<W解説>恩赦となり、自由な経済活動が可能となったサムスングループトップが本格始動=今後、注目されることとは?(画像提供:wowkorea)
<W解説>恩赦となり、自由な経済活動が可能となったサムスングループトップが本格始動=今後、注目されることとは?(画像提供:wowkorea)
韓国のサムスングループのトップ、イ・ジェヨン(李在鎔)サムスン電子副会長が今月19日、同社の半導体事業場を訪問した。李氏は光復節(日本による植民地支配からの解放記念日)に合わせた恩赦の対象となり、自由な経済活動が可能となった。19日の事業場訪問は恩赦で自由な経済活動が認められる「復権」の対象となって以降、初めての公式的な活動で、李氏がいよいよ本格的な経営主導に乗り出したといえる。

イ・ジェヨン の最新ニュースまとめ

李氏はパク・クネ(朴槿恵)元大統領らへの贈賄罪などで懲役2年6月の実刑判決を受けて服役。昨年8月に仮釈放され、実質的には経営に復帰していたが、特定経済犯罪加重処罰法上、就業が制限されていた。15日付の恩赦を前に李氏は12日、コメントを発表し「新しく出発できる機会をくださったことに、心から感謝申し上げる。これまで私の至らなさにより多くの方々にご心配をおかけし申し訳ないともお伝えする」とした上で、「持続的な投資と若者雇用の創出により経済に助力することで、国民の皆様の期待と政府の配慮に恩返ししていく」と決意を示していた。

政府は李氏を恩赦による復権の対象とした理由について、「経済活性化を通じ経済危機を克服するため」と説明している。

大韓商工会議所も李氏ら企業関係者の恩赦を歓迎。韓国経営者総協会は「国家的な危機状況になる中で、企業関係者が経営の第一線に復帰し、国民経済に貢献する機会を与えてくれた大統領の決定を歓迎する」とのコメントを発表していた。

自由な経済活動ができるようになった李氏は19日、ソウル近郊のキョンギド・キフン(京畿道・器興)とファソン(華城)にある同社の半導体拠点を訪問。器興の事業場では次世代半導体の研究開発団地の起工式に出席した。研究開発団地は約11平方メートルの規模で、2028年までに完成予定。聯合ニュースによると李氏は起工式で、かつて半導体の価値について力説したサムスングループのイ・ビョンチョル初代会長の言葉を引用し、「技術重視、先行投資の伝統をつないでいこう。世の中にない技術で未来をつくりだそう」と呼び掛けたという。

続いて訪れた華城の事業場では半導体担当の役員や社員との懇談の場を設けて、意思疎通を図った。韓国メディアのイーデイリーによると、李氏が社員と会って直接会話を交わしたのは2020年8月以降、2年ぶりという。李氏は懇談会で社員の要望などに耳を傾け、組織文化の改善案などについて意見交換した。

また、同メディアによると、李氏は「出勤前に妻に李副会長とツーショット写真を撮ると言ってきた」と話す社員の要望を受け、記念写真に応じたほか、この社員の妻に直接通話する一幕もあったという。

李氏は今後も直接コミュニケーションをとる機会を増やしていくことを約束。社員に向けては、どんな変化にも柔軟に対処できる思考を持つよう努力してほしいと求めた。

今回の李氏の半導体拠点訪問について、聯合ニュースは「韓国経済の成長のけん引役も見込まれる次世代半導体の開発現場に出向くことで、サムスンの新たな経営を加速させると同時に、韓国経済の厳しい状況を乗り越えていく意思を前面に押し出した」と解説した。

今後、注目されるのは李氏の父親のイ・ゴンヒ(李健熙)氏の死後、空席のままとなっている会長職に在鎔氏が就任するかということだ。韓国紙の中央日報は「李副会長が『会長』に就任するのは時間の問題で、既成事実とみる雰囲気が広がっている」と伝えた。同紙は現在、韓国の財閥5大グループのうち、公正取引委員会が指定する総帥が「副会長」の肩書を持つのはサムスンだけだと指摘。「肩書が必ずしも重要というわけではないが、『責任経営』の観点から来年3月の株主総会で李氏が会長に就任する可能性がある」と予測した。

Copyrights(C)wowkorea.jp 5