<Wコラム>過剰な肩書、あなたは本当に「韓国」を知っている?(参考画像/画像提供:news1)
<Wコラム>過剰な肩書、あなたは本当に「韓国」を知っている?(参考画像/画像提供:news1)
このようなことは何も教会に限ったことではありません。韓国では普通で、上の人の権限は日本の類ではありません。

 こんなこともありました。韓国では社長、教授、店長など目上の人には肩書の後に「ニム」を付けて呼びます。社長ニム、教授ニムという「様」を付けます。さしずめ「社長様」「教授様」と呼ぶようなものです。日本の人にとっては「社長」だけでも十分敬っているのにやりすぎだと思いますし、韓国人は「社長」だけでは尊敬してないように感じます。

 日本語のわかるある韓国の会社の社長が日本に来たとき、取引先の社長に現地の部長が自分の社長を「わが社の社長の◯◯です」と(ニム、様)を付けずに紹介したとして腹を立てたばかりか、相手の通訳を勤めたスタッフが「私共の社長△△です」と言ったことにも怒ったそうです。

 「なんて自分の社長を敬わない礼儀知らずの社員だ」と。笑えない本当の話ですが、人間の習慣とは恐ろしいものです。日本生活の長い私ですら理屈ではわかっていますが、今でも目上の人に「ニム」を使わないとむずむずします。日本の人にとっても肩書の後に「ニム」を付けるのは抵抗があるのではないでしょうか。

 ちなみに韓国は目上の人であれば相手、身内に関係なく「ニム」をつける絶対敬語を使い、日本は身内にはへりくだる相対敬語を使います。

 この習慣も韓国と日本の人間関係において上下意識の濃淡がベースにあるからではないでしょうか。会社や組織でなくとも年の差だけで「ヒョン」(兄さん)、「トンセン」(弟)、「オンニ」(姉さん)、「トンセン」(妹)等と上下に序列化します。そのほうが精神的に安心するからだと思います。

 目上の人は下の人の保護と面倒を、下の人は目上の人に服従して依存し合うのかもしれません。


文=権 鎔大(ゴン ヨンデ)
出典=『あなたは本当に「韓国」を知っている?』(著者/権鎔大 発行/駿河台出版社)

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