので、この先何をしても、ストーリーとして成立するだろうと。だから、僕たちの間ではこんなストーリーがいいんじゃないか、という面白いストーリーが出来ているんですが、さすがにこの場でお話するわけにはいかないです(笑)。
この作品は商業的な映画で、思った以上に大きな成功を収めたので、もし続編を作るとしたら、一歩間違うと、お金稼ぎのためだと見られそうなので、かえって慎重になっていて、マジメに悩んでいるところです。もちろん商業映画だから、お金を稼ぐためというのは間違いではないし、目標の一つと言えますが、良い映画を作るということが大前提です。良い映画を作ったから、結果として収益があがるわけで、収益を得るために映画を作るのではないか、と思われないようにしないといけないと思います。

<B>―「華麗なるリベンジ」を見る方にメッセージをお願いします。</b>
日本の方がこの映画を見て、どう思うか分かりませんが、以前よりも、日本の方は韓国映画をあまり見なくなっているじゃないですか(笑)。僕は韓国、日本、中国の映画市場がもっと発展してほしいと思っているんですが、最近、日本の映画市場もなかなか厳しいようで、韓国と一緒に作業しないか、という話も聞こえてきたりします。それは良いことで、日本も韓国もお互いに協力しながら、韓国でも日本の映画が紹介される機会が増えていけば、お互いに交流も増えるし、映画を見る人が増えていけばいいなと思っています。
どの映画を見るか決めるとき、監督で選ぶというより、やはり俳優で選ぶと思うんです。そう考えると、僕が日本で多くの方に知られれば、僕の出演作が日本でも公開されるということにつながっていくと思います。僕は兵役を終えて3年ぐらい経ちますが、軍隊に行く前のように、日本でも活発に活動して、できるだけ日本の皆さんとたくさん交流したいし、お会いできる機会も増やしていきたいので、ぜひこの映画もたくさん見ていただきたいです!


 1つ1つの質問に、誠実かつ率直に答えていたカン・ドンウォン。質疑応答が始まったとき、目の前に置かれていた同作のチラシを手に取り、「きょう初めてこれを見たんですけど、ほぼリタッチをしていないみたいですね。ハハハ。日本はあまり(写真の)修正をしないみたいですね。肌がそのまま出ちゃっています。ファン・ジョンミン先輩、もともとこういう赤ら顔なんです(笑)」と話し、記者を爆笑させる一幕も。

 先輩を軽くディスれる(!? )ほど仲の良いカン・ドンウォンとファン・ジョンミンの息の合った素晴らしい化学反応が楽しめる「華麗なるリベンジ」は、11月12日(土)シネマート新宿ほか全国順次ロードショー!


映画「華麗なるリベンジ」予告編
映画「華麗なるリベンジ」予告編




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