韓国の真実和解委、北朝鮮拉致漁師982人の人権侵害事件を調査(画像提供:wowkorea)
韓国の真実和解委、北朝鮮拉致漁師982人の人権侵害事件を調査(画像提供:wowkorea)
韓国の「第2期真実・和解のための過去史整理委員会(真実和解委)」は23日、北朝鮮に拉致された漁師が帰還後に、国家から受けた人権侵害について、大規模な職権調査を始めると明らかにした。2020年12月に第2期の委員会がスタートしてから初の職権調査となる。

 今回の職権調査は、1965年から1972年の間に北朝鮮から戻ってきた船員のうち、真相究明を申し出た39件を中心に行われる。調査対象は982人(109隻)に上る。同委員会は「今回の調査は1・2期を通して最大規模」と説明した。

 同委員会が調査中の事件は、北朝鮮から戻ってきた漁師たちが、国家から不法捜査を受け、国家保安法・反共法・水産業法違反などで処罰された事件だ。彼らは操業中に北朝鮮の警備艇によって拉致されたり、帰港途中に霧などで方向を見失ったりして、北朝鮮に渡っていた。

 特に、拉致被害者が軍や中央情報部(現国家情報院)、警察などで結成された合同審問班によって、不法に拘束された状態で審問を受けていたことが明らかになっている。刑事処罰後も、長くは数年間、捜査機関の取り調べを受け、家族にも被害を与えた。

 1954~1987年4月まで北朝鮮に拉致された漁船は459隻、船員は3600人に上る。しかし、現在まで同委員会に申請があった関連事件が50件しかなかったため、同委員会では職権調査を始めることにしたという。

 同委員会は「今回の職権調査は、別の被害を恐れ、あるいは手続きが分からず、申請できなかった被害者について、真相の究明に乗り出すためのもの」と説明した。

 つづいて「過去の権威主義的な政権下で発生した重大な人権侵害事件の真相を明らかにし、公権力の信頼を回復させることに歴史的な意味がある」とし、「政権の公権力による人権侵害を防ぐ意味でも、示唆するところが大きい」と強調した。

 同委員会のチョン・グンシク委員長は「第2期発足後、初の職権調査を始めるのは意義深い」とし、「分断と反共体制の犠牲者である拉致帰還漁師たちの名誉を回復し、和解の時代に進めるよう最善を尽くす」と述べた。

 一方、第1期真実和解委が収集した国家保安法・反共法・水産業法違反の判決文によると、拉致被害者の漁師関連事件は200件、被告の数は1325人に上る。第1期真実和解委は、7件の職権調査を含め17件の拉致被害者帰還漁師事件について、真相を解明した。

 第2期では、これまで50件の真相究明申請を受け付けた。今月8日には、その中からクォンソル号(1件)とプンソン号(3件)の事件について、真相究明の決定を下した。
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