ソウルの竜山駅前の広場に設置されている労働者像。手に持っていたつるはしが29日、何者かによって折られた=(聯合ニュース)
ソウルの竜山駅前の広場に設置されている労働者像。手に持っていたつるはしが29日、何者かによって折られた=(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】日本による植民地時代に朝鮮半島から強制徴用された労働者を象徴する像(労働者像)を制作した韓国の彫刻家夫妻、キム・ウンソン氏とキム・ソギョン氏が、像のモデルは日本人だと主張した李宇衍(イ・ウヨン)落星台経済研究所研究委員を相手取り損害賠償を求めた訴訟で、ソウル中央地裁は29日、原告一部勝訴の判決を言い渡した。李氏に対し、夫妻にそれぞれ500万ウォン(約50万円)、計1000万ウォンを支払うよう命じた。法曹界が30日、伝えた。

 夫妻は2016年に労働者像を制作して京都の坑道付近に設置した。その後、労働者像は韓国のソウル、済州、釜山、大田などに相次いで置かれた。

 これを巡り、韓日でベストセラーとなった「反日種族主義」の共著者で落星台経済研究所の研究委員を務める李氏は交流サイト(SNS)に1920年代の日本人労働者の写真を掲載し、夫妻が制作した労働者像のモデルは日本人だと主張。夫妻は虚偽の主張で名誉を傷つけられたとして、李氏に6000万ウォンの賠償を求めた。

 地裁は「労働者像が日本人をモデルにしたという被告の発言の全体的な印象・表現に照らすと、これは原告の社会的評価を低下させかねない具体的事実の適示に当たる」と判断。「被告の主張の根拠は推測にすぎず、やせた体つきや短い服のほかに労働者像と日本人の写真の間にこれといった類似点は見当たらない」と指摘した。

 「公益のための評価」だったとする李氏の主張に対しては、「労働者像が写真に写った人物をモデルに制作されたかどうかと、日本による植民地時代に朝鮮半島出身者に対する強制労働があったかどうかは相関関係がない」とした。

 キム氏夫妻は、李氏と同様の主張をした元大田市議に対しても損害賠償請求訴訟を起こしたが、議政府地裁高陽支部で行われた一審で先ごろ敗訴した。

 夫妻は旧日本軍の慰安婦被害者を象徴する「平和の少女像」の制作者としても知られている。


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