ロシアのウクライナ侵攻が始まってから100日以上経過した中で、ウクライナでは利敵行為者の処罰問題が、重要な社会問題として浮上していると英ガーディアン紙が4日(現地時間)報道した。

 先月初旬、ウクライナのイリーナ・ベネディクトワ検事総長によると、ウクライナ検察は国家安保を脅かす「反逆」容疑700件、敵軍を有利にする「利敵」容疑700件など約1400件の関連事件を調査中だ。

 利敵・反逆行為としてあげられた事例も非常に多様であることが分かった。

 ウクライナ北東部、ハルキウ州にあるクピャンスク市のゲンナジー・マツェゴラ市長は戦争勃発3日後の2月27日、当時市郊外に接近したロシア軍の対話要請を受け入れ、クピャンスク市を丸ごとロシア軍に渡した。当時、マツェゴラ市長は動画声明で「生命を守るために」このような決定をしたと明らかにしている。マツェゴラ市長はその後、ロシア軍から交通や住居、燃料、食糧などの提供を受けたという。

 マツェゴラ市長は利敵行為で調査を受けることになる予定だが、まだクピャンスク市がロシアの占領下にあり、ウクライナ検察が身柄を拘束できていない状況だ。有罪が宣告されれば最大15年の刑がくだされる。

 ハルキウ州南西のピヴデンヌ村では、地域議会議長が利敵行為未遂の容疑で逮捕された。ロシア側要員と接触しようとした証拠を検察が確保したという。検察は「被疑者はロシアがピヴデンヌ村を占領するものと予想して準備していたが、ロシア軍は同地域に到着することができなかったという。検察は侵攻の初期に被疑者を逮捕した」と明らかにした。

 検察が明らかにした利敵行為の中には、ロシア軍に地域の富裕層リストを渡した事例もあった。とくに、この被疑者はロシア軍とともに富裕層の家に押し入り、一緒に略奪したと検察は伝えている。

 この他に地域内の軍人や軍人家族、2014年以後ウクライナ東部ドンバス地域で続いた「ドンバス内戦」参戦勇士名簿などをロシア軍に提供するなど、さまざまなケースがあったとガーディアン紙は伝えた。

 しかし、このような反逆・利敵行為者を処罰する問題は、それほど簡単ではない。まず、ロシア軍が地域を占領中であるため、被疑者が逮捕できない。また、ウクライナ検察や司法府が、長い間腐敗疑惑が続いているため、反逆・利敵行為のような重要事件を権力の誤用や乱用なしに公正に処理できるかという疑問もある。

 利敵行為や反逆行為のレベルをどのように評価し、適切な処罰水準を決めるかも難しい問題だ。ウクライナ軍関係者はガーディアン紙に「ある人は敵軍に合流しようとした。ある人は単純に生命を守るため、敵に協力した人がいる。他のケースでは銃で脅かされたため、裏切るしかなかった人もいる」とし、利敵行為に至った背景もすべて違うと指摘した。

 ウクライナ教育分野の苦情処理委員であるセルゲイ・ゴルバチョフ氏はガーディアン紙に「難しくて苦しい問題だ。どこで線を引いたらよいのか。武装していない民間人に、英雄的な行動を求めてはならない。重要なことは、自ら進んで裏切ったかどうかだ」と述べた。
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