俳優イ・ジュンギ(写真提供:OSEN)
俳優イ・ジュンギ(写真提供:OSEN)
イ・ジュンギがかつて「日本が好きだ」と発言したのは、彼の素直さによるものだ。未だに韓国では日本のことを好意的に言うのは難しく、ましてやスターがそのようなことを話したら、とかく問題になる。そんな雰囲気の中でイ・ジュンギが日本びいきの発言をしたので誤解を生んだのだが、彼について少しでも知っている人なら、その発言が単純に日本が好きだという意味ではないことがわかっている。なぜなら、イ・ジュンギの映画デビュー作は韓国映画『王の男』ではなく、2004年の日本映画『ホテルビーナス』だからである。

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■日本に対する特別な感慨

 まだ無名だった頃、オーディションにいつも落ちていたイ・ジュンギが、偶然に彼のプロフィールを見た日本の監督に抜擢されて『ホテルビーナス』に出演した。この映画は韓国でも公開されたが、イ・ジュンギ自身はほとんど注目されなかった。それでも、イ・ジュンギにとって『ホテルビーナス』は、俳優になろうという一念で故郷を出て苦労を重ねた彼が、やっと夢をかなえた作品なのである。

 実際、イ・ジュンギは『ホテルビーナス』について、「撮影はきつかったのですが、ただカメラの前に立てることだけでも嬉しかったですね」と語っていた。当然ながら、チャンスを得た日本という国に特別な感慨を持っても不思議ではないだろう。

 ジャッキー・チェンも同じだった。彼は若い頃、よく韓国で撮影をしていた。というのは、1970年代から1980年代にかけて、香港映画は中国本土での撮影ができず、代わりに韓国でロケをしたことが多かったのだ。それゆえ、ジャッキー・チェンの初期の映画は韓国ロケがとても多く、彼は今でも韓国に特別な愛情を抱いている。また、ジャッキー・チェンのそんなところが好きだという韓国のファンも多い。

 イ・ジュンギの日本に対する思いも同じだ。


■誠実さの根本は「礼儀正しさ」

 イ・ジュンギが単純に日本を崇めていると文句ばかり言う人は、人間の情がわかっていない。自分が出演した映画とそれを撮影した国に愛情と責任を感じる誠実さこそ、イ・ジュンギを作った原動力といえる。そして、その誠実さのために、イ・ジュンギは一生懸命にファンと語り合おうとしているのだ。

 そんな彼の誠実さを一層輝かせるのが礼儀正しさだ。誠実な気持ちも、きちんと相手に伝わらなければ意味がない。その伝え方の中で何よりも大切なのが礼儀だろう。

 ジャッキー・チェンもイ・ジュンギについてこう語る。「イ・ジュンギさんのもっとも大きな魅力は、その謙虚さだと思います。彼には香港の並の俳優よりも多くの取材陣とパパラッチがまとわりついています。パパラッチはスターにとって厄介なもので、ときには腹が立つ存在でもあります。しかし、イ・ジュンギさんはそんな人にまで細かくポーズをとってあげたり、挨拶をしたりします。マスコミで彼の悪口を見つけられません。私はイ・ジュンギさんの謙虚さとクリーンなイメージに魅力を感じています」

 礼儀とは、自分を下げることから始まる。しかし、それがわざとらしいものだったら礼儀と謙遜は飾りや作りものになり、かえって人を不愉快にさせるし、自分自信も欺くようになる。

 しかし、イ・ジュンギの場合はファンの誰もが認めている。そうした評判は、イ・ジュンギに対する社会的認識まで根本的に変えている。

 実は、『王の男』での女性美の強いキャラクターで人気を得たイ・ジュンギは、ファンも多いがアンチも多かったのである。やはり韓国では女性的な男性は嫌われる傾向が強いからだ。その後、イ・ジュンギは強い男性キャラクターを見事に演じてきたが、それでも未だに古いイメージが残っていたのも事実だった。一度形成された芸能人のイメージは慣性を伴っていて、多くの人はそれを簡単に変えようとしない。

 しかし、その慣性までも、イ・ジュンギの礼儀正しさによって消えてしまった。


■息が長い俳優になりたい

 イ・ジュンギはいつも言う……ファンと自分は一つの家族だ、と。家族の間にはどんな偽りも飾りもない。ただお互いを思う気持があるだけだ。素直に精一杯に相手のために尽くすこと、それが家族というものであるならば、イ・ジュンギは本当にファンを家族だと思っている。

 俳優は演技さえうまければいいと言う人もいるかもしれない。しかし、演技だけうまくても、ファンを大事にしない俳優は長く愛されない。たとえ、そのスターの姿に惚れても、そのスターと時間を共有したり成長を見守ることはできない。そのようなスターは、ただ恰好いい他人にすぎないからだ。

 今は少し足りない部分があっても、自分の家族のような俳優ならいつまでも応援したがるのがファンというものだ。ましてイ・ジュンギのように、才能に溢れる俳優が自分の家族なら、ずっと応援したいと思うだろう。

 イ・ジュンギは、一時の人気スターではなく、長く演技ができる俳優になっていきたいという。彼を家族のように思ってくれるファンがいる今、もしかしするとイ・ジュンギの夢はすでにかなえられたのかもしれない。

文=朴敏祐(パク・ミヌ)+「ロコレ」編集部
(ロコレ提供)

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