韓国、来年の電気料金「月4000ウォン」値上げ...主犯はLNG・脱原発?(画像提供:wowkorea)
韓国、来年の電気料金「月4000ウォン」値上げ...主犯はLNG・脱原発?(画像提供:wowkorea)
韓国では来年第1四半期の電気料金が1キロワット当たり13.1ウォン(約1.3円)値上がりする。4人世帯基準だと月4000ウォン(約415円)以上の値上げだ。1970年代のオイルショック以来、40年ぶりに大幅の引き上げとなった。

 31日、韓国のエネルギー業界によると、液化天然ガス(LNG)の価格推移によって今後電気とガス料金の値上げ幅が決まるものとみられると、韓国メディア「ヘラルド経済新聞」が報じた。

 韓国電力(韓電)の電気供給は、まず発電所から電気を卸売り価格で購入後、消費者に小売価格で供給する。電気の購入価を卸売基準価格(SMP・系統限界価格)と呼んでいる。

 2021年1月の時点でSMPは1キロワット当たり70.65ウォン(約7.3円)だったが、最近は250~260ウォン(約26~27円)台まで急騰した。SMPは3倍以上上昇したものの、市民に供給される電気料金は1キロワット当たり約20ウォンの値上げに止まっている。このように小売価格より高い卸売価格が韓電に圧迫を加えている。韓電が今年の営業赤字だけで30兆ウォンが予想されるなど、過去最悪の資金難に見舞われる主な原因となっている。

 とくにSMPは発電燃料の中で最も単価が高い天然液体ガス(LNG)価格によって動く。LNG輸入価格の指標である北東アジア地域の天然ガス(JKM)現物価格は昨年10月、MMBtu(熱量単位)当たり19.02ドル(約2490円)だったが、昨年10月の時点で53.38ドル(約7000円)まで急騰した。

 LNG価格急騰の原因は、欧州発エネルギー原料需給難が優先順位に挙げられる。そのため欧州でも、ロシア産燃料への依存度を下げるため、燃料の輸入量を大幅に拡大することにした。

 欧州がLNGの輸入を大幅に増やし、今年1月から8月まで欧州連合(EU)のLNG輸入規模が前年比65%増加した。そのため、LNGの輸入依存度が高いアジア・太平洋地域の価格が急騰し、該当国家の被害が広がっている状況だ。

 韓国の場合、オーストラリアやカタールなど7か国から長期契約を通じてLNGを導入しているため、需給には問題がない。しかし、供給価格自体が急騰し価格上昇にともなう負担がはるかに大きくなっている。実際、9月時点の月LNG輸入額は約9兆7000億ウォン(約1兆円)で、昨年対比3倍程度増加した。

 前政権で任期5年間脱原発政策を強行した点も、今回の電気料金急騰の原因として指摘されている。安い価格と安定的な需給を誇る原子力発電の割合を減らした代わりに、価格が高く需給も不安定なLNGと新再生エネルギーの割合を増やしたのが、ブーメランになったという指摘も出ている。

 産業通商資源相のイ・チャンヤン(李昌洋)氏は30日、会見で「この5年間、低原価発電源である原発が縮小され、LNGなど原価が高く燃料費変動リスクに脆弱な発電源比重が増加した。そうした状況で国際エネルギー価格が昨年より3~4倍以上暴騰したことが、韓電の赤字を悪化させた要因となった」と指摘した。

 このように、電気料金の避けられない引き上げについて、韓国の世界日報は30日付社説で、「経済・庶民の衝撃を最小化しなければならない」と強調。「景気低迷の懸念が高まっている状況で、公共料金の引き上げが内需の不振につながるという点も懸念される」と付け加えた。

 韓国日報は31日付社説で、「電気料金の引き上げは一度にとどまらないだろう。これに適応するため、家庭や企業も省エネ型で体質改善を急がなければならない」と指摘した。
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