映画『チャーミング・ガール(原題:女、チョンヘ)』の日本公開を控え、9月7日、東京・銀座東武ホテルにて、ヒロイン“チョンヘ”役のキム・ジスと、イ・ユンギ監督を招き、合同インタビューが行われた。
『チャーミング・ガール』は、釜山国際映画祭を始め、数々の映画祭で賞に輝いた作品。
メガホンをとったイ・ユンギ監督は、本作が長編映画デビュー作。ヒロイン“チョンヘ”には、ドラマで活躍し、デビュー13年目にして初の映画出演となったキム・ジス。また、チョンヘが想いをよせる小説家の男性を、ベテラン俳優ファン・ジョンミンが演じている。

少女時代 の最新ニュースまとめ

-映画初出演だそうですが、ご感想は?
キム・ジス:『チャーミング・ガール』は、2004年の夏に撮影を行い、昨年公開されたのですが、プレッシャーが全くなかったといえば嘘になります。少女時代のシーンを除いて、ほとんど私1人でストーリーを引っ張っていかなければならず、心理的なプレッシャーが大きかったですね。ただ、撮影に入ってからは逆に、肩の力が抜け、リラックスできたように思います。ドラマでは10年以上のキャリアがありますので、それに傷をつけないようにがんばろうと、いつも思っていました。

-この作品にキム・ジスさん、ファン・ジョンミンさんをキャスティングされた理由は?
イ・ユンギ監督:何しろ初めての作品なので、僕が2人を選んだというより、お2人が僕を助けてくださったんです。正直言って、シナリオは僕が読んでもつまらないものでした。周囲の人は皆、「こりゃダメだね」「これをやりたがる俳優がいるか?」といわれました。チョンヘもそうですが、ファン・ジョンミンさんの役なんて、助演ともいえないようなチョイ役ですしね。これはもう新人を使うしかないと思っていたのですが、シナリオを読んだキム・ジスさんとファン・ジョンミンさんは、何がしかの魅力を感じてくれたようで…。キム・ジスさんはTVドラマで有名でしたし、ファン・ジョンミンさんは映画でも舞台でも活躍している方ですから、「本当にいいのかな」と思いながらも、「よかった、これで映画が撮れる」と喜んでいました(一同笑)

-チョンヘは口数も少なく、心を閉ざしているヒロインですが、演じる上でのご苦労は?
キム・ジス:まず、常に自分の1m以内にハンディカメラがある、というのが苦痛でした。まるで、カメラに縛られているようで…とても窮屈で、演じにくくて。
そして、チョンヘは無表情で、自分の感情を表さない女性ですが、何も考えずにそこにいるだけでは、“演じる”ことにならないじゃないですか。チョンヘが何を考えているのか、チョンヘだったらどう感じるのか…チョンヘという女性になってみた時、例えば、小説家の男(ファン・ジョンミン)を食事に招待して、彼が来なかった。私だったら怒りますが、チョンヘは感情を表さないんです。そういった時、女優キム・ジスとチョンヘという女性の間で、葛藤がありましたね。

-郵便局でのシーンで、テキパキと仕事をこなしていましたが?
キム・ジス:郵便局でのシーンが非常に多く登場しますので、私だけでなく、同僚役の女優さんたちも熟練した職員のように見せる必要があって、監督が郵便局へ行き、実際の現場の様子を撮影してきたんです。そのビデオを観た後、出演者も郵便局へ行って見学しましたし、撮影の度、郵便局員の方に1人ついていただき、後ろから動作をチェックしてもらいました。

-お2人とも、現在の職業についてなければ、何になっていたと思いますか?
キム・ジス:子供の頃の夢は、アナウンサーでした。小学校の時、国語の時間に教科書を朗読したら、先生に「あなたは本をスラスラ読めるから、大きくなったらアナウンサーになるといい」って言われたので。テレビで、特派員がレポートしているのもカッコよく見えましたし。
イ・ユンギ監督:僕は高校時代、建築科に行きたかったんですが、文系を選択した後で、建築科は理系と知って諦めたことがあります。
キム・ジス:普通、そういうことは、事前に確かめるものでしょ?(笑)
イ・ユンギ監督:いや、誰も教えてくれなかったし。(笑)

-背中からのアングルや、少しだけ顔が見えるようなアングルが多いですが?
イ・ユンギ監督:昔、色々な映画を観ていて、俳優の感情が一番現れるのが背中だと思ったんです。横顔とか後姿から、その人の感情を最も感じられるんじゃないでしょうか。実際、疲れていたり落ち込んでいる時、前から見るより、横顔や背中から見た時の方が、同情を感じます。1度、ずっと後ろから撮っていたら、ジスさんに「監督、アップはいつ撮るの?」って訊かれましたけど(笑)。

-作品のアイデアはどこから?
イ・ユンギ監督:もともとは、短編小説なんです。原作を読んだ時、ヒロインの生き方が、非常に自分と似ていると思ったんですね。積極的ではないのですが、何とか生きてみようとする姿勢が…。また、原作にはないのですが、彼女の行動や言葉には、自分自身や身近な人の経験を取り入れています。僕自身、1人暮らしで猫を飼っていましたし、テレビをつけたまま寝てしまったり、部屋に落ちている髪の毛を拾ったり…。面白いシーンというわけではありませんが、そういったものを取り入れることで、作品にリアリティが出るのではと思いました。


単調な生活を送っている女、チョンヘ。郵便局に勤務し、職場に近い公団住宅に1人で暮らす。職場では黙々と仕事をこなし、行きつけの店で昼食をとり、家ではゴロゴロしながらTVの通販でショッピング。無駄話をすることもなく、周囲の人間ともほどほどにつきあいながら、ただ淡々と、繰り返される日常をやり過ごしている。
ある朝、彼女はアパートの花壇で子猫を拾ってくる。それ以来、子猫が彼女の生活の中心になる。徐々にチョンヘになついていく子猫。亡き母親の面影を子猫に重ねていくチョンヘ。唯一の支えだった母の思い出とともに、ふとした瞬間、過去の様々な記憶が甦る。
子供の頃に受けた心の傷を癒せないまま、記憶を封じ込め、感情を閉じ込めて生きていた彼女。そんなチョンヘにも、心をひかれる男性が現れる。ある日、チョンヘは勇気を振り絞り、「私の家で食事をしませんか?」と男性に声をかける。しかし、約束の時間になっても彼は現れなかった…。

『チャーミング・ガール』は2006年10月、シアター・フォーラムにて公開予定。


Copyrights(C)wowkorea.jp


Copyrights(C)wowkorea.jp 0