韓国の尹錫悦大統領は「地域バランス発展と地方消滅を防ぐためには、何よりも地域大学の活性化が急がれる」と強調した(画像提供:wowkorea)
韓国の尹錫悦大統領は「地域バランス発展と地方消滅を防ぐためには、何よりも地域大学の活性化が急がれる」と強調した(画像提供:wowkorea)
パク・チョンヒ(朴正煕)元韓国大統領が1970年代に設立したキョンサンプクト(慶尚北道)のクモ(金烏)工科大学は、当時軽工業から重化学工業への大転換を図った韓国経済を担う人材の「産室」であった。

ユン・ソギョル(尹錫悦)大統領が今月1日、この大学で “第1回人材養成戦略会議”を主宰したのは、パク元大統領の「産業化」とキム・デジュン(金大中)元大統領の「情報化」につづき「第4次産業革命時代」をリードする人材育成として「大韓民国の3番目の飛躍を導く」という意志の表れである。

尹大統領は昨年12月、国民パネラーとの対話形式で行なわれた “国政課題点検会議”で「地域バランス発展と地方消滅を防ぐためには、何よりも地域大学の活性化が急がれる」と強調した。

この日も尹大統領は「地域大学・地域産業体・地方政府が額を突き合わせ、地域の強み・比較優位・成長動力を見出して力を合わせる時、本当の地方時代を開くことができる」とし「特に、地域大学の役割が重要だ」と語った。

韓国教育部(文部科学省の旧文部省部門に相当)はこれを具現化する方案として「グローカル(グローバル+ローカル)大学」と「地域革新を中心とした大学支援体系(RISE)」を提示した。「地域内の大学たちが成長を促しながら地域発展もリードする、世界水準の大学を作る」というものである。

ことしは10校前後を選定し、2027年までに非首都圏で約30校の大学を選定する方針である。選定された大学には5年間1校あたり1000億ウォン(約104億8400万円)を支援するなど、中央政府・地方自治体の集中投資と各種の規制特例が適用される。このため教育部が現在持っている権限は、地方に移譲されることになる。金烏工科大学はRISEの優秀モデルの一つである。

教育部は、金烏工科大学のように「地域の人材養成-就職-定住」システムを整えるため努力する大学に自治体がより多く投資できるよう、2025年から中央政府の大学財政支援権の半分以上を自治体に移譲する計画である。17の自治体に引き渡す大学支援事業の予算は、一年間で計2兆ウォン(約2096億8010万円)以上になるものと推算される。うまくいけば「地方消滅を防ぎ、地域バランス発展も図ることができる」という、一石二鳥の対策である。

首都圏の一極体制による地方消滅と地方大学の危機は、コインの裏表のように分離することのできない問題だ。全国の市・郡・区のうち半数ほどが「消滅危険地域」に分類され、地方大学は「桜の咲く順番に閉校する」という話が出ているほどだ。歴代の政府は、企業都市・革新都市などの名で地方時代の糸口をつかもうと力を注いできたが、結局「力不足」であった。

今回の韓国政府による計画が成果を上げるためには、人材の需要者である「企業」と緊密に協力しながら進めなければならない。企業にとって切実な人材が供給されてこそ、地域に雇用が生じ地方経済が息を吹き返すことができる。権限を引き継いだ各自治体の力も、これまでより倍化されなければならない。

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