北朝鮮のコロナ感染者、平壌が最も多かった…広がったのは「4月の閲兵式」か?(画像提供:wowkorea)
北朝鮮のコロナ感染者、平壌が最も多かった…広がったのは「4月の閲兵式」か?(画像提供:wowkorea)
北朝鮮内で新型コロナウイルス感染症の感染者と有症状者が最も多い地域は、ピョンヤン(平壌)であることが分かった。

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 そのため北朝鮮で新型コロナの変異株であるステルスオミクロン(BA.2)が拡散したのは、先月、北朝鮮の体制を結束するために無理に行われた閲兵式など大型政治イベントが影響したものとみられる。

 北朝鮮国家非常防疫司令部の関係者であるリュ・ヨンチョル氏は16日、朝鮮中央テレビに出演し、各地域の新型コロナ感染者と有症状者の現況(14日午後6時時点)を詳細に紹介した。

 リュ氏の説明によると、平壌市内の感染者は42人で、7つの直轄市および道全体感染者168人の25%に達している。中国と隣接した平安プクト(北道)の感染者は20人だった。チャガンド(慈江道)とチャンガンド(両江道)、ハムギョンプクト(咸鏡北道)など、その他の国境地域では感染者が出ていない。

 とくに平壌の有症状者は14日の1日間だけで8万3千445人、全国市道の中で圧倒的に多かった。これは同日、北朝鮮全域の有症状者21万8千188人の38.2%を占める。

 平壌の有症状者の割合が感染者の割合より高いだけに、今後平壌で追加の感染者が急増する可能性も高い。

 その他の地域は田植えの時期に入ったファンヘナムド(黄海南道)が2万2千808人、カンウォンド(江原道)1万9千504人、ナンポ(南浦)市1万6千567人、ファンへプクト(黄海北道)1万5千112人だった。

 北朝鮮が16日に、14日午後の集計値を中央テレビで紹介した。これを見ても、北朝鮮では新型コロナによる感染者や有症状者の把握が速やかにできていないことを示している。

 今年の4月にはキム・ジョンウン(金正恩)総書記政権10年、故キム・イルソン(金日成)主席生誕110年、朝鮮人民革命軍(抗日パルチザン)創設90周年など、重要な国家行事が重なった。そのため北朝鮮では金正恩政権下で過去最大の人員を動員し、平壌で中央報告大会と群衆デモ(パレード)、閲兵式などの祝祭イベントを実施している。

 これらのイベントには平壌市民だけでなく、地方に出ていた青年や大学生まで動員された。閲兵式には、各地に駐留する72の軍部隊と軍事大学の学生も大挙参加している。

 また、金総書記は閲兵式5日後の4月30日、「閲兵式に動員された青年たちを呼び集めて、記念写真を撮るように」と指示した。メーデーにあたる5月1日、地方に出ていた青年たちを緊急動員し、数万人が「ノーマスク」で記念撮影している。

 結局は金総書記が指示して行われた各種政治イベントが、新型コロナ拡散の原因になったものとみられる。

 一方、5月14日午後現在の新型コロナに関連した死亡者と発病者は基礎疾病による死亡者22人、薬物の副作用17人、熱性けいれん2人、喉頭けいれん1人など42人だった。

 薬物の副作用による死亡者がほぼ半分であるのは、北朝鮮には医薬品が不足し、検証されていない薬物治療に依存していることを示している。

 このほか、死者42人の中で61歳以上の高齢者が16人、51~60歳までが7人だった。10歳未満の子どもも6人が亡くなっている。
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