29日夜、韓国・梨泰院「ハロウィン圧死惨事」が発生した近くの様子(画像提供:wowkorea)
29日夜、韓国・梨泰院「ハロウィン圧死惨事」が発生した近くの様子(画像提供:wowkorea)
韓国では、154人の生命を奪ったソウル・イテウォン(梨泰院)のハロウィン圧死惨事が起きた「原因」への関心が高まっている。狭い通りに10万人以上が押し寄せることが予想されたことから「安逸な対応を取った政府と自治体に責任があるのでは」という批判も出ている。

イ・サンミン の最新ニュースまとめ

31日、韓国の新聞社“ヘラルド経済”の取材によると、梨泰院を管轄するソウル・ヨンサン(龍山)区はハロウィンを控え去る27日に対策会議を開いたが、新型コロナウイルス感染症に関する防疫点検が主な議題であった。ソウル市も、安全管理のための会議を開いたり特別な指針を下していなかったことが伝えられている。「自治体が主催・後援するイベントではない」というのが、その理由である。

龍山警察署はハロウィン総合治安対策を立て犯罪・無秩序の脆弱(ぜいじゃく)場所に警備を配置し、クラブ・遊興施設を通じた麻薬犯罪の取り締まりにより焦点を合わせていた。26日に行なわれた梨泰院の商人たちとの懇談会でも、犯罪取り締まりの協力に関する要請があった。ソウル警察庁が明らかにしたハロウィン祭り当時の動員人数は、地域警察32人・捜査50人・交通26人など計137人である。

このようなことから「韓国政府の安逸な見方が根底にあったのではないか」という指摘が出ている。イ・サンミン(李祥敏)行政安全相は、今回の事故について「警察と消防の人力をあらかじめ配置することで解決できた問題ではなかった」と発言したことも、“韓国政府の不適切な状況認識を示したものだ”という批判を呼んでいる。

ハロウィン祭りの現場を見守っていた市民たちは「政府・自治体が大規模な人波による安全事故発生の可能性を念頭に置き、リアルタイムで現場のモニタリングを通じて積極的に秩序維持活動に乗り出すべきだった」と口をそろえる。事故が起きた通りは幅が4メートルしかなかったが、秩序維持線の設置や通行管理などが成されていなかった。そのため互いに反対方向へと進もうとする市民たちが押し寄せ、ボトルネック現象が発生した。

「政府・自治体・警察が協議して、梨泰院周辺の道路を一部でも統制し祭りのための空間を設け、市民たちが通りに押し寄せないよう誘導していたなら、圧死事故にまで至ることはなかっただろう」という市民の声もある。狭い通りに押し寄せた人波のため消防の出動が遅れたことも、このような指摘に関連したことである。

事故当時、梨泰院にいた36歳の女性は「以前のハロウィンの時には警察が出動し統制していたと思うが、今回は人波にさえぎられてなのか姿がみえなかった。通行を整理してくれる人がいたなら状況は違っていたのではと思うと残念だ」と語った。

ソウル市救助救急政策協議会の委員であるソウル文化芸術大学のチョ・ソンファン航空保安学科教授は「米政府は2001年の9・11テロ攻撃を防げなかった結論を『想像力の不足』と定義した。10万人以上の群衆が通りに押し寄せると予想するのが難しかったとしても、“想像力の欠如”は惜しまれる」と指摘した。

つづけて「地域の多重集会行事および安全管理を担当する自治警察組織も、形式的で不十分なのが実情だ」とし「社会災難安全管理は消防と警察の単純な数的増員ではなく、安全の専門家集団としての組織運用が必要だ」と付け加えた。

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