2020年版の国防白書。韓国軍の敵を北朝鮮とは表記せず、「韓国の主権、国土、国民、財産を脅かし、侵害する勢力」とした(資料写真)=(聯合ニュース)
2020年版の国防白書。韓国軍の敵を北朝鮮とは表記せず、「韓国の主権、国土、国民、財産を脅かし、侵害する勢力」とした(資料写真)=(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】韓国が来月刊行する尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権初の国防白書の草案で「北の政権と北の軍はわれわれの敵」と記述されたことが6日、複数の政府筋の話で分かった。北朝鮮を敵と見なす表記が6年ぶりに復活することになる。「主敵」との表現は用いられない見通しだ。

 政府筋は「国政課題に提示された通り、北の政権と軍を敵と明示する表現が国防白書の草案に入った」と伝えた。

 尹政権発足1週間前の5月3日、新政権への移行を準備する政権引き継ぎ委員会は110の国政課題を発表。そのうち国防分野では「『北の政権と北の軍がわれわれの敵』であることを明確に認識できるよう、国防白書などに明記することを検討する」と言及した。

 韓国軍はその後、北朝鮮軍と北朝鮮政権を敵と明記した将兵向け教材を配布している。最新の国防白書にも同じ表現が用いられることになる。

 韓国は1995年の国防白書で初めて北朝鮮を「主敵」と表現した。94年の南北実務接触時に北朝鮮側の代表が「戦争が起きれば、ソウルは火の海になる」と発言したことがきっかけで、こうした表記は2000年まで続いた。

 南北に和解ムードが広がると04年の白書から「直接的な軍事脅威」などの表現に変わり、保守系の李明博(イ・ミョンバク)政権が発足した08年も「直接的で深刻な脅威」と記された。

 ところが10年に北朝鮮による韓国海軍哨戒艦「天安」撃沈と韓国・延坪島砲撃が起き、白書には「北の政権と北の軍は敵」との表記が再登場し、次の朴槿恵(パク・クネ)政権も踏襲した。

 革新系の文在寅(ムン・ジェイン)政権に入り、18年版と20年版で北朝鮮を敵と見なす表現は消え、「韓国の主権、国土、国民、財産を脅かし、侵害する勢力をわれわれの敵と見なす」と記述された。

 22年版が草案通り確定するなら、16年版以来6年ぶりに北朝鮮体制を「敵」とする表記が復活する。ただ、「主敵」の表現は用いられない見通しだ。


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