(画像提供:wowkorea)
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先日お亡くなりになった韓国を代表する碩学であり、「縮み志向の日本人」を書いて話題になったイ・オリョン(李御寧)先生の受け売りですが日本語に「つまらない」と言う言葉がありますが、これは日本人が何かと<詰める>、<縮める>傾向にあると説破しました。

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 詰まらないとは枠の中にきちっと納まらない(詰まらない)と良しとしないきらいがある、と言ってます。ですから納まらないと「つまらない、面白くない」となるそうです。土俵の枠から出ると負けとなる論理です。よくドラマや国会審議で「大詰めになった」と言いますがこれも枠に収まることを意味します。

 韓国では缶詰のことをカントンといいます。ブリキの筒とそのものずばりですが日本では缶にきっちり詰めて初めて「缶詰」になるのです。詰所、思い詰める、息を詰める、お詰め願います、切り詰める、見詰める、追い詰める、指を詰める。

 大陸から侵略され難い距離にある「島」と高い山や高低差のある河川(急流)に囲まれ限られた場所で長年生活して自己完結的な空間になじむと、自ずと物事を「枠内」に収め和を保つようになり、外と内が分けられます。

 福は内鬼は外、村八分、棲み分け等韓国にはない言葉です。大陸にぶら下がってる半島は大陸の政権が変わるたびにその都度その民族のやり方に対処しなければなりません。内にこもって自分のやり方に固守する暇がないのが半島の宿命です。ですから半島では地方分権などで力を分散させる余裕がなく、ひとところ(一所)に力を集める中央集権体制を取らざるを得ません。

 又、昔から国が行う科挙(高級公務員試験)に受かり中央政治で出世することにより、名誉、権力、富を手にする制度が長年続いて来ているため、その他の分野での一番は評価されません。故に韓国一がないのです。

 韓国の特徴を表すのによく使われるアメリカの政治学者ヘンダーソンの言葉に「朝鮮は全てが渦巻現象を起こして中央に向かって吸い上げられている」というフレーズがあります。1961年から1970年末までの短い期間での高度経済成長(漢江の奇跡)は一極集中の権力システムがプラスに機能しました。が、昨今の大統領選挙での白熱を超えた過熱戦は棲み分けや、安定の為の配分でなく、総取り「all or nothing」の世界です。

 言い換えると韓国はすべての資源を中央に。ですので親亀こければ全てこけ、日本の植民地に転落しましたが、日本の場合は力の分散システムにより地方勢力が19世紀の激動を乗り切らせ近代化に成功したアジアで唯一の国になりました。

 「日本一」と言う言葉はありますが「韓国一」という言葉はありません。それぞれの分野で頂点を見極めたら即ち日本一です。伝統芸能から市井のラーメン店まで限りなくあります。韓国には2000メートルを超える山は北朝鮮の白頭山だけですが、日本では2500メートルを超える山が150以上もあります。つまり高い山や川が人の往来を妨げ、地方別に棲み分けて生きるすべを習得したのでは!? そして外国からの侵略がなかったお陰で「枠」を守り安心して仕事に打ち込めたのではないでしょうか。

 韓国の代表的な挨拶の言葉<アンニョンハセヨ>は「安寧に過ごしましたか?」という意味で戦乱が多かった半島では、”いつ襲われるか、おちおち寝ていられない姿(さま)、安寧の尊さを”を表しています。これでは一つのことに集中出来るわけがありません。ですから漢字の”熱心に”という言葉はありますが、一生(所)懸命という造語はありません。

 古い話になりますが、昔囲碁で四冠を獲得したチョ・チフン(趙治勲、ちょう・ちくん)名人が総理官邸に呼ばれ総理と対局した話を直接聞きました。確か福田首相だったと思いますが、趙名人に上座に座らして対局をしたそうです。何故こんな話を!? 権威的な韓国において王様に等しい大統領の相手が如何にその分野の長であっても上座を譲るとは考えられなかったからです。まさに日本の底力の元(権力と関係なくその分野の第一人者を敬う文化)を見た気がしました。

 トップがいてその指導力如何によって飛躍もすればコケることの有る柔軟で不安定な政治体制と多少劣ったリーダーでもびくともしない安定した体制の良し悪しは、激動の時代か安定期かによって評価が分かれます。今の時代の評価は、これ如何に?! 

※権鎔大(ゴン・ヨンデ)韓日気質比較研究会代表の寄稿。ソウル大学史学科卒業、同新聞大学院修了。『あなたは本当に「韓国」を知っている?』の著者


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