エリオットはサムスングループ傘下の第一毛織とサムスン物産の合併に関し韓国政府が関与したと主張した(コラージュ)=(聯合ニュースTV)
エリオットはサムスングループ傘下の第一毛織とサムスン物産の合併に関し韓国政府が関与したと主張した(コラージュ)=(聯合ニュースTV)
【ソウル聯合ニュース】韓国の財閥サムスングループ傘下企業の合併を巡り、「物言う株主」として知られる米ヘッジファンドのエリオット・マネジメントが韓国政府に損害賠償を求めた申し立てで、国際紛争を仲裁する国際裁判所の常設仲裁裁判所(PCA、オランダ・ハーグ)は韓国政府に5358万6931ドル(約75億8000万円)の賠償金と遅延利息の支払いを命じる裁定を示した。韓国法務部が20日、明らかにした。この賠償金はエリオットの請求額(7億7000万ドル)の約7%だが、利息や手続きの費用も含めると韓国政府の支払額は1300億ウォン(約143億円)を超える見通しだ。

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 2015年にサムスングループは創業家の経営権継承に絡み、第一毛織とサムスン物産の合併を進めた。当時サムスン物産の株式の7.12%を保有していたエリオットは、合併比率がサムスン物産の株主に不合理だとして合併に反対したが、株主総会で可決された。

 エリオットは韓国大統領府と保健福祉部がサムスン物産大株主の国民年金公団に賛成票を投じるよう圧力を行使したと指摘。韓米自由貿易協定(FTA)で定めた義務に韓国政府が違反したとし、18年7月、投資家対国家の紛争解決(ISDS)の手続きとして常設仲裁裁判所に仲裁を申し立てた。

 その際にエリオットは、当時の朴槿恵(パク・クネ)大統領や保健福祉部長官らが職権を乱用して国民年金に合併賛成という誤った決定をさせたことで損害を被ったと主張した。サムスングループ経営トップの李在鎔(イ・ジェヨン)氏が経営権継承への支援の見返りに朴氏らに賄賂を贈ったとされる事件にも言及した。

 これに対し政府は、政府の介入がなくても国民年金公団が合併に賛成した可能性もあったとしたほか、第一毛織とサムスン物産の合併は避けられない状況であることを知りながらエリオットがサムスン物産株を買い集め、合併承認による投資損失はなく、むしろ利益を得たなどと反論した。


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