主要ポストの人選を巡り、尹政権に対して「検察共和国」という批判の声が高まっている。

 検事の経歴しかないユン・ソギョル(尹錫悦)大統領が就任してから、相ついで政府の要職に検察出身者を重用し、「人材を広く求める」という統治者の基本鉄則を度外視していると、”ニュース1”などの韓国メディアが3日、批判した。

 尹大統領は3日、韓国情報機関「国家情報院」の人事で、国情院企画調整室長と首相秘書室長に検察出身者を重用した。とくに、国情院企画調整室長に選ばれたチョ・サンジュン氏は、最高検察庁で刑事部長を務め、代表的な尹大統領の側近として見られている人物だ。

 次官級の首相秘書室長に任命されたパク・ソングン弁護士も検察出身だ。2007~2009年に国務調整室に派遣され、ハン・ドクス(韓悳洙)首相との縁もあるという。

 これに先立ち、尹大統領は、大統領秘書室はもちろん、各省庁の要職に検察出身を相ついで任命している。内閣の場合、長官18人の中で、クォン・ヨンセ(権寧世)統一部長官やウォン・ヒリョン(元喜龍)国土交通部長官、ハン・ドンフン(韓東勲)法務部長官の3人が検事出身だ。大統領秘書室の秘書官級以上で、検察出身は6人にのぼる。

 野党からは「我が国に使える人材は検事しかいないのか」という嘆きも出ているほどだ。

 大統領室関係者は「国情院の基調室長は、過去にも検察出身を任命することが多かった。文政権で初の基調室長も検察出身だ。検察共和国うんぬんというのは言いすぎだ。(文政権では)革新系の弁護士会や市民団体出身者から多くの人材を抜擢している。公平な批判とは言い難い」と反論した。

 しかし、それでも尹政権の人事を憂慮する声が高まっている。

 国民日報の4日付社説では「尹大統領が検察出身者を重用しているが、理解できないほど行き過ぎている。大統領室や政府、国情院まで検察出身を大挙前面に配置した。人事権まで掌握したため、検察の影響力がさらに強くならざるを得ない。これが検察共和国でなければ何だというのか」と批判した。
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