映画が社会の現実を照らし出している。児童虐待や臓器密売など冷酷な社会現実に光を当て、警告音を鳴らす。

 公開2週を前に200万人を動員した映画「隣人」。隣に住む殺人魔とそれに立ち向かう住民たちを描いたスリラーだ。全羅南道・羅州の小学1年生の女児に対する性暴行事件も隣人による犯行。まるで現実のように、殺人魔がわたしたちの近くにいることを悟らせる。凶悪犯罪がいつ・どこで起きてもおかしくない「近い恐怖」という点で、現実と相対している。

 ボックスオフィス1位を記録した「共謀者たち」はさらに残酷だ。韓中間の海上船内で行われる臓器密売を描いた作品だが、臓器摘出の過程が赤裸々に表れ、画面は血の色に染まる。このような残酷なシーンも実際に起きた話を再構成しているに過ぎない。また、7年ぶりに「ベネチア国際映画祭」に進出したキム・ギドク監督の「ピエタ」も、だんだんと難しくなる現実をドラマとして描いている。

 凍りついた現実を描いたのはこれらだけではない。昨年 社会的に波紋を呼び、関連法案を引き出した「トガニ」。イ・ヒョンホ君誘拐殺人事件を扱った「あいつの声」など、多くの映画において社会の冷酷な空気が描かれている。

 私たちの隣で起こる悪逆無道な犯罪。社会を反映する映画もより背筋を凍らせる。