<W解説>中国政府、日本にはビザ発給再開、韓国には停止継続=対応を分けた狙いは?(画像提供:wowkorea)
<W解説>中国政府、日本にはビザ発給再開、韓国には停止継続=対応を分けた狙いは?(画像提供:wowkorea)
中国政府が、日本に対するビザ発給を29日に再開した一方、韓国に対する発給停止措置は継続している。中国政府が日本と韓国とで対応を変えたことに、韓国紙の中央日報は、「当初1月末までを予定していた短期ビザ発給制限措置を来月まで延長することにした韓国の中央災害安全対策本部の決定と無関係ではなさそうだ」と伝えている。韓国政府は今後の中国側の出方を注視している。

韓国政府は、中国における新型コロナの感染の急拡大を受け、今月2日から中国からの入国者を対象に水際対策を強化している。入国前後のPCR検査を義務付けるなどの措置に加えて、短期ビザの発給も制限している。

韓国では2020年初めに中国で新型コロナが初めて流行した当時、初期対応が遅れ、その後、韓国内で感染者が急増したという苦い経験がある。それだけに、米国や日本など他の国と比べても一段と厳しい措置を取っている。

韓国を含む各国が、中国からの入国者への水際対策を強化するや、中国は強く反発。中国外務省は「防疫措置は科学的で適切であるべきだ」とし、「(コロナ対策は)政治的に操作してはならず、差別的な方法を取ってはいけない。人の往来や交流に影響を与えてはならない」と訴えた。

そして、在韓中国大使館は今月10日、中国が韓国国民への短期査証(ビザ)発給を当分の間停止することを明らかにした。在韓中国大使館は同日、対話アプリ「微信」の公式アカウントで「中国国内からの指示により、今日から在韓中国大使館と総領事館は、訪問、商業貿易、観光、医療及び個人的な事情を含む韓国国民の中国間短期ビザの発給を中断する」と発表。中国外務省の報道官も同日の記者会見で「中国への差別的な入国制限措置に断固反対し、われわれも対等の措置を取る」と表明した。

中国が取った対抗措置に、韓国外交部(外務省に相当)の当局者は「(中国の)措置を遺憾に思う」とした。また、イム・スソク報道官は「中国側の措置に対しては外交ルートを通じて協議し、意思疎通ができた。今後も韓国政府の立場を中国側に伝えながら、引き続き意思疎通していく」と述べた。

中国は当初、日本に対しても同様に、中国に渡航するビザの発給を停止した。発給の停止により、日本企業などで中国への出張者が足止めされるなど影響が出た。中国に対し日本政府は水際対策を強化したものの、中国人へのピザの発給は停止してはおらず、日本政府は中国政府に対しこの点を強調。「対等性に欠けている」として措置の撤回を求めた。

一方、韓国政府の中央災難(災害)安全対策本部は27日、「中国に対する短期ビザ(査証)発給制限措置を2月28日まで延長する」と発表した。同本部は、韓国内の防疫状況は良くなってはいるものの、中国で春節(旧正月)以降、さらに流行するなどした場合、海外からの流入により韓国で再び感染が拡大する可能性が排除できないと説明した。また、韓国外交部の関係者は「科学的な基準に基づいて防疫対策を設けたものであり、中国とも連絡を取り合っている」と語った。

その後、中国政府は29日から日本国民への一般ビザの発給を再開。一方、韓国に対してはビザ発給停止措置を続けている。

中国外務省の毛寧(もう・ねい)報道官は30日、韓国政府がコロナ対策で実施している中国からの入国者への短期ビザの発給制限の延長を発表したことに対し、「中韓両国の人々の往来や交流、協力に不利益だ」と批判した。その上で毛氏は「韓国が不合理なやり方をできるだけ早くやめるよう望む」とし、韓国側が制限措置を見直せば、韓国へのビザ発給を再開する方針を示唆した。

中国が日韓で対応の違いを見せたのは、日本に対する措置を先に解除することで、より厳しい措置を取っている韓国への圧力を際立たせることが狙いとみられる。

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