防疫パス、未接種者が飲食施設に行けば警告音が…人権侵害・差別の恐れ=韓国(画像提供:wowkorea)
防疫パス、未接種者が飲食施設に行けば警告音が…人権侵害・差別の恐れ=韓国(画像提供:wowkorea)
韓国の防疫当局は来年1月3日から、食堂やカフェなどの飲食施設に入場する際に、有効期限が過ぎた防疫パス(接種証明・陰性確認制)を提示すれば、「警告音」が鳴るようにすると予告し、反発が起きている。

 24日、韓国メディアのニューシスによると、政府は有効な証明書でなければ、認証を試みる時に別途の効果音が出るようにする計画だ。

 こうした政府の対策について、専門家の意見は分かれている。

 イファ(梨花)女子大学モクトン(木洞)病院呼吸器内科のチョン・ウンミ教授は「店に入ってすぐに音がすれば他人の顔色も伺わざるをえない」とし、「1回目は接種したが、異常反応で2回目の接種を受けない人もいるはずだ。ここまでする必要があるのか分からない」と述べた。

 カチョン(嘉泉)大学予防医学科のチョン・ジェフン教授は「今はすべての人たちを満足させる状況ではない。積極的にできることはすべてやってみる必要がある」と主張した。

 この警告音については、防疫当局によると、刺激的でない効果音に改善中と明らかにしている。

 いっぽう、防疫当局の対策に不満をもつ市民団体が22日に街頭に出て、総決起大会を行った。また、高校3年生を含む市民950人は同日、文大統領などを職権乱用権利行使妨害の疑いで検察に告発した。

 22日、ニュースピムによると、「新型コロナ対応全国自営業者非常対策委員会」(非対委)は同日午後3時から5時まで、ソウル市チョンノ(鍾路)区クァンファムン(光化門)の「市民に開かれた広場」で、総決起を行った。

 非対委は、政府が適用することにした防疫パスは物理的に不可能だと反発している。防疫パスが「事業主に処罰規定が存在する厳然たる営業規制であるにもかかわらず、損失補償の範囲に入れることはできないという政府の主張は納得できない」とし、「防疫パスを撤廃せよ」と主張し、デモに乗り出した。

 ユーチューブチャンネル「ヤンデリム研究所」を運営する高校3年生のヤン・デリム君(18)は今月10日、「政府が防疫パスの適用を拡大したことは、学習権の侵害だ」として憲法訴願を提起したのに続き、この日は文大統領、チョン・ウンギョン疾病管理庁長ら防疫当局関係者4人を職権乱用権利行使妨害の疑いで検察に告発した。

 こうした中でも政府は、警告音の措置が効果的だとして、強行するという。

 23日、毎日経済新聞によると、政府の措置をめぐり、あるネットユーザーは「ワクチンの未接種者が性犯罪者より人権がないというのか」という書き込みをし、政府を批判した。「電子足輪をはめて歩く性犯罪者より管理が厳しいのは話にならない」と主張した。

 会社員のクォンさん(36)は「政府が、今度はワクチン未接種者と接種者を分け、社会に嫌悪感を増やしている」とし、「防疫失敗の責任を未接種者にそれとなく転嫁させようとしているのではないか」と話した。政府は、このような問題提起にも「警告音の措置」が効果的だとして、強行するという。コ・ジェヨン防大本危機疎通チーム長は「施設管理者などがいちいち(接種完了の可否を)確認する手間が省けるだろう」と述べた。

 しかし、このような政府の対応を見ると、コロナによる最悪な極面を予想できずに、政策を出しているように見られる。文大統領は先月21日の「国民との対話」で、感染者が1日1万人まで増えると見て備えていると自信を持っていたが、現在の対策が最善策なのだろうか。

 とりわけ、妊婦らは防疫パスの例外対象ではなく、基礎疾患者も医師の診断書がなければ例外対象にならない。未接種は1人なら飲食施設を利用できるはずだが、実際は「未接種者はテイクアウトだけ」とする店も出てきてた。理由があって接種できない人の社会的孤立が、社会問題として浮上している。
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