キム・サンギョン=9日、ソウル(聯合ニュース)
キム・サンギョン=9日、ソウル(聯合ニュース)
韓国映画史を語る上で欠かすことのできないポン・ジュノ監督作品「殺人の追憶」(2003年)で刑事を演じた俳優のキム・サンギョンが、16日に韓国で公開されるチョン・グンソプ監督のデビュー作「モンタージュ」(原題)で10年ぶりに再び刑事役に挑戦した。

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 キム・サンギョンが演じたのは、完全犯罪をもくろむ児童誘拐犯を捕まえようと必死に捜査を進める刑事、オ・チョンホ。
 9日にインタビューに応じたキム・サンギョンは、「殺人の追憶」では最後まで犯人を捕まえることができず後味が悪かったが、「モンタージュ」で心残りを晴らすことができたと笑顔で語った。

 「殺人の追憶」と同じようなジャンルの作品で再び刑事を演じることに負担はなかったのだろうか。
 実際、「殺人の追憶」に出演後の1年間、刑事役で出演しないかとオファーを受けた作品が40本に上ったが、次の作品にまた刑事役で出演することは俳優の立場としては受け入れ難いものだったという。
 「『殺人の追憶』がスリラーの教本といえるほどの名作だったので、また刑事を演じることになる場合はシナリオが本当に素晴らしい作品でなくてはなりませんでした。でも、当時は完成度の高い作品は少なかった。そして10年が過ぎ、もうそろそろ大丈夫かなと思えるようになったのです。幸い(「モンタージュ」の)シナリオも良かったですし」

 「モンタージュ」については、「殺人の追憶」の延長線上にあるような感じの作品だと感想を語った。「(「殺人の追憶」の)取調室のシーンがとても有名ですが、今回も取調室のシーンが良かったです。『モンタージュ』は取調室でのシーンでストーリーが締めくくられ、体が軽くなるような感じでした」と満足げだ。

 作中では警察をあざ笑うかのように捜査網をくぐり抜ける犯人を捕まえることができず鬱憤(うっぷん)がたまったオ・チョンホを好演。刑事役に手慣れた様子がうかがえる。キム・サンギョンは、「殺人の追憶」の撮影当時に会った刑事らが実に仕事熱心な故に犯人が捕まらないことをもどかしく感じ、悩んでいたと振り返る。そのような刑事の実際の姿を見ていたためにオ・チョンホの気持ちに共感できたという。

 また、社会的側面から見た「モンタージュ」についても語った。
 「公訴時効について触れていると思います。果たして15年という時間が過ぎれば罪は許されるのか。映画的なおもしろみもありますが、時効を容認すべきかどうか、時効とは誰を基準にして決められたものなのかについて考えさせられます。もし自分の子どもにそのようなことが起きたら絶対に許せないと思います。被害者らは死ぬまで忘れることができない。だから、時効は廃止されるべきです。そのような社会的問題についても問いかけている良い映画だといえます」

 「モンタージュ」の撮影を終えた後に感じた満足度は「400~500%」で、これまでの出演作品に劣らないと自信を見せた。マスコミ向け試写会で作品を見たときは幸せを感じ「これぞ映画だ」と思ったそうだ。ストーリーの構成、共演者ら、監督の演出、音楽までの全てが申し分なく、忘れかけていた映画の姿を見いだすことができたうれしさで涙が出るほどだったという。
 キム・サンギョンはさほど多くの映画に出演していないにもかかわらず大衆に親しまれている俳優だ。出演作のほとんどがヒットしたり話題を集めたおかげといえる。

 ホン・サンス監督の「気まぐれな唇」(2002年)、「映画館の恋」(2005年)、「ハハハ」(2010年)で映画祭のレッドカーペットを歩いた。「殺人の追憶」と「光州5・18」(2007年)、「ザ・タワー 超高層ビル大火災」(2012年)は500万人を超える観客を動員した。
 出演作品について、「成功率は9割台です。失敗した映画はほとんどありません。ホン監督の映画でカンヌに行き、観客数500万人を超えた映画が3作品もあるので恵まれた俳優です」と評価した。
 ただ、名監督の作品に出演したことで自然と出演作品を選ぶ基準が高くなってしまったことは否めない。「気まぐれな唇」「殺人の追憶」に出演後、2年近く映画には出演しなかった。  

 「ハハハ」と「ザ・タワー 超高層ビル大火災」の間にも3年近くのブランクがあるが「モンタージュ」への出演を機に、より多くの映画に出演したいと思うようになった。
 「『モンタージュ』で得た手応えがとても良く、こんな経験をもっと増やしたいと強く思うようになりました。自分の力だけでできるものではなく、運も良くなければなりませんが」

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