イ・ビョンホン=29日、ソウル(聯合ニュース)
イ・ビョンホン=29日、ソウル(聯合ニュース)
40歳に差し掛かったイ・ビョンホンは、いつしか中堅俳優の道に立っていた。

イ・ビョンホン の最新ニュースまとめ

 1992年にドラマ『明日は愛』でデビューしてから、17年を演技に費やしたことになる。映画『我が心のオルガン』(1999年)では田舎娘の心を奪う先生役を、『JSA』(2000年)では地雷を踏んで助けを求める韓国軍人を演じ、深い印象を残した。役者人生の方向を変えたのは、キム・ジウン監督作品『甘い人生』(2005年)だった。ハイレベルなアクションを無理なくこなし、無駄な力を抜き最高の演技を見せた。女優スエと共演した『夏物語』(2006年)を経て、昨年は『グッド・バッド・ウィアード』で悪役も難なくやり遂げた。

 イ・ビョンホンが楽しんでいるのは、さまざまな役をこなし、俳優として最高ランクに上り詰めること。スリラーからアクション、ラブストーリーまで、ジャンルも選ばない。そんな彼が、「ハムナプトラ」シリーズのスティーヴン・ソマーズ監督がメガホンを取った『G.I.ジョー』で、ハリウッドの門をたたいた。悪の組織・コブラのメンバー、ストームシャドーを演じている。先ごろソウルのホテルで開かれた記者懇談会では、ハリウッド進出の経緯を明かした。

 「マネージャーがシナリオを見せながら、絶対やるべきだと言ったんですが、本当はシナリオにあまり興味を感じませんでした。とてつもない映画ではありますが、果たして自分にうまくできるのかと。こわごわと冒険する必要があるのかと思ったんです」。

 当惑していたとき、キム・ジウン監督とパク・チャヌク監督にアドバイスを求めた。2人はやってみるようにと勧めたが、彼の悩みは晴れなかった。自分の演技を好いてくれるファンが、漫画キャラクターの役を受け入れてくれるかという心配が1番大きかったという。

 そうした懸念のなか、自身が映画を好きになったきっかけが思い浮かんだ。4歳で初めて映画館に行ったときの幸福感、そこで見たSF映画や武侠映画。「SF映画が好きだったのに、ハリウッドでそれが撮れないことがあるものか」、そう気づいた後は、気分よく撮影に臨めたと語る。

 実際に足を踏み入れたハリウッドは、別世界だった。衣装や高価な小道具が何セットも準備されており、小道具のせいで撮影が遅れることもない。俳優がハンバーガーを食べたいと言えば販売カーがやってくる。資本主義と合理主義が極度に発達した社会だった。膨大な資金が必要なため、監督の裁量権があまり大きくなく、現場では制作者の指示がそのまま反映されることもあったという。

 10代後半に学習塾で2年間英語を学んだだけというイ・ビョンホンだが、映画ではなめらかな英語を聞かせる。他人のアフレコではという疑惑も呼んだが、「自分が聞いても他人の声のようで、そんな疑惑の声を聞いてむしろ気分が良かった」と意に介さない。
 とはいえ、今回はせりふが少なく幸いだったと話す。いつもは脚本を1~2回熟読して現場で応用するスタイルだが、今回は「誰かに軽くたたかれたら英語が飛び出すくらい」練習に没頭した。せりふのせいでNGを出すのはプロらしくないという信念から、完ぺきに覚え込んだ。「監督にアクセントをつけるよう言われると頭が真っ白になりました。本当に、考えていたよりも楽じゃないと思いましたね」。

 感情移入して演じることも容易ではなかった。演じるストームシャドーは元々が有名な漫画キャラクターのため、キャラクター自体が要求するものがある。監督はオーバーにも見える目線やアクションを好んだ。『G.I.ジョー』ファンには自然な演技に映るだろうが、アジアのファンは「なぜ漫画のように演じるのか」と思うかもしれないと語る。

 着々と作品を積み上げているイ・ビョンホンが、次に挑戦したいものは何だろうか。この問いに彼は、映画監督が幼いころからの夢だとしながらも「自分がうまくできることを続けたい」ときっぱり。ある程度時間が経ち、監督として恥ずかしくないときがくれば、挑戦する価値がありそうだと話した。
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