韓国野党の大統領候補が相続税の全面廃止を公約、財界や中流層の関心高まる=韓国(画像提供:wowkorea)
韓国野党の大統領候補が相続税の全面廃止を公約、財界や中流層の関心高まる=韓国(画像提供:wowkorea)
韓国野党「国民の力」の大統領選候補であるチェ・ジェヒョン(崔在亨)前監査院長が、「相続税全面廃止」を公約に掲げた。この公約に、財界はもちろんのこと、不動産の急激な高騰により税金に敏感になっている中流層の間で関心が高まっている。アジア経済新聞など、複数の韓国メディアが伝えている。

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 16日のアジア経済新聞によると、崔前院長は16日、ソウル汝矣島の大統領選挙事務所で記者会見を開き、「国民個人の私有財産権を尊重し、私有財産の処分に対する正当な自由を認め、同時に企業が自由な経営環境の中で価値を生み出し、雇用を創出できるようにしたい」と明らかにした。

 崔氏は「韓国の相続税は世界で最も高い水準だ。特に企業の持分相続には、半分以上の税金を課す場合もあり、企業が相続税を納めることができず、家業経営を放棄して企業を処分してしまうこともある」と指摘した。

 実際に、財閥企業などでは相続税を支払う資金調達のため、株を売却する事例が増えている。

 通信社のニューシスは14日、大韓航空のチョ・ヒョンア前副社長が、韓進KALの株を30万株(187億ウォン規模=約17億円)売却したと報じた。

 チョ氏が韓進KALの株を売却したのは、父親である故チョ・ヤンホ会長の持分相続に伴う相続税の資金調達のためとみられる。チョ氏は年賦延納制度により、毎年100億ウォン相当(約9億円)の相続税を納めなければならないという。

 ヘラルド経済新聞でも同日に、韓国の大手複合企業「新世界グループ」のチョン・ヨンジン副会長が、保有していた子会社「光州・新世界」の持分を(株)新世界に売却したというニュースを伝えた。チョン氏は昨年、母親のイ・ミョンヒ新世界グループ会長から、Eマートの持分8.22%を贈与され、株の売却は贈与税の財源調達が目的とみられる。

 一方、 国税庁の統計によると、2020年の死亡者30万5000人の中で、1万181人に相続税が課せられたという。相続税はまだまだ金持ちの税金という認識が強いが、ここ数年の間に不動産価格が急騰したことで、相続税はもはや金持ちだけの税金ではないという声も強まっている。

 東亜日報は11日、マンションを売って相続税を支払うことにした人のエピソードを紹介した。今年3月、88歳の父親を亡くしたAさんは、相続税として1億2900万ウォン(約1205万円)を納めることになった。Aさんの父親が2014年に4億5000万ウォン(約4200万円)で購入したマンションが、急騰して今年になって11億ウォン(約1億円)を超えたからだ。普段、勤労所得税さえ納めたことがない彼は、相続税を納められず、家を売って相続税を支払うことにしたという。

 相続税は6か月以内に現金で申告しなければならないが、韓国人が残す財産の70%が不動産といわれている。 Aさんのように、遺族が相続税を払う財源がなければ、住んでいた不動産を売るしかない。

 韓国の相続税率が高いという指摘が、財界でも増えている。

 韓国経済研究院の分析によると、韓国で企業承継の際、相続税率は筆頭株主の割増課税を適用すれば60%になる。OECD加盟国37カ国のうち最高水準だ。高い相続税率で有名な日本(55%)やフランス(45%)よりも高い。

 財界関係者は「過度に高い相続税率は企業の安定的な経営を妨害する」とし、「相続税負担による無理な株式売却は持分率が縮小につながり、外部から経営権を脅かされる可能性が大きくなる」と述べた。

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